エクアドル:映画『Hiedra』、ヴェネツィア映画祭ホライズンズ部門で最優秀脚本賞受賞

(Photo:Getty Images)

エクアドルの映画監督アナ・クリスティナ・バラガン(Ana Cristina Barragán)が、イタリア・ヴェネツィアで開催された第82回ヴェネツィア映画祭のホライズンズ部門にて、最優秀脚本賞を獲得した。

2025年9月6日、受賞式でバラガン監督は「ラテンアメリカ映画万歳、パレスチナの自由を」と宣言し、映画祭のパレスチナに対する連帯のメッセージを強調した。また、審査員団に感謝の意を示し、「この受賞は私の作品の価値を認めるものであり、エクアドル映画界にとって非常に大きな意味を持つ。エクアドルで映画を作ることは、多くの並々ならぬ努力があって初めて可能となる」と述べた。

 

映画『Hiedra』は、孤児院の少年たち、とりわけ一人の少年フリオ(Julio)を毎日長時間観察する30代の女性アスセナ(Azucena)の物語である。なおアスセナはシモネ・ブシオ(Simone Bucio)が、フリオはフランシス・エドゥ・ジュミキンガ(Francis Eddú Llumiquinga)が演じている。二人の世界は階級も異なり遠く離れているが、心の傷が彼らを近づけ、互いに内面的な発見をもたらす。その関係は、エクアドルの首都にある火山の麓での出来事へと収束していく。

 

前作2作品とは異なり、自伝的要素を控えた映画であると、監督は受賞後の記者会見で説明した。バラガン監督は、「エクアドルの里親施設で養子に迎えられない若者たちの別の親密さを描きたかった」と述べ、「子ども時代や思春期の傷跡を見せることが非常に重要だと考えた」と強調した。

エクアドル文化副大臣室は、この成果を祝福し、「この成果はエクアドルの映画界にとって大きな節目であり、国を世界で最も権威ある映画の舞台の一つに位置付けた」と文化副大臣室は声明で述べた。また、文化副大臣のロミナ・ムニョス(Romina Muñoz)は自身のSNS(X)で「エクアドル映画は祝福の時を迎えている」とし、「エクアドルの芸術への投資は不可欠である」と語った。さらに彼女は「本作は創造性・イノベーション促進機構(IFCI)の支援対象作品として選ばれている」とも強調した。

 

監督は特に「子ども時代や思春期の傷跡」を描くことに強い関心を持っていたという。そして、それらがある意味で大人になる過程に繋がり、主人公たちの身体や所作に反映されている。二人は見知らぬ者同士であるが、本能的に惹かれ合い、やがて家族を形成していくのである。

授賞式でバラガン監督は、「私の最大のインスピレーションとなってきた多くの女性監督たちに感謝する」とも述べている。なお政府声明によると彼女は創造性・イノベーション促進機構(Instituto de Fomento a la Creatividad y la Innovación:IFCI)を通じて22万4千ドルの資金援助のもと『Hiedra』を作成した。例えば以下の工程においてである:

  • 長編ドキュメンタリー・フィクション・アニメーションの脚本制作

  • 長編フィクションまたはドキュメンタリーの企画開発

  • 長編フィクション・ドキュメンタリーの制作

  • 長編映画の制作およびポストプロダクション

  • 国内外の移動支援

 

政府によると、より多くのアーティストに機会を提供し、公的資金へのアクセスを透明かつ地方分権的に保証する、包括的で活発な文化エコシステムの構築に取り組んでいる。

Hiedraはエクアドル、メキシコ、フランス、スペインの合作であり、アナ・クリスティナ・バラガン監督が家族をテーマに描いてきた三部作の完結編にあたる。これまでに『Alba(アルバ)』(2016年)と『La piel pulpo(ラ・ピエル・プルポ)』(2022年)がある。

なお「ホライズンズ」部門の最優秀作品賞にはメキシコのダビ・パブロス(David Pablos)監督の『En el camino(エン・エル・カミノ)』が選ばれた。『En el camino』は、トラック運転手の世界を舞台にした同性愛ロマンスを描いた作品となっている。

#映画祭

 

参考資料:

1. La película ecuatoriana ‘Hiedra’, ganó como mejor guión de la sección Horizontes en Venecia
2. Ana Cristina Barragán hace historia para Ecuador con el premio al mejor guión de la sección Horizontes del festival de Venecia con su película ‘Hiedra’
3. El cine latinoamericano triunfa en Venecia con premios para películas de México y Ecuador
4. La película ‘Hiedra’ de la cineasta ecuatoriana, Ana Cristina Barragán, gana el premio Orizzonti al mejor guion en el Festival de Venecia
5. Hiedra, la película ecuatoriana que gana el premio a Mejor Guion del Festival de Cine de Venecia 2025

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