(Photo:Martín Mejía / AP)
2025年2月14日、200人以上の人々が国家警察の犯罪捜査部門(Dirección de Investigación Criminal:Dirincri)から人権擁護機関(Defensoría del Pueblo)まで行進し、憎悪犯罪の犠牲となった多くの性労働者たちの命に対して正義を求める抗議を行った。デモ参加者は、当局に対して増加する暴力と差別への懸念を表明し、脆弱なコミュニティを保護する必要性を強調し、この重大な問題に対処するための明確な回答と具体的な行動を求めた。ペルーに必要なのは、今後の憎悪犯罪を防ぐための迅速な対策を講じることだ。
この抗議活動は、社会における性労働者たちの安全を保障し、性別による暴力と不寛容を根絶するための行動を求める声である。
木曜日の性労働者とLGBTQI+活動家たちによる行進は、2023年2月に発生した2人のトランスジェンダーの殺害事件に対する不処罰と、ペルーにおける彼らの保護の不足に対する抗議を目的とする。元性労働者であり、仲間の権利を擁護する活動家である61歳のアンヘラ・ビジョン(Ángela Villón)がAP通信に語ったのは、「私たちの2人の仲間が殺されてから2年が経つが、まだ正義はない。だから私たちは、人々が見ていないが、私たちが身をもって体験していることを表現することに決めた」ということである。アンヘラが指す仲間とは31歳のルビ・トレス(Ruby Torres)と19歳のプリシラ・アグアド(Priscila Aguado)である。2023年2月13日の朝、リマの歴史地区中心部の通りで働いていた性労働者たちは、2人の仲間の殺害を撮影した動画を携帯電話で受け取った。当局によると、トレスは30発の銃弾を受け、アグアドは6発の銃弾を受けた。
リマの刑事捜査局の前で行われた再現劇では、ビジョンがトレスの友人役を演じ、トランスジェンダーの女性が行方不明になったことを警察署で助けを求めるが、無視される場面を再現した。時間が経つと、その友人はトレスの遺体がスーツケースの中で発見されたことを知る。これは2023年に地元メディアが報じた通りである。
「誰も見ていない苦しみを認識させることが目的だ。なぜならペルーではトランスジェンダーという存在は国家にも当局にも存在していない。トランスジェンダーが危険にさらされているという通報があっても、誰もそれを取り合わない」とビジョンは続けた。ビジョンは、トランスジェンダーに対する虐待や犯罪の通報を警察に提出する際に直面する困難についても述べている。
警察は2023年に、2人のトランスジェンダー女性が最後に乗った車の運転手を逮捕したが、犯人はまだ捕まっていない。逮捕されたのは犯罪組織「ロス・イホス・デ・ディオス(Los hijos de Dios)」のメンバーで40歳のベネズエラ人ジャクソン・アルベルト・サエンツ(Jackson Alberto Sáenz)でありる。彼の所属する組織は人身売買や売春行為を含むさまざまな犯罪から収益を得ている「Tren de Aragua」の現地支部である。ペルーでは売春は違法ではないが、規制されていない。AP通信は警察にコメントを求めたが、現時点では回答を得られていない。「ペルーは地域内で最もトランスジェンダーの人々を保護しない法的枠組みを持っている。法律も公共政策も完全に欠如している」と、ペルー・カジェタノ・エレディア大学の公衆衛生研究者であるアルフォンソ・シルバ・サンティステバン(Alfonso Silva Santisteban)はAP通信に述べている。専門家は、ペルーではトランスジェンダーの人々に対する殺人事件に関するデータ収集のための公的な手段もまた存在しないことを詳述した。「性別による分類がないため、公式の統計を取得するのは難しい」と彼は付け加えた。ペルー・カジェタノ・エレディア大学のLGBTI人権監視センターによると、2020年から2023年の間に54件のヘイトクライムが発生している。これらの事件は、性別や性の多様性に対する偏見に基づく動機があると見られる。その内訳は、30人がトランス女性、23人がゲイ、1人がレズビアンに対するものであった。2012年から2021年にかけて行われた公的検察の調査では、LGTBに関する「殺人事件」が88件件分析されている。そのうち68.9%が性別や性的指向に基づく偏見が動機となっていることが示された。「ヘイトクライムとして調査されたのは2%に過ぎず、その現象は行政に存在しないものとして扱われている」とシルバは述べている。
