(Photo:Policía Nacional)
国民議会(Asamblea Nacional)の本会議は、今週火曜日に「公共倫理に関する有機法(Ley Orgánica de Integridad Pública)」と呼ばれる法案を承認した。この法案の中には、未成年者に対する刑罰を強化する措置が含まれており、これに対してユニセフ(UNICEF=国際連合児童基金)が強い懸念を示した。ユニセフはこの法律を「少年司法制度に対する後退的な改革であり、青少年に重大な影響を与えるものだ」と評価している。
議会には148名の議員が出席し、うち84名が賛成票を投じた。多数派の与党系議員により成立した「公共倫理法」には、移民政策、交通、司法機能、児童青少年法など、約20の既存法の改正が含まれている。これはダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領による二度目の法案であり、1か月未満の期間で議会に承認されたもので、組織犯罪との戦いにさらなる力を与えることを目指している。
この法律は、違法行為を犯した未成年者に対する刑罰を厳格化するものである。これにより、未成年者が成人に達しても自由剥奪措置(刑罰)を終了することなく、そのまま刑に服し続けなければならないことになる。この新しい処遇は、「子どもおよび青少年有機法典(CONA)」および「包括的有機刑法典(COIP)」の改正により実施される。
法律は公共契約、公的部門の制度強化、公共全体の行政管理、そして国内の子どもたちを脅かす犯罪ネットワークの根絶という四つの柱を中心に構成されている。特に最後の柱において、組織犯罪に関連する重大な犯罪を犯した未成年に対して、最長で15年の自由剥奪刑を科すことが規定された。政府によれば、この措置は犯罪組織による未成年者のリクルート(勧誘)が増加していることに対応するものであり、抑止を目的としている。ダニエル・ノボア大統領は、2024年初頭より、犯罪の暴力的拡大に対抗するため、犯罪組織に対して「戦争」を宣言していた。この法案はダニエル・ノボアにより「緊急経済法案(carácter económico urgente)」としての性格も与えられている。
2025年1月から6月までの間に、1,200人から1,300人の未成年者が、治安部隊による犯罪組織に対する作戦の一環として逮捕されたと、包括・社会統合大臣ハルドル・ブルバノ(Hardol Burbano)はEFE通信に語った。内務大臣ジョン・レインベルク(John Reimberg)は、先週、ダニエル・ノボア大統領の下に設置された「子どものリクルート、使用および利用の防止・撲滅委員会(Comité para la Prevención y Erradicación del Reclutamiento, Uso y Utilización de Niños)」の初会合後に、昨年には同様の理由で3,500人を超える未成年者が拘束されたと明らかにした。レインベルク大臣によれば、政府は今後30日以内に、未成年者の犯罪組織へのリクルートを防ぐための公共政策計画を策定する予定である。
後退的改革
ユニセフはSNS「X(旧Twitter)」を通じて声明を発表し、ノボア政権が国会で可決させたこの新たな措置は、青少年に深刻な影響を与えると指摘した。「公共倫理法の可決を受けて、ユニセフは、少年司法制度に対する後退的改革が青少年に深刻な影響を及ぼすことに強い懸念を示す」と述べた。
「ユニセフは、この種の措置が治安対策として有効であるとは証明されておらず、エクアドル共和国憲法および同国が批准している『子どもの権利条約』に違反していると強調する」と国連児童基金は表明した。「むしろ、刑務所制度の悪化を招き、青少年の社会復帰の可能性を損なう恐れがある」と警告しまた、国家当局に対して、子ども・青少年の権利を効果的に保障するよう求めた。
🔴 Pronunciamiento oficial. pic.twitter.com/17tuFiIyxI
— UNICEF Ecuador (@unicefecuador) June 25, 2025
与党系議員のバレンティナ・センテノ(Valentina Centeno)によると本法は、組織犯罪に関連する殺人などの罪を犯した未成年者に対し、最大15年の刑罰を科す厳罰化を掲げている。すなわち「成人と同様に裁かれる」ことになる。さらに、リクルーターを告発した未成年者は刑罰を「最大50%軽減」される可能性がある。「未成年者が、不法行為へ導いた者を司法にかけるほど協力すれば、その半分の刑が課される」と法案本文は規定している。センテノは、「この法は未成年者を対象としたものではなく、彼らを利用するマフィアに対するものである。無法状態に終止符を打つものである」と擁護した。
しかし、女性や暴力被害者の家族を支援する団体Cepamの弁護士コンスエロ・ボウェン(Consuelo Bowen)はAFP通信に対し、「この結果は大量の未成年者の投獄をもたらし、彼らは刑務所で犯罪技術を磨き、早期に社会に戻って再び犯罪を犯すことになる。彼らが別の現実を知らないからだ」と語った。さらに「最終的に求められているのは単なる罰則であり、この措置は社会がエクアドルの児童青少年に対する責任を放棄することを意味している」と述べた。本法はまた、司法制度の非常事態宣言を可能にする規定も含んでいる。政府は組織犯罪が司法に浸透し、無罪放免を獲得しようとしていると非難している。
