(Photo:Ministerio del Poder Popular para Ciencia y Tecnología)
2026年1月3日にニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)が拘束された後、街頭での祝賀の様子としてオンライン上に共有された映像の一部は、実際には2024年のベネズエラ大統領選挙の結果公表後に行われた抗議デモの映像であることが判明した。
カラカスのフランシスコ・デ・ミランダ通りで群衆を捉えた航空映像は、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がマドゥロの拘束を発表した後にオンライン上で拡散され、「数百万人のベネズエラ国民がマドゥロ失脚を祝っている」との説明が添えられていた。しかし、この動画は2026年の拘束以前のものであることがファクトチェックを通じて判明している。空撮の場面は、2024年7月のベネズエラ大統領選の結果に抗議する人々を別角度から撮影したロイターの映像と一致している。
両映像には、野党指導者マリア・コリナ・マチャド(María Corina Machado)と、当時の大統領候補エドムンド・ゴンサレス(Edmundo González)を乗せたトラックが、2024年7月30日にカラカスのロス・パロス・グランデス地区で行われたデモの中を通過する様子が映っている。
2024年の選挙では、マドゥロが3期目の大統領就任を宣言したが、国際監視団や野党は不正選挙として非難していた。今回拡散された映像は誤ったラベルが付けられており、2024年の抗議活動を映したもので、2026年1月のマドゥロ拘束時の祝賀ではないことが確認されている。
それ以外にも米国によるニコラス・マドゥロ拘束後のベネズエラでの祝賀を示す動画としてソーシャルメディアで拡散したものには通りで人々が風船を持って祝う様子や、彫像やポスターを投げ捨てるシーンが含まれている。これらは「マドゥロ拘束後の祝賀を示す壮大な動画」として共有されていた。しかし、これらの映像もまた2026年1月の出来事を撮影したものではないことが複数の確認によって判明している。
調査の結果、この動画の最初のシーンは2024年7月にパナマで撮影されたものであるとみられている。Instagramには同年7月29日付で投稿された同じ映像があり、「パナマに住むベネズエラ人が祝祭を楽しむ様子」との説明が添えられていたことが確認されている。

また、動画内には以下のような過去の映像が含まれている:

マドゥロのポスターを撤去する場面は2024年7月のもの(Twitter)

ベネズエラ国旗を持った人物が構造物の上に登る場面 も2024年7月の抗議活動のもの

ウゴ・チャベスの像を攻撃する場面も2024年7月のもの

「Venezuela libre(自由なベネズエラ)」のプラカードを橋の上に掲げる男性は2024年8月7日にYouTubeに投稿された映像

夜間の抗議のように見えるシーンは2024年7月29日の映像(Facebook)
ベネズエラでの拷問を示すとされた動画も映画の一場面
2026年1月初め、ベネズエラでの拷問を映したとされる動画がX(旧Twitter)で拡散した。しかし、映像はNetflixで配信されている映画『シモン(Simón)』の一場面であり、ベネズエラで実際に拷問が行われている様子ではないことが確認された。
動画には、半裸の数人が天井から手を縛られて吊るされ、兵士がスペイン語で叫んでいる場面が映っていた。一見すると実際の拷問を示すかのようであるが、この映像は2023年公開のNetflix映画『シモン(Simón)』からのものである。