行進に参加した唯一の議員であるスセル・パレデス(Susel Paredes)もまたペルーにはヘイトクライムという考え方に基づく法定犯罪が存在しないことを指摘する。8ヶ月前に新たにこの犯罪を刑法に組み込むための法案を提出したが、その法案はまだ議論されていないことも指摘する。野党「変革民主主義(Cambio Democrático)」に所属するスセル・パレデスはレズビアンであると自認する。
ペルーにおける性労働者
パウリナ(Paulina)は、ペルーの首都リマの街頭で15年間、性労働者として働いてきた。それは家族を養うためであり、他に生計を立てる手段がなかったからである。 「子供がいると、それがどこであっても食べ物を得るために働かなければならない」。 性労働者として働く中で、パウリナは数え切れないほどの暴力を経験し、他の性労働者たちが受けた虐待をも目の当たりにした。パウリナは全てを見てきたと思っていたが、2022年9月、リマ市の中心部の主要な通りで、仲間の性労働者が犯罪者に殺害されたことを知ってその考えはガラッと変わった。「彼女は支払いを拒否し、グループが「場所代(cupo)」を要求していたことを告発したために殺された」とパウリナは述べた。これは、犯罪グループが性労働者に対して、彼女たちが街頭で働けるようにする代わりに金銭を要求する一種の恐喝のことを指している。
パウリナは、犯罪者の目に留まり、彼らが彼女に場所代を要求し始めることを恐れていたため、同僚の殺害事件の後の2か月間、働きに戻ることはなかった。しかし、彼女の恐れは現実となった。11月になるとWhatsAppを通じてさまざまなメッセージを受け取り始めた。メッセージの送り主は、2019年から南米全体に拡大し、リマの主要な犯罪脅威となっているベネズエラの巨大犯罪組織「トレン・デ・アグア(Tren de Aragua)」のメンバーとされており、彼らは明確な警告を与えてきた。彼らは、パウリナに対し、「登録料(inscripción)」として400ソル(約100米ドル)を支払うように要求し、その後毎週150ソル(約40米ドル)を指定の口座に振り込み、支払いの証拠写真を送るように命じた。 命の危険を感じたパウリナは、子供たちのためにも場所代を支払い始めた。「働こうが働くまいが、彼らの金を集めなければならない。さもなければ殺される」と彼女は付け加えた。
しかし、すぐに彼女は全額を集めることが難しくなった。顧客が足りない日には全額の支払いが不可能であった。時には食事をあきらめてでもcupoを支払わなければならなかった。それでも全額を集められない時には、少しでも集めた金額を犯罪者たちに送った。しかし、それでも全額を支払わなかったとして彼らから脅迫を受けた。「ルールが気に入らないなら、この地域を出て行くほうが身のためだ」といったメッセージもあった。「誰かが告発に行っても『いやいや、そんなことない、殺されるなんて信じられない』と言われる。そして実際に殺されると『なぜ告発しなかったのか?なぜ知らせなかったのか?』と言われる。でも、警察を呼んでも現れない」とパウリナは言う。パウリナは報復を非常に恐れていたが、彼女にとって状況を報告するという選択肢はなかった。ペルーでは性労働は犯罪化されていないが、規制のための具体的な枠組みもない。そのため彼女のような性労働者はあらゆる暴力から無防備な状態に置かれている。加えてリマの性労働者の主要な加害者であった治安部隊は、一般的に彼女たちを差別し、このような状況では通常、助けることがない。
リマの性労働者たちは、組織的に恐喝、殴打、レイプ、さらには殺人や失踪に直面してきた。こうした暴力はすべて、彼らの家族、顧客、治安部隊、地元マフィアの手によるものだ。しかし、虐待や虐待が彼らの生活に絶え間ないものであったにもかかわらず、トレン・デ・アグアのさまざまな派閥は、暴力を前例のないレベルにまで高めている。
2019年にトレン・デ・アグアが到着する前、性労働者に対する暴力の主な加害者は、「マミ(mamis)」と「パピ(papis)」と呼ばれる地元のマフィアで、売春業者として知られていた。彼らは時折、小規模な性労働者グループから恐喝を行い、さらに性的搾取を目的とした人身売買の地元ネットワークを管理していた。「いつもマフィアがいた」と、リマの性労働者団体「ミルスカの生命と尊厳(Miluska Vida y Dignidad:MVD)※」のリーダーであるアンジェラ・ビジョンは言う。「彼らは服を切り裂いて、『次回支払わなければ、同じことをお前の肌にする』と言っていた…それは恐怖そのものでしたが、殺されることはなかった」。
