(Photo:Rafael Medelima/COP30)
過去6か月間、ブラジル政府は、先住民族省(Ministério dos Povos Indígenas:MPI)を通じ、ブラジル先住民族連合(Articulação dos Povos Indígenas do Brasil:APIB)との協力のもと、先住民族の指導者とともに、COP30の構造と意義に関する一連の会合を推進してきた。
両者が主導する会合は2025年初頭からブラジル全土(すべての州とバイオーム)で開催され、80の先住民族コミュニティが参加した。Ciclo COParente(COParente Cycle)と呼ばれるこの会合は、COP30の期間中に行われる討論および交渉を議論する場であり、指導者たちの参加を情報面および能力面から強化することを目的として構築されたものである。
先住民族省のグアジャジャラ大臣(Sonia Guajajara)は、この取り組みの名称であるCOParenteには、先住民族の間で血縁に関係なく一般的に用いられる「parente(親族・仲間)」という語が含まれており、COP30の開催に向けた参加促進と集合的アイデンティティの醸成を意図している。彼女は、先住民が “親族=parentes” という概念に基づき先住民族省(MPI)および連邦政府とともに、世界最大の気候変動関連イベントで提示される先住民族の立場を形成する作業を進めることに期待をしている。
連邦政府は、イベントの公式スペースに参加する先住民族代表に対してはクレデンシャル(資格証)を付与している。先住民族省(MPI)は、国内のすべての先住民族に対するクレデンシャルの配分を調整する予定だが、参加する「parente」を推薦するのは先住民族運動であり、その作業はCiclo COParenteの開催段階において進められることとなっている。
各段階において、ソニア・グアジャジャラ大臣は、推薦基準およびクレデンシャルを受け取るために必要な公式要件について説明する。これらの要件には、有効なパスポートを所持していることや、気候変動に関するテーマにおいて自らの民族および基盤組織に対して対話を行う資格があると認められる指導者であることなど、さまざまな点が含まれる。加えて、各地域間の公平性を維持するため、枠は各地域の先住民族人口の比率を考慮しつつ、州ごとに配分される。
Ciclo COParenteは、先住民族の地域組織が推薦に関して意見を表明するためにも構想されたものであり、これらの意見はブラジル先住民族連合(APIB)を通じて体系化されることになっている。クレデンシャルへの推薦に自らの名前が挙げられることを希望する指導者は、それぞれの地域先住民族組織――APOINME、ARPINSUL、ARPINSUDESTE、Aty Guasu、Conselho Terena、Comissão Guarani Yvyrupá、またはブラジル・アマゾン先住民族組織連合(Coordenação das Organizações Indígenas da Amazônia Brasileira:COIAB)やその基盤となる提携団体:APIAM、APOIANP、ARPIT、CIR、COAPIMA、FEPIPA、FEPOIMT、Movimento Indígena do Acre――に連絡しなければならない。これらの組織は、先住民族省が示した基準および人数配分を満たしたうえで、推薦をブラジル先住民族連合(APIB)に提出することができる。Ciclo COParente(Ciclo COParente)の第1回開催以来、これらの情報はイベント参加者および先住民族運動の代表者に伝達されてきた。上述の通り国内すべての州で会合を開催されたのは、COP30の重要性について先住民族の指導者に十分理解してもらい、協力を仰ぐためである。
Ciclo COParenteはまた、先住民族省(MPI)との間で約束が交わされたイベント期間中に先住民族の指導者に宿泊場所を提供してもらうことを改めて確認する機会ともなっている。COPの歴史上、最大かつ最良の先住民の参加を実現するために、MPIはAldeia COP(Aldeia COP)を整備・調整する予定であったからである。Aldeia COPは単なる宿泊施設ではなく、生活、交流、対話、そしてアクティビズムの場として機能する多目的空間を指す。
この取り組みは、「Círculo dos Povos(Circle of Peoples)」の枠組みの中で、国連気候会議の歴史上、最大の先住民族参加を実現するというブラジルのより広範な努力の一部である。先住民族省(MPI)によれば、ブラジル国内に暮らす391の先住民族のうち、約2,000人の代表がCiclo COParenteに参加しており、国連気候会議に向けてこれまでに組織された中で最も広範な先住民族動員となった。
各会議の議題は、地域ごとの現実を反映するため、現地の指導者との協働で策定された。会合の中で、360人の先住民族指導者がCOP30のブルーゾーン(Blue Zone)――世界中の当局者が気候対話を行う公式交渉空間――で参加するために選出された。選考はブラジル先住民族連合(APIB)およびその基盤組織を通じ、先住民族運動によって行われた。
