エクアドル全国ストライキ2025:国連専門家、政府弾圧の拡大と市民空間の悪化に警鐘

(Photo:AFP)

国連の専門家らは10月24日、エクアドルにおける基本的自由および市民空間、さらに先住民族(Pueblos Indígenas)の権利が深刻に悪化していることに懸念を表明した。この悪化は、全国規模のストライキに対する国家の対応によって一層深まっており、結社、集会、表現の自由に対する制限を含んでいる。

「この一連の攻撃のパターンは、市民社会組織および先住民族を沈黙させるために仕組まれているように見える。これらの措置には、社会透明法(Ley de Transparencia Social)の採択後、司法命令なしで銀行口座を凍結したとされる疑惑などが含まれている。同法は社会セクターを汚名化し、犯罪視するものである」と専門家らは述べた。また、憲法裁判所(Corte Constitucional)も嫌がらせや迫害の対象となっており、「人民の敵」と宣告され、名誉を傷つける攻撃を受けていると指摘した。

専門家らによると、9月22日、民間社会はディーゼル補助金の廃止、付加価値税(IVA)の引き上げ、先住民族の自由で事前かつ十分な同意なし(FPIC)に進められる採掘プロジェクトの実施、そして自然保護地域法(Ley de Áreas Naturales Protegidas)の公布に抗議するため、全国ストライキを呼びかけたという。

「エクアドル当局は、これらの抗議に対して不要かつ不均衡な武力を行使し、催涙ガスおよび実弾を含む手段を用いた」と専門家らは述べた。

社会的な抗議に対して軍が出動するという対応は、2024年1月以降に繰り返し出された非常事態宣言とあわせて行われてきた。そのうちのいくつかの非常事態宣言は、憲法裁判所によって、全部または一部が違憲と判断されている。専門家たちは、「こうした対応はいずれも、国家が平和的なデモの権利を守り、促進する義務とは両立しない」と述べた。

 

また、全国ストライキの期間中には、少なくとも3人が死亡し、282人が負傷し、172人が拘束され、15人が強制失踪の被害に遭ったと報告されている、と専門家たちは指摘した。これらの人権侵害の多くは、先住民族の人口が最も多いエクアドルの2つの県、インバブラとピチンチャで発生した。

専門家らは、司法命令なしで銀行口座を凍結したことや、全国ストライキを組織犯罪によるテロ行為と、証拠なしに結びつけた行為を批判した。このような一方的な対応で複数の人々がテロ行為・傷害・扇動の罪で逮捕された。オタバロで拘束された者の予防拘禁は、異文化対話(diálogo intercultural)の後、裁判所によって取り消された。

専門家らは次のように述べた。「我々は、武力の不当な使用を終わらせること、市民社会・先住民族・社会運動との間に、真に誠実で多様な対話と協議のチャンネルを開くこと、拘束された人々に対して適正手続きを保証すること、ストライキ以前および期間中に発生した人権侵害の訴えを調査すること、そして説明責任を確保することを求める。」

さらに彼らは次のように付け加えた。「現在行われている人権侵害については、正義を実現し、再発防止のための保障を前進させなければならない。」専門家らは、これらの懸念についてエクアドル政府と連絡を取っている。

この金曜日に発表された声明には、9人の国連専門家および特別報告者が署名しており、結社の自由を担当するジナ・ロメロ(Gina Romero)、司法の独立を担当するマーガレット・サタスウェイト(Margaret Satterthwaite)、先住民族の権利を担当するアルベール・バルメ(Albert Barume)らが含まれている。

 

専門家一覧

  • ジナ・ロメロ(Gina Romero):平和的集会および結社の自由の権利に関する特別報告者
  • セシリア・M・バイリエット(Cecilia M. Bailliet):人権および国際的連帯に関する独立専門家
  • ジョルジ・カトルガロス(George Katrougalos):民主的かつ公正な国際秩序の促進に関する独立専門家
  • マーガレット・サタスウェイト(Margaret Satterthwaite):裁判官および弁護士の独立に関する特別報告者
  • アルベール・K・バルメ(Albert K. Barume):先住民族(Pueblos Indígenas)の権利に関する特別報告者
  • カルロス・ドゥアルテ(Carlos Duarte)、シャルマーリ・グッタル(Shalmali Guttal)、ダヴィト・ハコビャン(Davit Hakobyan)、ウチェ・オフォディレ(Uche Ofodile)、ジュヌヴィエーヴ・サヴィニー(Genevieve Savigny):農民および農村地域で働く他の人々の権利に関する作業部会(Grupo de Trabajo sobre los derechos de los campesinos y de otras personas que trabajan en las zonas rurales
  • ピチャモン・ヨーパントン(Pichamon Yeophantong)(議長)、ダミロラ・オラウィイ(Damilola Olawuyi)(副議長)、フェルナンダ・オペンハイム(Fernanda Hopenhaym)、リラ・ヤクレヴィチエネ(Lyra Jakulevičienė)、ロバート・マッコーカデール(Robert McCorquodale):多国籍企業およびその他の企業と人権に関する問題の作業部会(Grupo de Trabajo sobre la cuestión de los derechos humanos y las empresas transnacionales y otras empresas
  • ベン・ソール(Ben Saul):テロ対策における人権および基本的自由の促進と保護に関する特別報告者

 

特別報告者(Special Rapporteurs)/独立専門家(Independent Experts)/作業部会(Working Groups)は、国連人権理事会(United Nations Human Rights Council)によって任命された独立の人権専門家である。
これらの専門家は総称して「人権理事会の特別手続(Special Procedures)」と呼ばれる。

特別手続の専門家はすべて無報酬のボランタリーベースで活動しており、国連職員ではなく、報酬も受け取っていない。国連人権高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights:OHCHR)は事務局として支援を行うが、専門家は個人の資格で活動している。そのため、彼らはいかなる政府・組織・国連・OHCHRからも独立している。提示された意見や見解は著者個人のものであり、必ずしも国連またはOHCHRの立場を代表するものではない。

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参考資料:

1. Personas expertas de la ONU alarmadas por una creciente represión y un deterioro del espacio cívico en Ecuador
2. Expertos de ONU alarmados por represión a protestas en Ecuador (+ Fotos)

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