マミやパピに加えて、数十年にわたりリマの性労働者の主要な加害者はペルー国家警察(Policía Nacional de Perú:PNP)と市民安全を担当する機関である市民警備隊(Serenazgo Municipal)のメンバーであった。市民警備隊は地方自治体が運営で、ペルーの市民の安全を守るための機関である。主な役割は公共の平和と秩序を維持し、緊急事態に対応することで、PNPと犯罪の予防や緊急事態の対応において協力する組織である。InSight Crimeによると、PNPのメンバーと市民警備隊は性労働に関するペルーの法的な空白を利用し、性労働者に対する作戦を実施し、恣意的に彼女たちを拘束する。性労働者たちによると彼らの作戦を通じ暴行を受け、虐待され、恐喝され、さらには性的に虐待される。
レイダ・ポルタル(Leida Portal)は性労働者の権利を擁護する団体「ロサ闘争の女たち(Rosa Mujeres de Lucha)」を率いるリーダーだ。彼女もまた3人の警察官から暴力を振るわれた経験がある。彼女の職場に押し入った警官は彼女を殴り、金を奪い、彼女を警察署に連行した。警察署では虐待と差別を受けたとポルタルは述べている。
2019年にベネズエラ発の犯罪グループが到来したことで、性労働者の状況はさらに悪化し始めた。10年前、数千人のベネズエラ人が経済危機と政治危機から逃れるために国を出始めた。移民の最初の目的地の一つはペルーであり、ベネズエラ難民・移民対応プラットフォーム(R4V ※)の統計によると、現在160万人のベネズエラ人がペルーに住んでいる。2018年にはベネズエラからの移民の流れが前例のないピークに達し、「トレン・デ・アグア(Tren de Aragua)」は南米全体に拡大を開始し、移民の流れを利用してベネズエラ国外に拠点を築いていった。
このグループの悪名高い一派である「ロス・ガジェゴス(Los Gallegos)」はペルーの首都で根を下ろすために、ペルーの小さな犯罪組織を追い出し始めた。彼らの主な標的の一つは、リマの性労働者からcupoを徴収するネットワークであった。性労働者とPNPのメンバーがInSight Crimeに語ったところによると、Los Gallegosの到来と拡大は、2020年1月9日木曜日の夜に3人の男が「チョロ・イサク(Cholo Isaac)」として知られるイサク・イラリオ・ワマンニャリ(Isaac Hilario Huamanyalli)を殺害したときに発表された。イサクはリマ中心部の性労働の中心地であるLince地区におけるcupoの徴収を管理していたとされている。チョロ・イサクの殺害は、トレン・デ・アグアの一派が市内で拡大していることを浮き彫りにした重要な動きの一つであった。しかし、それは唯一の兆候ではなかった。InSight Crimeに語った性労働者によれば、ペルーにいるマミもロス・ガジェゴスに扉を開けた。「ある女の子がベネズエラ人と付き合った。彼にcupoの徴収の仕事を教えたら、ベネズエラのマフィアがその女の子を追い出し、彼がすべてを引き継いだ」と、リマで3年間働いているベネズエラの性労働者ロキシ(Roxi)は語った。トレン・デ・アグアの派閥は、ペルーの他のマミやパピのネットワークを追い出し、cupoの徴収ビジネスで王座を奪った。地元の競争相手がいなくなったことで、ベネズエラの犯罪組織は性労働者に対してその影響力を広げていった。
ベネズエラの性労働者から恐喝を始めたロス・ガジェゴスはその狙いをペルー、コロンビア、エクアドルの性労働者へと変えていった。「そのとき彼らがしたことは、性労働者を誘拐し、2、3日間(…)眠らせない空間に閉じ込めることだった」とアンへラは言った。COVID-19の大流行が到来すると、リマの路上に出られなくなった性労働者たちは、WhatsAppのようなメッセージングアプリに移行し、自分たちの間で連絡を取り合ったり、顧客と会う予定を立てたりするようになった。ロス・ガジェゴスはこれを利用する方法を知っていた。そのため性労働者の携帯電話を預かるだけでなく、彼女たちが参加していたグループチャットを通じて他の人の番号を集め、新たな被害者を恐喝の網にかけたのだ。「まだパンデミックの真っ最中だった頃、彼らは最初の自己紹介メッセージを送ってきた」とアンへラは振り返る。「彼らは私たちに、これからは彼らにノルマを支払わなければならない」と言っていた。
