ブラジル:UNFCCC COP30期間中、ベレンがブラジルの首都となる

11月4日(火)ブラジルの大統領ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ(Luiz Inácio Lula da Silva)はパラー州(Estado de Pará)のベレン(Belém)を第30回国際連合気候変動枠組条約締約国会議(30.ª Conferencia de las Naciones Unidas sobre el Cambio Climático:COP30)の開催期間中、首都とする法律に署名した。この法案は国民議会(Congresso Nacional)によって承認され、法律第15.251号(Lei 15.251)として、連邦官報(Diário Oficial da União)にも公布されている。会議は11月11日から21日にかけて開催される予定であり、この措置は「連邦官報(Diario Oficial da União)」にも掲載されている。

政府によれば、この一時的な首都移転は象徴的かつ政治的な性格を持ち、「国際的な環境アジェンダにおけるアマゾニア(Amazonía)の重要性を強調する」ものであると同時に、地球規模の気候問題に対するブラジルの取り組み姿勢を示すものである。

この期間中に発出されるすべての行為(atos)および通達(despachos)は、共和国大統領および閣僚のものを含め、パラー州の州都ベレンにおいて登録されることとなる。COP30開催期間、行政府(Poder Executivo)、立法府(Poder Legislativo)、司法府(Poder Judiciário)もまた、制度的および政府的活動を行うためにベレン市に設置されることができるようになる。

法案を提出した下院議員デュダ・サラベルト(Duda Salabert, PDT-MG)によれば、この移転はブラジル当局と外国当局との対話を促進する効果があるという。サラベルト議員は、法案を下院に提出した際に次のように記している。「この措置は、ブラジル政府および議会が環境問題にコミットしていること、そして地球全体に影響を及ぼす問題に対して有効な解決策を見出す必要性を示すものである」。

法案の本会議での報告者であるジョゼ・プリアンチ(José Priante, MDB-PA)下院議員は、このような措置は新しいものではないと指摘した。1992年に連邦首都がリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に一時的に移されたことがあり、これは国連初の気候会議であるリオ92(Rio-92)の期間中であった。プリアンチ議員はさらに次のように説明した。「この措置は、下院および国民議会の象徴的な行動を通じて、すべてのブラジル国民がアマゾンの中心で行われるこのイベントの象徴性を認識できることを示している」。

下院における法案は賛成304票、反対64票で可決され、反対したのは新党(Novo)と野党指導部のみであった。下院で承認された法案は上院の審議に回り、上述の通り上院でも承認されたため成立に至った。下院で反対に投じたルイス・リマ(Luiz Lima, Novo-RJ)議員は「首都の移転は象徴的なものであっても、車両のレンタル費、会場の賃貸費、情報技術(TI, Tecnologia da Informação)の経費が伴う」と述べていた。

なお、下院会議ではPL 2.334/2023が承認された。これは国立治安基金(Fundo Nacional da Segurança Pública, FNSP)の規則を改正し、一部の資金を道路安全活動および交通担当者の能力向上に使用できるようにするものであった。承認された修正案によれば、交通違反の罰金総額の5%が基金に充てられる。この資金は、交通機関の施設の建設・改修、機材・車両の購入、さらに担当者の訓練に使用されることになる。

 

ルラは、11月1日からパラー州に滞在しており、11月9日(日)にはコロンビアのサンタ・マルタ(Santa Marta)で開催されるラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribeños:CELAC)と欧州連合(European Union:EU)の首脳会議に出席する予定である。ルラによれば、同会議はカリブ海地域およびベネズエラ沿岸における米国の軍事的動きについて議論するのに適切な場になる。

「このタイミングでのCELAC会議には、ラテンアメリカの海域における米国戦艦の問題を議論する場合にのみ意味がある。私はこの件についてトランプ大統領と話す機会があり、ラテンアメリカは平和の地域であることを伝えた。ここでは核兵器は拡散していない。ブラジルの場合、憲法上も問題ない。[…] ここで戦争は必要ない」とルラは述べた。「われわれは平和の地域である。ここに戦争は必要ない。ベネズエラの問題は政治的な問題であり、政治的手段によって解決されるべきである」と彼は付け加えた。

ベレンで国際通信社とのインタビューに応じた際、ルラは、米国によるベネズエラへの地上侵攻の可能性を否定し、両国間の仲介に当たる意向を改めて表明した。「米国の軍隊によるベネズエラへの地上侵攻には至ってほしくない」と述べる同氏はまた、ベネズエラ問題について先月マレーシアで米大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)と話し合ったことを振り返り、解決策は政治的手段によるべきであると強調した上で、「ラテンアメリカは平和の地域である」と述べた。ルラはさらにトランプに対し「政治的問題は武器で解決されるものではない。対話を通じて解決されるべきだ」と伝えたと語り、ルラが米国とベネズエラの間の仲介者としての役割を申し出たと述べた。ルラが強調するのはブラジルはこの紛争において「全力で支援する意欲がある」ことであり、米国が麻薬取締を目的とするのであれば、これらの国々を「攻撃する」のではなく「支援する努力をすべきだ」ということである。

 

米国はここ数か月、カリブ海地域に軍事展開を行い、ベネズエラ近海および太平洋で民間船舶に対する一連の空爆を実施している。米国はこれらの船舶を麻薬取引に関与していると非難している。国連人権高等弁務官(Alto Comisionado de las Naciones Unidas para los Derechos Humanos)フォルカー・テュルク(Volker Türk)は、これらの攻撃で少なくとも60人が死亡したと指摘し、これを「超法規的処刑(ejecuciones extrajudiciales)」と非難した。

 

CELAC – EU首脳会議

CELACとEUの首脳会議は、カリブ海地域の緊張が高まる中で開催されている。米国政府は、同地域で麻薬取引を米国に向かって取り締まるとの名目で、複数の船舶を攻撃してきた。一方、ベネズエラの大統領ニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)は、ワシントンが自国の石油資源に関心を抱いており、地域での軍事的強化は自らを打倒することを目的としていると主張している。

このCELAC-EU首脳会議には、EUの27か国およびCELACの33か国の指導者が集い、両地域間の対話を再開し、南米南部共同市場(Mercosur)と欧州連合との自由貿易協定に関する交渉を再び進めることを目的としている。

ルラは11月1日(土)以降ベレンに滞在しており、当初は週末まで滞在の予定で、終了後にはペルナンブーコ州(Pernambuco)フェルナンド・デ・ノローニャ(Fernando de Noronha)での太陽光発電プロジェクト発表に向かう予定であった。しかし、新たな判断により、同大統領はペルナンブーコ訪問を取りやめ、コロンビアでの地域対話を優先することとした。会議は11月10日まで続く予定であるが、ルラは初日のみ出席し、その後ベレンに戻り11月6日(木)と7日(金)に予定されているCOP30首脳会合に参加する。この会合は、世界の指導者が気候政策および持続可能性政策を議論する公式開会前のイベントである。

# LuladaSilva

 

参考資料:

1. Lula firma ley que designa a Belém como capital de Brasil durante la COP30
2. Lula sanciona lei que transfere capital para Belém temporariamente
3. Câmara aprova transferir capital do Brasil para Belém durante COP30
4. Lula: “No quiero que lleguemos a una invasión terrestre” de EEUU a Venezuela
5. Lula decide ir à reunião da Celac discutir tensão na Venezuela

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