エクアドル出身の医師であり研究者であるカサリン・シンバニャ=リベラ(Katherine Simbaña-Rivera)は、スペインで開催された「#HiloTesis」コンテストで優勝した。彼女のプロジェクトはカナリア諸島にある火山とエクアドルの生活を結びつけるもので、火山から放出される重金属やガスは、何百万もの人々の呼吸器、循環器、甲状腺の健康に影響を及ぼす可能性があるという。
「この賞を獲得したことは、科学がわかりやすく伝えられるべきであり、また伝えられることを示している。そして、大西洋の島で始まった問題が、火山の近くに住むすべてのコミュニティに影響を及ぼすことを強調したい」とシンバニャ=リベラは述べている。
なぜこの研究がエクアドルで重要なのか
シンバニャ=リベラは、2021年に起きたラ・パルマ(La Palma)のタホガイテ(Tajogaite)火山の噴火が、周辺に住む数百人の血液に痕跡を残したことを分析した。アルミニウム、チタン、ニッケル、鉛などの重金属の濃度が高まっていたのである。彼女の研究とエクアドルの関連は直接的である。なぜなら同国には27の活火山または半活火山が存在し、火山と共に暮らしているからだ。「ここで学んだ重金属やガス、それらの累積的影響は、エクアドルにおける予防モデルとなり得る」と彼女は述べている。
すべてを動かした光景
ラ・パルマの映像は決定的であった。灰に覆われた家々、突如として避難した家族たち、壊滅した作物。幸いにも命は失われなかったが、経済的影響と心理的ダメージは被災者にとって重大であったと回想している。この経験に照らし、シンバニャ=リベラは「たとえ火山の麓に住んでいなくとも、我々はすべて繋がっている」と考えている。火山灰は数百キロメートルも飛散し、水や食物を汚染し得る。こうした影響を知り、監視することは、各家庭の健康を守ることに他ならないと彼女は強調する。
背後にあるもの:科学と粘り強さの道筋である
スペインで受けたこの評価は、10年以上にわたる努力の末に得られたものである。シンバニャ=リベラはエクアドルで医学を修めた医師である。バルセロナで分子生物医学の修士号を取得し、公衆衛生省(Ministerio de Salud Pública)で健康研究の責任者も務めた。彼女はインパクトの高い学術誌に40本以上の科学論文を発表している。スペインでは、グランカナリア大学(Universidad de Las Palmas de Gran Canaria)に属する生物医学・保健研究所(Instituto Universitario de Investigaciones Biomédicas y Sanitarias:Iuibs)の環境と健康の研究グループ(Grupo de Investigación de Medioambiente y Salud:Gimas)で医学研究者として活動している。そこで「Isvolcán」として知られる研究を進め、『Environmental Health』に発表した。カナリア諸島(Islas Canarias)で火山噴出物に曝露した1000人以上を臨床評価し、呼吸機能検査、生化学的指標による全身影響の解析まで行ったのである。この研究成果は現在、カナリア政府によって健康対策の実施に活用されている。
ここに至るまでの経緯
エクアドルでは、自殺に関する15年間の全国データ分析などの重要な研究を主導し、予防措置の焦点を絞ることに成功した。また、人工妊娠中絶(aborto)と母体死亡率(mortalidad materna)に関する調査も行い、立法論議に影響を与えた。パンデミック時には、新型コロナウイルスに関する国内初の科学論文に参加し、集中治療室(Unidad de Cuidados Intensivos:UCI)での生存率に関する研究を『Plos One』に発表した。「最も価値ある研究とは、人々に解決策という形で還元されるものである」と彼女は強調する。
タホガイテ火山の噴火後から得られた知見
ラ・パルマでの研究は明確なデータを示した。噴火時に393件の血液検体が分析された。火口付近に住む住民からは、アルミニウム、チタン、ニッケル、鉛の高濃度が検出された。多くは屋外で長時間過ごし、火山灰の清掃作業を行っていた。火山灰の清掃作業に従事した労働者や、最も被害の大きい地域で曝露した職員からは、極めて高い重金属濃度が特定された。「火山環境下での職業的曝露は、健康に対する具体的かつしばしば目に見えないリスクを伴う」。
曝露は目に見えず、静かで慢性的なものである可能性がある。血液、水、空気、食品のバイオモニタリング(生物学的監視)は、疾病予防および火山噴火後の健康対応を導く上で不可欠である。
エクアドルへの貢献
医師は、エクアドルで既に「エクアボルカン(Ecuavolcán)」プロジェクトという第一歩を踏み出したことを発表している。このプロジェクトは火山学者、毒物学者、公衆衛生の専門家らを結ぶ研究ネットワークである。目的は火山の近くに暮らすコミュニティの健康状態を評価することである。そのために、まずはコトパクシ(Cotopaxi)、トゥングラフア(Tungurahua)、サンガイ(Sangay)、レベンタドル(Reventador)の4つの火山のマッピングを完了している。
この取り組みは10年間、3段階にわたり展開され、大学や公的機関と連携して進められる。国内で初めての火山と健康に関する包括的研究となる予定であり、火山周辺のコミュニティにおける呼吸器系、心血管系、皮膚科、腫瘍学、精神衛生の諸側面が評価される。
シンバーニャは、これらの環境に一般的に存在する鉛、カドミウム、ヒ素などの金属への慢性的曝露が、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患リスクを15%から85%まで増加させるという強い証拠があると説明している。これは火山が、遺伝的要因や生活習慣以外にも、高い慢性疾患発生率に間接的に影響を及ぼしている可能性を示唆するものである。
以下がエクアドルで理解すべきポイントである:
・火山は噴火しなくても被害をもたらす。休息期(レポソ)でも有毒ガスを放出するためである。
・火山灰は数百キロメートル飛散し、キト(Quito)やグアヤキル(Guayaquil)などの大都市にまで到達することがある。
・呼吸器疾患、甲状腺疾患、心血管疾患は火山性汚染物質と関連している。
・国際的な研究では、火山帯周辺地域で甲状腺がんや心筋梗塞の発症率が高いことが示されている。
・エクアドルにはまだ公式データが存在しないため、バイオモニタリング(血液・水・空気・食物の測定)が重要であり、被害を嘆く前に予防することが肝要である。
シンバニャ=リベラが踏み出す次のステップ
彼女の最新のバイオモニタリングに関する論文は、スペイン疫学学会にて共有され、11月にはラ・パルマ自治体の政府関係者にも紹介される予定である。
今後5年間はカナリア諸島での研究継続と、エクアドルでの「エクアボルカン」プロジェクトの開始に注力する。課題は曝露地域の住民を対象とした健康監視プロトコルの確立である。火山は単なる緊急事態と捉えるべきではなく、その影響は累積的であると警告している。
彼女の目標が達成されれば、エクアドルはラテンアメリカにおける火山性健康問題の模範となり、潜在的なリスクを予防のモデルへと変革することが可能となる。
参考資料
1. Médica ecuatoriana revela cómo los volcanes amenazan silenciosamente la salud
2. La doctoranda de la ULPGC, Katherine Simbaña-Rivera, premiada en el concurso #HiloTesis
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