ロス・ガジェゴスがペルーに到着してから6年経った今、リマの路上で性労働に従事するすべての女性はロス・ガジェゴス、ロス・イホス・デ・ディオス(Los Hijos de Dios)、ディナスティア・アラヨン(Dinastía Alayón)など、ロス・ガジェゴスに関連する派閥のいずれかにノルマを支払わなければならない状態となっている。 「彼らはお金にしか興味がない。お金を払うか、殺されるか、どちらかだ」と、ベネズエラ人の性労働者リリアナ(Liliana)は言う。
恐喝はどこにでもある。パウリナやリリアナのように、犯罪グループが携帯電話や他の性労働者との連絡に使っているグループに脅迫メッセージを送ってくる者もいる。また、路上や自宅でさえも追い詰められる人もいる。「どうにかして、お金を払わなければ働けないという犯罪の輪の中に入ってしまうのだ」と、ウェブサイトの広告を通じて働くペルーの性労働者ルシア(Lucia)は付け加えた。
彼女のように広告を通じて働く性労働者は、犯罪集団に尾行され、犯罪集団は連絡先を利用してノルマを課してくる。「WhatsAppで送られてくるメッセージは絶え間ない。彼らはあなたの広告を見て、脅しているのだ」とルシアは言う。テキストメッセージを通じ特定の金額の入金が必要な口座番号が届く。グループの支配地域で働くための許可証、つまり恐喝者たちが言うところの「登録証」を支払わなければならず、金額は派閥や地域によって異なるが、200から400ソル(50から100米ドル)である。その後、パウリナのように150から250ソル(40から66米ドル)、時には500ソル(130米ドル)を毎週支払わなければならなくなる。料金は全員同じではない。最初に恐喝されたベネズエラ人女性は、ベネズエラ人であるという理由だけで、より多くの支払いを求められた。そして、その支払いが滞れば、借金は累積していく。脅迫メッセージはほとんどいつも男性から来るが、路上でノルマを取り立てるのは、トレン・デ・アグアの一員である女性たちか、場合によっては人身売買の被害者たちである。性労働者や女性リーダーたちの証言によると、彼女たちは毎日、性労働者が集中する地域を通過してノルマを集めている。彼女たちの中には、犯罪グループと関係があるにもかかわらず、ターゲットにされる者もいる。InSight Crimeの取材に応じた性労働者によれば、性労働者のうちの1人が、この地域で知られるようになった後、グループに殺された。もし誰かが支払いを拒否したり、その地域で働くことをグループの 「許可 」を得られなかったりすると、犯罪手段は彼女らを脅し、殴り、殺すことさえある。暴力は無作為ではない。それは、他の性労働者に対する血で書かれた警告でもある。ルシアは2023年に犯罪グループのメンバーに拉致された。彼女はある家で客と会う約束をしていたが、その家に着いたとき、状況が想像と違っていた。 家の中で待ち構えていたのは武装した男で、彼はルシアが仕事を許可された女性リストには載っていないことを告げ、銃で脅し、罵倒した。なんとか逃げ出したものの、ルシアはまた襲われるのではないかという恐怖に襲われた。性労働者の家族もまた狙われる。2023年8月、キャサリン(Katherine)の夫が首都で家族と昼食をとっていた。武装した男たちに尾行されていたことに気づかなかった彼はタクシーを呼ぼうと通りに出た直後男たちに射殺された。「私が料金を払わなかったから」とキャサリンは言った。
誰も安全ではない
ペルーでは性労働者に対する暴力に関する公式データはない。女性省もPNPもこの問題に関する数字を把握していないことはInSight Crimeの調査でもわかっている。性労働者団体の記録とInSight Crimeの報道によると、2018年から2019年にかけて、少なくとも7人の女性が、2020年から2021年にかけては、8件の殺人が記録されている。ミルスカの生命と尊厳のモニタリングによると、2022年には35人の女性が殺害された。さらに36人が行方不明になり、数人は死亡したとみられている。「彼女たちの遺体は見つかっていないが、誰も私たちの話を聞いてくれない」と、アンヘラはコメントしている。2023年には36人の女性が殺害され、39人が行方不明になった。暴力事件が全国的に注目されるようになったのは、2022年2月のことである。その月、リマの中心部で2人のベネズエラ人とエクアドル人の性労働者が殺害された。女性省とPNPが事件のいくつかを調査し始めてはいるものの「しかし、(街には)マフィアがはびこっていたため、遅すぎた」とアンヘラは言う。トレン・デ・アグアとその派閥に対する当局の作戦は、性労働者たちの生活を改善することなく、一方彼女たちに対する暴力はエスカレートしていった。
