(Photo:API)
社会団体は2025年10月12日(日)、キトでの大規模なデモ行進を呼びかけている。この行動はエクアドル先住民族連盟(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)が主導するストライキの一環であり、同日が「多文化主義・多民族国家の日(Día de la Interculturalidad y Plurinacionalidad)」にあたることに合わせて計画されている。集合場所は市の北中央部に位置するエル・アルボリート公園(Parque El Arbolito)で、参加者は午前10時にヴィラフローラ地区(Villaflora)から出発する。また、ピチンチャ(Pichincha)県北部およびキト南部から市中心北部へ向かうものもいる。
全国教育者連合(Unión Nacional de Educadores:UNE)は呼びかけ文で、「ストライキはディーゼル燃料問題にとどまらず、教育、医療、安全、そして適正な労働環境の確保のために団結するものである」と述べている。また、今回の行進は教育・医療の緊急事態宣言の要求、社会保障制度(Instituto Ecuatoriano de Seguridad Social:IESS)の擁護、公務員の解雇反対などの社会問題を訴える場でもあると強調した。さらに、労働者中央組織(Central de Trabajadores:Cedocut)は社会団体、学生、先住民族に対し、市南部からの行進参加を呼びかけている。
数千人規模の軍隊と警察が首都キトに集結
2025年10月9日からは、数千人の軍隊と警察が首都キトに集結している。これは、先の2019年および2022年のストライキ時に先住民指導者らが首都を占拠した事態の再発を懸念したものである。複数の県から軍部隊がキトに派遣され、都市の治安強化を図っている。トゥルカン(Tulcán)の第31アンデス歩兵旅団(Brigada de Infantería N.º 31 Andes)の軍隊もまた10月11日にキトへの移動を開始した。エクアドル軍によれば、第31アンデス歩兵旅団は戦略的インフラや労働者の権利を守るために首都キトへ派遣される。これは大統領令第174号に基づく動きである。国防省は、この措置が市民の安全確保と都市の安定維持を目的としており、この行動が予防的措置であり、現行法の範囲内で行われていると強調している。国立交通局(Agencia Nacional de Tránsito:ANT)は一方、デモ参加者をキトや他の都市へ移送するために輸送車両を提供する運送業者に対して制裁を科すと警告している。
Fuerzas Armadas a través del Ejército continúa el despliegue de personal militar hacia Quito
Efectivos de la Brigada de Infantería N.º 31 Andes se despliegan con dirección a Quito, para proteger y… pic.twitter.com/Kv93CKt6wQ
— Ejército Ecuatoriano (@EjercitoECU) October 11, 2025
12日のキトにおける大規模抗議運動と交通機関の変更
12日に予定されている大規模抗議行動のため、キト市内の公共交通機関は以下のように運行が変更される。これらの変更は午前6時から開始される。
キト市役所は、市民に対し公共交通機関の最新の運行情報を公式ウェブサイトやSNSで随時確認するよう呼びかけている。利用者は混雑や交通規制を考慮し、余裕をもった行動を心掛けるよう注意を促している。
【トロリーバスシステム(Sistema de Trolebús)】
キト市のトロリーバス路線のうち、特にデモ集結地点周辺の路線で運行が制限される。午前7時から午後4時まで、ヴィラフローラ地区やエル・アルボリート公園周辺の主要停留所は一時的に閉鎖される見込みである。これにより、一部の路線は迂回運行または一時運休となる可能性がある。
バス路線の変更
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北から南への路線(Sentido norte-sur)
サンタクララ(Santa Clara)停留所まで運行し、そこからエル・ラブラドール駅(Estación El Labrador)へ折り返す。 -
南から北への路線(Sentido sur-norte)
エル・レクレオ駅(Estación El Recreo)まで運行し、そこからキトンベ・ターミナル(Terminal Quitumbe)へ戻る。
エコビア(Sistema Ecovía)
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北から南への路線
マヌエラ・カニサレス停留所(Manuela Cañizares)まで運行し、そこからリオ・コカ駅(Estación Río Coca)へ折り返す。 -
南から北への路線
チンバカリェ停留所(Chimbacalle)まで運行し、そこからグアマニ駅(Estación Guamaní)へ戻る。
【その他のバス路線】
主要な幹線バス路線については、デモの進行状況に応じて一部区間の通行規制が実施されるため、運行に遅延やルート変更が発生する見込みである。特に、ヴィラフローラ地区およびキト北部へのアクセスは制限される場合がある。
【タクシーおよび配車サービス】
安全確保のため、該当地域では利用が制限される可能性がある。利用者は事前に状況を確認することが推奨されている。
なお、10月12日(日)の「日曜散歩(Paseo Dominical)」は中止となる。
ガソリンの新価格が適用される