少年司法制度の変更点
これまでは、未成年者は仮収容施設に収容され、少年として審理された。最大刑期は8年とされていた。しかし、新しい改正により「子ども・青少年有機法典(CONA)」および「包括的有機刑法典(COIP)」への改正が以下のとおり行われる:
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刑事処分の予防的収容期間は最大180日
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COIPで10年以上の懲役が科される犯罪の場合、未成年者の収容期間は最長1年
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1ヶ月超~3年までの懲役刑相当の犯罪には、仮収容、半開放制度、地域奉仕などの社会教育的措置が適用
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5年以下の懲役相当の犯罪では、未成年者は最大5年間、少年施設に収容される
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10年以上の懲役相当の犯罪では、未成年者への収容措置は10~12年の施設収容となり、社会教育的措置や半開放制度は適用されない
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最も重大で、組織犯罪(麻薬密売、殺し屋、テロ、人身取引など)に関与した場合は、未成年者は12~15年の施設収容となる
さらに、未成年者が18歳に達しても未執行刑がある場合、そのまま少年収容施設で服役し続けなければならないという条項が加えられた。
ただし、「国内武力紛争」に関連するテロ行為などの場合、18歳になると成人刑務所へ移される規定もある。
コレア派の反発:法治国家への侮辱
この法律はまた、既存の19の法律にも改正を加え、次のような変更が導入されている。すなわち、5年以上の刑に処され服役後にエクアドルから国外追放された外国人に対して、40年間の再入国禁止措置が課されるという内容である。この措置に違反した場合、外国人は「軍事的標的(objetivo militar)」と見なされる可能性がある。ただしこれは、ノボアによって宣言された「国内武力紛争(conflicto armado interno)」が継続している場合に限る。加えて、この法律によりノボア大統領には、特定の公共機関を解体する権限が与えられ、また、信用・貯蓄協同組合は「連帯経済・社会的経済システム」から「民間金融システム」へと移管されることになった。
このいわゆる「公共倫理法」の可決には、ノボア大統領に対する主要な野党勢力であるコレア主義(Correísmo)が強く反発した。コレア派は、「長年にわたり勝ち取られてきた労働権、公務員の職業的安定、国際法およびエクアドルが署名している条約を一挙に抹消した」と、SNS上の声明で警告した。「人間を中心に設計された連帯経済を否定する行為である」とも述べた。同派は、2007年から2017年まで大統領を務めたラファエル・コレア(Rafael Correa)氏が指導者を務める政治勢力である。彼らは、この法案がエクアドルの憲法に違反しているだけでなく、議会手続き自体も違憲であった可能性があると主張した。なぜなら、審議中に法案に修正が加えられたにもかかわらず、議会委員会に差し戻されることがなかったからである。「これは単なる誤りではない。立法手続き上の異常であり、法治国家への侮辱である」とコレア派は表明した。「今日のエクアドルでは、法的真実が、借り物の忠誠や、過去に克服されたはずの慣習によって構築された多数派に置き換えられてしまっている」と彼らは述べた。「我々はこれに加担しない。この乱暴なやり方を告発し続け、法律、倫理、そして国民の権利を守るために闘う。たとえ、議会が尊厳をもって立法するという記憶がもはや遠い過去のものとなっていても」と締めくくった。
エクアドルは現在、麻薬密売人と国際的な犯罪組織の縄張り争いによる流血の抗争に巻き込まれている。殺人率は2018年の10万人あたり6件から2024年には38件に上昇し、2023年には史上最多の47件を記録した。
参考資料:
1. Ley de Integridad Pública: Ecuador endurece penas para menores y UNICEF expresa su preocupación
2. Ecuador: aprueban una ley que endurece las penas contra los menores de edad
3. El Congreso de Ecuador aprueba una ley que endurece las penas para adolescentes
4. Qué dice la recién aprobada Ley de Integridad Pública de Ecuador sobre las penas para adolescentes
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