暴力の波の中、2023年2月、トレン・デ・アグアが起こした2件の残忍な殺人は、性労働者の闘いの旗印となった。ルビ・フェレル(Rubí Ferrer)とプリシラ・アグアド(Priscilla Aguado)は、リマのダウンタウンで性労働者として働いていた2人のトランス女性で、彼女たちはペルーのトランス女性の62%と同じ現実を共有していたが、メッセージを送るためにグループによって殺害された。事の発端は、恐喝金の支払いを拒否した性労働者と地元のノルマ集金人との口論だった。メッセージを送り、割当金の支払いを保証するために、トレン・デ・アグアのメンバーはルビを誘拐した。携帯電話で録画しながら、彼らは彼女を31発撃った。プリシラは数時間後、市郊外で殺された。「攻撃を録画することで、全ての女の子が従うようにする。全ての女の子にトレン・デ・アグアの人々を尊重しなければならないことを見せるためだ」とリリアナは述べている。この殺人事件と、それに続くルビの処刑ビデオの拡散、そして恐怖は、暴力にうんざりしているリマの他の性労働者の間に怒りと憤りを生んだ。性労働者の組織は動員され、正義を求める行進や座り込みを組織した。「多くの人々が動員された」「私たちは売春婦だから殺されるのだ」とアンへラは言う。
当局はルビ殺害に関与した者の一人で、犯罪を命じたとされる地元の割当集金人、通称「アンドレア(Andrea)」を逮捕したが、ペルーのトランスジェンダーの性労働者たちは、犯罪集団に狙われ続けている。ルビとプリシラの正義を求めるデモ行進の2日後の2024年2月15日、トランスジェンダーの性労働者、ジャスミン(Jazmín)が、ノルマの支払いを拒否したためにリマ北部で殺害されている。
性的労働者の多くは、恐喝について通報することがほとんどない。声を上げることが無駄であり、報復を受けるリスクがあるためである。ペルー国家警察(PNP)や市民警備隊による何年にもわたる虐待や差別が原因で、当局への深い不信感が生じている。この状況は、特に不法移民のステータスにあるベネズエラ出身の女性にとって、さらに複雑になっている。
「(以前は警察が)レイプし、暴力を振るい、脅し、私たちを脅していたのに、今はベネズエラ人がやってきて、私たちのお金を取り、警察が私たちを助けてくれると思っている(……しかし、警察は私たちを助けてくれない)」と、若い性的労働者のカルメンは言う。実際、女性が被害届を出そうと決意した数少ない機会に、彼女たちは事件を受理した警察官によって再被害を受けている。
彼女たちの支援と安全は、お互いの間で見つけている。トレン・デ・アグアからの暴力、顧客、警察のメンバーから守るために、リマの性労働者たちは支援ネットワークを強化してきた。このネットワークは、彼女たちの権利を主張する地域組織に具現化されている。WhatsAppグループ、緊急ライン、避難所は、彼女たちが集めた資金や国際的な協力によって賄われている。しかし、これは制度的な問題や、当局が対処できていない暴力的な犯罪集団に対する解決には至っていない。
※ ミルスカの生命と尊厳(Miluska Vida y Dignidad)はリマに拠点を置く性的労働者の権利を守るための団体。この団体は、性的労働者自身によって構成され、自らの人権を守るための活動を行っている。例えば、行進やデモを通じて、暴力や差別に対する抗議を行い、社会的な認知を高めることを目指している。
※ R4V(Refugee and Migrant Response Platform for Refugees and Migrants from Venezuela)とは、ベネズエラからの難民や移民を支援するための国際的な協力プラットフォームのこと。このプラットフォームは、ベネズエラ難民・移民対応計画(RMRP)の下で、ラテンアメリカとカリブ海地域の17カ国で活動している。R4Vを通じて、国連機関、NGO、宗教団体など、200以上の組織が協力している。
参考資料:
1. Más de 200 personas protestaron por las muertes de trabajadoras sexuales que fueron víctimas de odio
2. Protestan en Perú por desinterés de autoridades ante asesinatos de trabajadoras sexuales transgénero
3. Las mujeres que trabajan en la calle
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