映画『シモン』は、マイアミに亡命したベネズエラ人の青年が、自由と闘う決断に直面する姿を描いたフィクション作品であり、拷問の描写も物語の一部として制作されたものである。
政治的に敏感な状況下では、映画のシーンが実際の出来事として共有される例が少なくない。専門機関による画像検索を通じて、映像が映画の一場面であることが確認されたため、DWはこの主張を誤り(Falsch)と結論付けている。
なお、ベネズエラでは長年にわたり人権侵害や拷問の報告があるものの、今回拡散した動画はそのような実例を示すものではない。
IMDb(映画データベース)によれば、Netflix映画『シモン(Simón)』は「マイアミに亡命したベネズエラの自由の戦士」を描いた作品であり、該当の拷問シーンは予告編にも含まれている。
このシーンを含む動画が偽の文脈で拡散されるのは初めてではなく、2024年にも同じ映像が別の虚偽投稿で共有され、USA Todayによるファクトチェックで誤りと報じられた。その投稿では「これがベネズエラ政権の行っていることだ」と説明され、2024年の大統領選挙直後にInstagramで拡散されたという。
映画『シモン(Simón)』の監督ディエゴ・ビセンティーニ(Diego Vicentini)は、カラカス出身であることを明かしつつ、脚本作成前に「恣意的拘束や拷問を受けたことのある複数の若者」に取材したと語っている。これにより、映画内の拷問シーンには事実に基づく部分もあるとしている。
政治的危機下での映像誤用は世界的に見られる現象
長編映画の一場面を、現実の政治状況の証拠として使用する事例は、ソーシャルメディア上で繰り返し発生している。
-
2027年には、ウクライナ兵が戦争に向かう前に配偶者と別れを告げる映像が拡散されたが、実際は2017年のドキュドラマ『キメラ戦争(La guerra de las quimeras)』の一場面であった。この作品はロシアと親ロシア勢力、ウクライナ勢力間のイロヴァイスクの戦いを描いている。
-
シリアでは、バッシャール・アル=アサド政権による拷問を示すとされた画像が出回ったが、実際にはイランの蝋人形博物館が旧パフラヴィー政権下の反対派に行われた残虐行為を展示したものであった。もっとも、アサド政権下でも拷問は行われているとされる。
このように、映画や展示物の一場面が現実の事件として誤認されるケースは、政治的に敏感な状況下で特に起こりやすいと指摘されている。
一方多くのメディアが拡散しない状況としてベネズエラの人々は、米軍による軍事攻撃から一週間が経過したのを受け、カラカスのリベルタドール市のコチェ(Coche)地区およびエル・バジェ(El Valle)地区で、マドゥロ大統領とファーストレディのシリア・フローレス(Cilia Flores)の解放を求める第8回目の動員行進の展開がある。
数百人のデモ参加者は、米軍による大統領と妻の「拉致」と解釈される行為を非難し、指導者たちの即時帰還を強く要求した。
カラカス政府のナフム・フェルナンデス(Nahum Fernández)長官は、「カラカスが受けた攻撃は、90%以上のベネズエラ国民によって強く非難されている」と述べ、大都市の住民が1月3日以降抗議行動を続けていることを強調した。彼はまた、人々にマドゥロとシリア・フローレスの自由を要求して通りに留まるよう呼びかけた。
エル・バジェ地区の住民は、「1週間、休むことなく抗議している。大統領が戻るまで休むつもりはないし、これまでの成果を失いたくない」と語った。
アンティマノ地区のマエリリン・リバス(Mayerlin Rivas)も、「大統領、私たちはあなたを支持する。カラカスの街頭であなたの自由を要求し続ける」と述べた。
主催者側は、こうした動員が国際社会に対して主権と国民の意志を尊重するよう訴える、ベネズエラ国民の組織的な意思表明であることを示している。
🚨🇻🇪🇺🇲 El presidente @realDonaldTrump debe evaluar esto 😉 el pueblo es de Nicolás Maduro, María Corina lo único que tiene es bots en las redes sociales.
— Vanessa Teresa 🍒 (@CoralTeresa) January 12, 2026
Nosotros venceremos 👉🏻✌🏻 #LosQueremosDeVuelta pic.twitter.com/tFWAJ70auz
国境を越えた連帯の声
国外でも同様の動きが見られた。メキシコシティでは何百人もの活動家が、ベネズエラの主権を支持しマドゥロとシリア・フローレスの即時解放を求める反帝国主義行進を行った。参加者はベネズエラとメキシコの国旗を掲げ、米国の政策への抗議や連帯のスローガンを掲げて行進した。
また、フランス・パリなどヨーロッパ各地でも、ベネズエラへの連帯と主権尊重を求めるデモが行われたと報じられている。
これらの動きは、マドゥロとシリア・フローレスの解放を求める要求が、国内外で広がっていることを示している。
マドゥロは現在、コカイン輸入の共謀や機関銃および破壊装置の所持を含む4件の連邦刑事訴追に直面しており、各罪状には最高で終身刑が科される可能性がある。
#DonaldTrump #NicolásMaduro #主権侵害 #情報操作
参考資料:
1. Octava jornada de movilización exige liberación del presidente Maduro y Cilia Flores
2. Verificación: Video muestra protesta durante elecciones en Venezuela, no celebración por captura de Maduro
3. DW verifica: video viral de torturas en Venezuela es falso
4. No, este vídeo no muestra celebraciones en Venezuela en enero de 2026 por la captura de Maduro: son clips antiguos

No Comments