エクアドル:腐敗と組織犯罪告発プロジェクト、ノボア企業とコカイン密輸の関係を示す

(Photo:Photo: Robert Haas/Süddeutsche Zeitung Photo/Alamy Stock Photos)

国際調査「腐敗と組織犯罪告発プロジェクト(Proyecto de Denuncia de la Corrupción y el Crimen Organizado:OCCRP)」は、エクアドル大統領ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)の一族が所有するコングロマリットの一部であるノボア・トレーディング(Noboa Trading Co TCN S.A.)のバナナ輸送と、2020年から2021年にヨーロッパへ送られたコカインの積荷とのあいだに、疑わしい関連が存在することを報告した。

OCCRPによれば、このエクアドル企業のコンテナはバルカン地域の犯罪組織に利用され、535キロのコカイン(推定2,600万ユーロ相当)が運ばれていたという。調査はまた、密売人たちが、セルビア人のニコラ・ジョルジェヴィッチ(Nikola Đorđević)がエクアドル側で薬物を隠匿し、クロアチア人のペタル・チョシッチ(Petar Ćosić)がヨーロッパの港でそれを受け取るという仕組みを基盤として取引を実施させていたと指摘している。両名はいずれも自国で麻薬取引関連の罪で起訴されている。

 

さらに明らかになっているのは、クロアチア検察庁の機密文書に含まれる暗号化メッセンジャー・プラットフォーム スカイECC(Sky ECC)のチャットで、2021年2月、バルカンの麻薬密売人とされる人物間で、エクアドル大統領ダニエル・ノボアの一族企業が輸出するバナナのコンテナにコカインを密輸する排他的権利を持っていると自慢していることである。そこには匿名のPIN番号で識別される2名が、ノボア・トレーディング社が発送するコンテナにコカインを積載できるのは自分たちだけだと豪語していたことが示されている。

クロアチアの文書にはPIN番号のみが記載されていたが、セルビアに拠点を置く独立系ジャーナリズム組織「犯罪・汚職・組織犯罪(Kriminal, korupcija i organizovani kriminal:KRIK)が独自に入手した起訴状により、記者らはやり取りの相手の一人をニコラ・ジョルジェヴィッチ(Nikola Đorđević)として特定することができた。彼は組織犯罪への関与が疑われる人物であり、現在はセルビア警察により無関係のコカイン密輸事件で指名手配中である。

ノボア・トレーディングは、「ボニータ(Bonita)」ブランドでバナナを生産する広範な事業帝国、ノボア・コーポレーション(Noboa Corporation)の一部であり、エクアドル大統領ダニエル・ノボアの家族によって運営されている。

Credit: OCCRP/KRIK

 

ジョルジェヴィッチおよびその関係者が大手果物輸出業者のコンテナにどのようにアクセスしたのかは正確には不明だが、彼らの主張が単なる誇示ではなかったことを示す証拠が存在する。

暗号化チャット内で、疑われる密売人たちは、日付・船名・コンテナ番号によって、期待している3件の特定コカイン輸送に言及していた。記者らは、チャットで共有された詳細を出荷記録および輸出データと照合し、ノボア・トレーディングの実際のバナナ輸送と比較した。

例えば、彼らは430キログラムのコカインが隠されたコンテナ「MEDU9747725」が、1月25日にエクアドルから出航したと述べていた。記者らが出荷記録および輸出データを確認したところ、ノボア・トレーディングは実際にその日付に同一のコンテナを発送していたことが確認された。

KRIK、OCCRP、および調査報道局(Investigative Journalism Bureau)の記者によって詳細に調査された3件の輸送はいずれも、2020年末から2021年初頭にかけて、エクアドルのグアヤキル港からリベリア船籍のコンテナ船「MSC Mirella」で出航し、後に他の船に移されたものである。

合計で、これらの輸送には535キログラムのコカインが含まれており、推定市場価値は少なくとも2,600万ユーロに相当する。最後の輸送では60キログラムのコカインが含まれており、クロアチア当局によって、アドリア海沿岸の港プロチェ(Ploče)で荷揚げ後の3月初めに押収されたと、クロアチア検察庁の文書は報告している。

OCCRPはまた、ノボア・トレーディングの貨物が2020年から2022年にエクアドルで発生した複数の押収事例と関連しており、その総量は約700キロのコカインに達すると、コロンビアの雑誌ラヤ(Raya)が引用した文書に基づいて指摘している。

 

同社は、パナマに登録されたランフランコ・ホールディング(Lanfranco Holding S.A.)が一部を所有している。パンドラ・ペーパーズ(Pandora Papers)で流出した文書によれば、このランフランコ・ホールディングは2015年にアルバロ・ノボア(Álvaro Noboa)からその息子であり現大統領のダニエルとフアン・セバスティアン(Juan Sebastián)へ譲渡されたとされている。もう一人の株主である不動産会社インモビリアリア・ゼウス(Inmobiliaria Zeus S.A.)には、近親の家族が含まれている。

ノボア・トレーディング社は記者からの質問に回答せず、ダニエル・ノボア大統領の事務所もコメントを控えている。

Credit: Policijska uprava dubrovačko-neretvanska

 

ダニエル・ノボアは同社の所有者ではないと主張

大統領選の事前討論において、ダニエル・ノボアは自身は同社の所有者ではないと述べた。ただし、親族が関与していることは認め、同社が貨物の汚染(違法薬物の混入)を検知した際には当局と協力していると強調した。

OCCRPの取材に応じた専門家は、グアヤキル港の脆弱性を指摘している。同港では、貨物に広範なアクセス権限を持つ契約業者が業務を行っている。そのうちの一人で、ノボア・トレーディングの検査を担当する人物は、4件の司法手続きに直面してきたが、いずれも有罪判決には至っていない。

経済・政策研究センター(Center for Economic and Policy Research)の国際調査ディレクターであるジェイク・ジョンストン(Jake Johnston)はOCCRPに対し、「これらの暴露は、暴力との戦いと麻薬カルテルの腐食的影響の阻止という物語に自身の政治経歴を全面的に依拠してきた大統領にとって、巨大な利益相反を露呈している」と語った。

エクアドルの元外相ギヨーム・ロン(Guillaume Long)も、この件を「極めて重大」と評価し、バルカンの犯罪ネットワークがエクアドル国家の構造内に存在している可能性について警告した。これらの暴露は、大統領が「麻薬テロリスト(narcoterroristas)」との戦いのために国際的な軍事支援を求め、国内で組織犯罪への対策作戦を継続している最中に明らかになったものである。

#DanielNoboa #Banana

 

参考資料:

1. Revelan uso de carga de empresa familiar de Noboa para tráfico de cocaína
2. Cocaine and Bananas: How Balkan Traffickers Used Fruit Shipments From the Ecuadorian President’s Family Firm to Smuggle Drugs – OCCRP

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