ボリビア:イスラエルによるガザ攻撃による2年間の断絶を経て外交関係を再開

イスラエルとボリビアは12月9日(火)、外交関係を回復した。かつてパレスチナに対するイスラエルの政策を最も強く批判していた南米諸国において、地政学的再編が進む中での新たな動きとなる。

ワシントンでは、イスラエルのギデオン・サアール(Gideon Sa’ar)外相とボリビアのフェルナンド・アラマヨ(Fernando Aramayo)外相が会談し、二国間関係の復活に合意する宣言書に署名した。両国の外交関係は、ボリビアの前左派政権がガザにおけるイスラエル・ハマス戦争を理由に2年前に断絶して以来、途絶えていた。署名式は、駐米大使イェヒエル・ライター(Yechiel Leiter)の公邸で実施された。

アラマヨ外相とボリビアのホセ・ガブリエル・エスピノサ(José Gabriel Espinoza)経済相は今週、米国当局者との短期集中協議に臨んでいた。これは、長年冷え込んでいた米国との関係改善を図るもので、社会主義運動(Movimiento al Socialismo:MAS)政権下で約20年間続いた強硬な反西側政策の見直しの一環だ。こうした政策により、ボリビアは中国、ロシア、ベネズエラとの外交的連携を強める一方、経済的孤立が指摘されていた。サアール外相もまた、マルコ・ルビオ(Marco Rubio)国務長官を含む米国当局者との会談を予定している。

サアール外相は署名式での演説で、「本日、私たちは両国間の長く不必要な分離の章を終わらせる。数十年にわたり、両国は温かい外交関係を享受してきた。関係の再開は重要かつ歓迎すべき一歩である。イスラエルは両国に利益をもたらす分野でボリビア政府と緊密に協力することを約束する」と述べ、関係改善への強い意欲を示した。

ボリビア外務省も「ボリビアとイスラエルは外交関係を完全に再開し、戦略的協力の新たな段階を開く」と投稿し、二国間の協力深化に期待感を表した。

今回の関係回復は、ほぼ2か月にわたって準備が進められてきたものだ。サアール外相は、中道右派のロドリゴ・パス(Rodrigo Paz)が10月に当選した翌日にパス大統領と電話会談を実施。イスラエルとして「新たな章を開き」、外交関係を完全に再開したいとの意向を伝えた。これに対しパス大統領は「ボリビアを世界への再開とイスラエルとの関係再構築に導く」と応じたという。

ボリビア外務省によると、11月にはイスラエル外務省の事務次官エデン・バル=タル(Eden Bar-Tal)が、パス大統領の就任式にイスラエル代表として出席した。

同外務省はまた、両国が近く大使を復帰させ、当局者の相互訪問を予定していると明らかにした。パス政権の新たな外交戦略の一環として、この関係改善は「信頼、賢明な協力、そして常に存在していたが、現代的な視点で再活性化されつつある絆への回帰」を意味すると、ワシントンでの会合後の声明で述べている。

 

科学・イノベーションなど幅広い分野で協力拡大へ

ボリビア外務省は今回の合意について、「長年の友好関係の復活を示す歴史的な一歩であり、科学、イノベーション、スマート農業、文化外交などの分野で両国民に新たな機会をもたらす」と評価した。

同外務省によれば、この合意の署名は「信頼、賢明な協力、そして常に存在していたが、現代的な視点で再活性化される絆への回帰」を意味するという。今回の発表は、ボリビアが戦略的同盟の多角化を進め、新たな知識、技術、技術支援の流れを生み出そうとする中で行われた。

ロドリゴ・パス大統領の指導の下、政府はこの新たな段階が両国の科学者、起業家、医師、農業従事者、学生にとって新たな機会を開くと強調した。イノベーション、スマート農業、医療技術の分野でリーダーシップを持つイスラエルは、ボリビア国民に具体的な利益をもたらす共同プロジェクトに取り組む用意があると表明している。

また、合意には文化・観光の側面も含まれている。ボリビア国民は「聖地の精神的・文化的豊かさを再発見」する機会が得られ、イスラエルからの訪問者はアンデスの自然の多様性やボリビアのホスピタリティを体験することが可能になるとされた。

さらにパス政権は、米国およびイスラエルからの旅行者に対するビザ制限を緩和した。12月8日(月)、アラマヨ外相との会談を発表した際、イスラエル外相ギデオン・サアールは、イスラエル人に対するビザ規制を撤廃したボリビアに謝意を示した。サアール外相はまた、10月19日の中道右派上院議員パスの選挙勝利後に会談し、「ボリビアとの関係において新たな章を開きたい」というイスラエル側の意向を伝えていたと述べている。

署名された文書には、二国間関係を段階的に再構築するための即時的な取り組みが盛り込まれている。
主な内容は以下の通りである:

  • 大使の任命に伴う外交関係の完全再開
  • 常駐大使館再開に向けたロードマップ策定のための高官チーム設置
  • 協力分野を特定するため、政府関係者や民間セクターによる公式・非公式訪問を促進
  • 二国外務省間で継続的な政治対話を確立し、二国間関係および地域・多国間協調を強化

 

断絶と再開を繰り返したボリビアとイスラエルの関係史

社会主義運動(MAS)は、元コカ栽培組合のリーダーで、2006年にボリビア初の先住民大統領となったエボ・モラレス(Evo Morales)によって設立された。モラレス政権下の2009年、ボリビアは2008〜2009年のガザ紛争に抗議し、イスラエルとの外交関係を断絶した。

2019年、モラレスの再選を巡る抗議運動を受けて同氏が軍の圧力で辞任すると、右派の暫定政府が発足した。米国およびイスラエルとの外交関係は完全に回復し、モラレス政権の政策の多くが見直された。

しかし、その後の2020年選挙でMAS党が政権に返り咲いた。ルイス・アルセ(Luis Arce)が大統領に就任した後の2023年10月31日、アルセ政権はハマス(Hamas)による攻撃を口実に始められたガザにおけるイスラエルによる民間人の虐殺行為に抗議し、再びエルサレム(Jerusalem)との関係を断絶した。イスラエルはこれを「テロへの屈服」として強く非難した。

ガザ情勢を受けた外交的反発は地域全体に広がり、チリやコロンビアなど他の左派ラテンアメリカ諸国も相次いで大使を召還している。さらに南アフリカは国際司法裁判所(International Court of Justice)におけるイスラエルに対するジェノサイド訴訟に加わった。ただし、イスラエルはこれらの非難を断固否定している。

#Gaza #ジェノサイド #RodrigoPaz

 

参考資料:

1. Bolivia e Israel restablecen plenamente sus relaciones diplomáticas
2. Israel and Bolivia renew diplomatic ties after two years of rupture over Gaza war
3. Bolivia and Israel restore ties severed over the war in Gaza

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