「私たちは、この存在によって世界が先住民族の貢献――気候危機への取り組みにおいてすでに果たしている貢献、私たちの生活様式、アグロエコロジーに基づく食料システム、植林や水源の回復の取り組み――を聞くことができるよう、COPへの参加に備えるためのプロセス全体を組織したのである」と、ソニア・グアジャジャラは述べた。「私たちは領域の守護者としての要求を提示したい――しかし、私たちは解決策の一端でしかない」と彼女は続け、ブラジルで最も保全状態の良い森林地域の多くが先住民族の土地に位置していることを指摘した。
先住民族国家財団(Fundação Nacional dos Povos Indígenas:FUNAI)総裁のジョエニア・ワピシャナ(Joenia Wapichana)によれば、一連会合の期間中に行われた議論は、参加者の間で共通の理解があることを確認するものだった。「議論されたすべてのことは、先住民族の実践――土壌の管理、水源の保全、持続可能な実践のための伝統知識の活用――に深く結びついている。私たちは気づいた。私たちはこれをずっと前からやってきた。COPが始まるよりもはるか前からである。今こそ、そのことが認識されるべき時だ」と彼女は強調した。
ブラジル先住民族連合(APIB)およびブラジル・アマゾン先住民族組織連合(COIAB)の事務局長クレベル・カリプーナ(Kleber Karipuna)は、Ciclo COParente が第30回気候変動枠組条約締約国会議における強力な代表性を確保するために不可欠であったと強調した。「ブラジルのすべての州からの先住民族参加者が、ブルーゾーンに直接関与することになる。指導者の選出を通じて、この幅広く適切に分散した参加を保証するうえで、サイクルは重要な役割を果たした」と彼は述べた。
国会議員および州政府・市政府の代表者も、COP30議長団による「気候に関する集団的な取り組みを構築する」という呼びかけに応じ、Ciclo COParente への参加を招待された。先住民族が、この前例のない規模の参加を通じて期待する主な成果には、次のようなものがある:
- 気候危機を緩和するための基本的行動として 森林保全の重要性が認識されること
- 先住民族の領土(Indigenous territories)の画定および管理 を、気候緩和策として組み込むこと
- 先住民族へ資源を直接移転できるようにするための 直接的な気候資金メカニズム を確立すること
また例えばトロピカル・フォレスト永遠基金(Tropical Forests Forever Fund:TFFF) を通じて、炭素排出削減における先住民族の主導的役割を強化することも期待している。グアジャジャラ大臣によれば、先住民族省(MPI)は、Ciclo COParente を毎回のCOPに先立って行われる 年次動員 とすることを目指しており、将来的には他国のモデルとなる可能性もあるという。Ciclo COParente の全開催日程は以下の通り:
4月16日・17日: ベレン(Belém)
5月5日・6日: 南部地域(Região Sul)
5月19日・20日: 北東部地域(Região Nordeste)
5月29日・30日: 南東部地域(Região Sudeste)
5月5日・6日: 南部地域(Região Sul)
5月19日・20日: 北東部地域(Região Nordeste)
5月29日・30日: 南東部地域(Região Sudeste)
6月6日~10日: マット・グロッソ・ド・スル州(Mato Grosso do Sul)
7月6日・7日: ロンドニア州(Rondônia)
7月9日・10日: アクレ州(Acre)
7月15日・16日: マラニョン州(Maranhão)およびトカンチンス州(Tocantins)
8月12日・13日: ロライマ州(Roraima)
9月13日: アマパー州(Amapá)
9月14日・15日: サン・ガブリエル・ダ・カショエイラ(São Gabriel da Cachoeira)
9月16日: 南アマゾナス(Sul do Amazonas)
9月19日・20日: マナウス(Manaus)
9月29日・30日: マット・グロッソ州(Mato Grosso)
参考資料:
1. Credenciamento de povos indígenas na COP-30 será realizado por meio do Ciclo COParente, coordenado pelo Ministério dos Povos Indígenas em diálogo com a APIB e demais organizações do movimento indígena
2. COParente Cycle: Brazil Holds Largest Indigenous Mobilization Ever for a Climate Conference

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