エクアドル:バナナ産業の最初の労働組合設立とその暴力的弾圧

(Image:Jan Nimmo)

2002年の事件発生当時、アーティストであり、Banana Link スコットランドの調整員であったハン・ニモ(Jan Nimmo)によって2022年5月16日(月)に書かれた「エクアドルにおけるバナナ産業の最初の労働組合設立から20年——暴力で封じられた抗議活動(Blog: Hace 20 años que en Ecuador se formaron los primeros sindicatos del sector bananero. Sus protestas fueron silenciadas con violencia)」という記事を翻訳したものである。この記事は当時世界第4位のバナナ会社であったボニータ・ブランズのもので、この国で最も裕福な男アルバロ・ノボアが所有している農園で発生した暴力事件や、バナナ業界で平然と行われる人権侵害を背景とする。


本日は、ロス・アラモス農園(Hacienda Los Álamos)で労働者たちがストライキの最中に襲撃された事件から20年目にあたる。この農園は実業家アルバロ・ノボア(Álvaro Noboa)の管理下にあった。事件当時、ハン・ニモが現場に居合わせ、その様子を記録した。

エクアドルにおける労働者の権利獲得の闘いは今なお困難に満ちている。企業や寡頭勢力は依然として労働者に対し強い支配力を持つ。例えば、2020年にはSUMIFRUTAS SA社が労働組合を結成した30名の労働者を違法に解雇した。さらに、新たに農業大臣に就任したのは、過去30年間にわたりノボア・コーポレーションで昇進を重ねた元幹部ベルナルド・マンサノ(Bernardo Manzano)である。

バナナ産業には緊急の改革が求められている。今年4月に欧州のNGOと会合を行った後、「バナナ・クラスター(Clúster Bananero)」と呼ばれる組織が、世界バナナフォーラムと連携し、労働問題を議論する「円卓会議」の設立を提案した。Banana Linkはこの取り組みに期待を寄せ、その支援を表明している。

ここでは、2002年5月、グアヤス県プエルト・インカのロス・アラモス農園で労働者たちが直面した困難について振り返る。

 

労働者たちの闘いと弾圧

2002年5月1日、エクアドル自由農民・先住民協会全国連盟(Federación Nacional de Asociaciones de Campesinas e Indígenas Libres de Ecuador:FENACLE)、後のエクアドル全国統一バナナ労働者組合(Sindicato Nacional Único de Trabajadoras y Trabajadores Bananeros del Ecuador:SINUTRABE)とともにバナナ労働者たちは、労働条件の改善と労働組合結成の権利を求めて抗議行動を開始した。当時、エクアドルのバナナ労働者は、ラテンアメリカ全域の中でも最低賃金かつ最悪の労働環境に置かれていた。実際、エクアドルでは30年以上にわたり、バナナ産業に労働組合が存在しなかった。しかし、ストライキとそれによる国際的な圧力の結果、労働者たちは3つの労働組合の結成を認めさせた。その後、ロス・アラモス農園の労働者たちは、基本的な労働者の権利と労働環境の改善を求めてストライキを決行した。

そして5月16日、ストライキ開始から10日目の未明、事件は発生した。

 

武装した破壊工作員(いわゆる「スト破り(rompehuelgas)」)が労働者の宿舎に押し入り、暴行を加え、多くの者を負傷させ、さらには銃撃まで行った。最も恐ろしいのは、彼らの計画が、60~70名の労働者をトラックのコンテナ内に閉じ込め、窒息死させた後、近隣の川に投げ捨てるというものであったことだ。しかし、これを阻止するためにコンテナのタイヤがパンクさせられ、さらにハン・ニモが現場を記録するために現れたことで、事態は一時的に沈静化した。しかし、その後まもなく、警察がただ傍観する中、武装したスト破りたちは再び農園内に入り、労働者たちに向かって発砲した。その結果、19名の労働者が負傷し、その中には右脚を切断することとなったマウロ・ロメロ(Mauro Romero)も含まれていた。

この農園はグルーポ・ノボアの所有であり、その創設者はエクアドル国内で最も裕福な人物であり、かつてはラテンアメリカ全体でも最も裕福な男とされたアルバロ・ノボアであった。労働組合との交渉が始まると、彼とその企業(Bonitaブランドの所有者)は、事件への関与を全面的に否定した。

襲撃の実行犯16名は違法な銃器所持で逮捕・有罪判決を受けたものの、その後すぐに刑が取り消された。その後6か月間にわたり、労働組合への圧力は続き、120名以上の労働者が組合活動を理由に解雇された。度重なる妨害の末、労働組合は解散を余儀なくされた。

アルバロ・ノボアは1998年以来、繰り返し大統領選に立候補しているが、この事件に関する責任を問われることはなかった。

 

2022年メーデー(国際労働者の日)

今年の5月1日、ラテンアメリカ各地で勇敢な労働者たちが労働者の権利を訴え、デモを行った。

エクアドルでは、フロレキサ企業労働者委員会(Comité de Trabajadores de Empresa Florequisa)などの労働組合がキトでデモを組織し、雇用の安定とエクアドル社会保障研究所(Instituto Ecuatoriano de la Seguridad Social:IESS)の保護強化を要求した。

Comité de Trabajadores de Empresa Florequisa

 

グアテマラでは、コカ・コーラ中央ボトリング会社労働者組合(Sindicato de Trabajadores de Embotelladora Central SA Coca Cola:STECSA)が、労働者の権利を求めて闘い、命を落としたり、行方不明となった仲間を追悼するデモを主導した。彼らはまた、最低賃金の引き上げを求め、労働者を軽視する政府に対して抗議した。

STECSA

 

パナマでは、労働者の団結、賃金引き上げ、雇用機会の拡大を求めるデモが行われた。

SITHA

#LosÁlamos #DanielNoboa #AlvaroNoboa 

 

参考資料:

1. Blog: Hace 20 años que en Ecuador se formaron los primeros sindicatos del sector bananero. Sus protestas fueron silenciadas con violencia
2. El amor en los tiempos de Álvaro Noboa

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