（Photo：EFE）
ダニエル・ノボア（Daniel Noboa）が推進した国民諮問（Consulta Popular）および国民投票（Referendo）が敗北したことを受け、エクアドルのソブリン債（国債）は11月17日（月）に大きく下落した。また、エクアドルのカントリーリスクもまた、国民投票の結果を受け38ポイント上昇している。
国債（bono soberano）とはエクアドルのような国家が投資家から借り入れをするために発行する金融商品である。政府は資金調達のためにこれらの債券を発行し、定められた期日に利息付きで返済することを約束する。
価格が上昇する時は、その国の経済・政治の安定性に対する市場の信頼が高まったことを示し、価格が下落する時は、経済運営の方向性や国内政治情勢への懸念を示す。
数カ月にわたり回復基調にあったエクアドルの国債は、月曜日の取引開始時に急落した。国民投票はノボアが現行憲法を置き換え、自身の政治・経済プロジェクトに沿うようにするため、制憲議会（Asamblea Constituyente）の招集を目指すものだったが、有権者はそれを拒否したことで、不確実性を高めたとされている。
10年物国債（2035年償還）は、米ドル建て価格が金曜日の取引終了時の 80.509 から、月曜日午前には 77.129まで下落し、3.4セント値を下げた。これは 4.2％の下落に相当し、Bloomberg のデータによるものである。その急落後、価格はある程度回復し、78.447 を記録したが、それでも一日の始値より 2.56％低い水準である。
期待を押し上げた経済改革
2035年償還のエクアドル国債は、今年4月の選挙でノボアが 2029年までの再選を果たして以降、上昇傾向にあった。選挙時点では 44.314 で取引されており、現在の価格と比較すると 77.03％の累積上昇となる。
国債の好調な推移は、行政府が財政安定と回復を目的としてここ数カ月進めてきた影響の大きい措置の結果と言える。 ダニエル・ノボア大統領は国際通貨基金（IMF） との約束の中で維持している 40億ドル規模（2024〜2028年）の信用プログラム の枠組みの中で経済改革および財政調整を行っており、それによって支えられてきた。これらの施策には、付加価値税（VAT）を12％から15％へ3ポイント引き上げたこと、政府規模の縮小として5,000人の公務員を解雇したこと、そして最も消費量の多いガソリンとディーゼル燃料への補助金を撤廃したことが含まれる。これらの決定は、市場に対して財政規律を重視する政府という印象を強めた一方で、社会的緊張も引き起こした。とくに、ディーゼル補助金撤廃に抗議する先住民運動による1カ月間のデモがその象徴である。
ノボアは、エクアドルが直面する近代史上最悪の暴力の波のさなかで、「より強硬な手段」で組織犯罪と戦うため、また、外国投資を呼び込み、より柔軟な労働市場で雇用を創出するためには、コレア政権時代から受け継いだ現行憲法では不十分だと主張した。そして、憲法を変えるかどうかを国民に委ねた。
この国民投票は、ノボアにとって単なる審査ではなかった。彼の主張によれば、国民投票は憲法制定議会への道を開く手段であり、それによって「組織犯罪へのより強力な対抗」「外国投資誘致のための経済部門の柔軟化」が可能になるはずだった。しかし、有権者の判断は明確であった。しかし、投票所に呼ばれた国民は、憲法変更の提案を明確に拒否した。「反対（No）」が61.66％、「賛成（Sí）」はわずか38.34％であった。
有権者は国民投票で全ての提案を拒否
憲法制定議会だけでなく、有権者は政府の他の提案もすべて退けた。
- 外国軍基地の設置を許可する提案
- 国会（Asamblea Nacional）を151議員から73議員へ削減する提案
- 政党への公的資金の廃止
この結果は、アナリストや市場関係者により、国民の不満の表れ、そして政府が今後自らの政策課題を維持するうえで直面するであろう政治的困難への警告として解釈された。
参考資料：
1. Bonos soberanos de Ecuador caen hasta un 4,2% tras derrota de Noboa en el referéndum
2. Bonos de Ecuador caen tras derrota de Daniel Noboa en el referendo
3. El ‘No’ golpea al mercado: bonos soberanos de Ecuador retroceden hasta 4,2 %
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