2025年10月12日(日)より、エクアドル国内では、エクストラ(extra)、エコパイス(ecopaís)、およびスーペル(súper)ガソリンの新価格が適用される。この改定は、月毎に実施される燃料市場価格の更新に基づくものである。国家石油製品販売業者協会(Cámara Nacional de Distribuidores de Derivados del Petróleo:Camddepe)の事務局長オスワルド・エラソ(Oswaldo Erazo)によれば、オクタン価85および95のガソリンは価格が上昇したという。政府は2024年6月に導入したバンド制(sistema de bandas)に則り、毎月12日に燃料価格を更新している。この制度では、国際原油価格の変動に応じて、最大で5%の値上げまたは10%の値下げが可能となっている。この枠組みによって自動車用燃料の小売価格が調整される。具体的には10月12日(日)から、エクストラ(extra)およびエコパイス(ecopaís)ガソリンの価格は、前月の1ガロンあたり2.88ドルから2.911ドルに引き上げられる。これは5回連続の価格改定となる。値上げ幅は1ガロンあたり3セントである。エクストラおよびエコパイスはオクタン価85のガソリンであり、自家用車および軽量輸送車両の所有者の間で最も一般的に使用されている。また、スーペルガソリン(gasolina súper)(オクタン価95)は自由価格制(precio liberado)であり、今回3.47ドルから3.55ドルへと、1ガロンあたり8セントの値上げがあった。スーペルは、高圧縮エンジンや高性能車を使用するドライバーに好まれる燃料である。価格は地域やサービスステーションごとに異なる。なお、9月にも価格改定が行われており、エクストラおよびエコパイスは2.75ドルから2.88ドルへと13セント(約4.7%)の値上げがあった。これは、バンド制(sistema de bandas)に基づく4回目の連続値上げであった。当局および燃料流通業者は、これらの価格変動が国際的な原油価格の動向および輸入コストに直接連動していると指摘している。したがって、利用者(ユーザー)は、これらの新たな価格を月々の家計予算に組み込む必要がある。一方、自動車業界(sector automotor)は、補助金や補償策に関する政府の新たな方針発表を待ち望んでいる。
なお、抗議活動の火付け役となったディーゼル燃料の価格は、2025年9月13日に設定された2.80ドルから変更はない。これは、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領によるディーゼル補助金撤廃の大統領令の施行に基づいた価格設定で、この点において政府は一歩も譲る気がないという。
国連人権高等弁務官事務所と先住民族組織とのミーティング
2025年10月9日、国連人権高等弁務官事務所(ONU Derechos Humanos)は、エクアドルでの抗議活動に関連して、キチュア・ネーションの人々との対話を実施した。南アメリカ担当国連人権代表ジャン・ジャラブ(Jan Jarab)は、エクアドル北部シエラ地方のキチュア民族連合(Federación de los Pueblos Kichwa de la Sierra Norte del Ecuador:Chijallta FICI)の代表者とオンライン会議を行い、、9月末から続く抗議行動に伴う人権状況について分析がなされた。キチュア・ネーションの指導者たちは自分たちの領域における軍や警察の強い存在感に加え、「テロリズム」関連刑法の適用に強い懸念を示した。彼らは、この刑法の適用が先住民指導者の犯罪化を狙ったものであり、それが集団的権利の侵害につながっていると訴えた。国連人権高等弁務官事務所は、これらの懸念を真摯に受け止め、継続的な対話と人権尊重の重要性を強調している。
またどうミーティングでは9月28日に、インバブラ県コタカチでの社会抗議活動中に、殺害されたキチュア出身の住民エフライン・フエレス(Efraín Fuerez)の件について話がなされている。先住民族コミュニティは真相解明の必要性を強調し、また、事件の透明性と信頼性を確保するため、独立した調査の実施を強く求めていることを報告した。これらの事象に関連し、ヤン・ヤラブ(Jan Jarab)は国連事務総長アントニオ・グテーレス(António Guterres)の懸念を再確認するとともに、対話による解決の緊急性と、人権尊重を基盤とした包摂的アプローチの必要性を訴えた。さらに、国連人権高等弁務官事務所は、「先住民族の権利擁護および、社会的対立に対する平和的解決に今後も寄り添い、支援を継続する」と明言している。
#DanielNoboa #CONAIE #エクアドル全国ストライキ2025 #MarlonVargas
参考資料:
1. ONU Derechos Humanos dialoga con pueblos kichwa sobre las movilizaciones en Ecuador
2. Organizaciones convocan a marchas en Quito para este 12 de octubre de 2025
3. Modificaciones en el transporte público en Quito este domingo 12 por marchas de organizaciones
4. Organizaciones convocan a marchas en Quito para este domingo 12 de octubre de 2025
5. Nuevos precios de las gasolinas en Ecuador rigen desde el 12 de octubre de 2025
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