(Photo:API)
グアヤキル(Guayaquil)で発生した4人の少年の強制失踪および殺害事件、通称ラス・マルビナス事件(caso Las Malvinas)の裁判は、2025年11月25日(火)に再開された。起訴されている軍人とその弁護士による非公開の会合の後、刑事裁判所(Tribunal Penal)は公判手続きを再開し、今回は軍人側の弁護人による弁論の段階である。
被害者は11歳から15歳の少年で、2024年12月8日にグアヤキル市南部で拘束された。その16日後、タウラ(Taura)のマングローブで手足を縛られ、焼かれた状態で発見された。なお、11月24日の公判では、検察(Fiscalía)が法医学鑑定(peritajes forenses)、携帯電話の解析、動画、音声、180点以上の文書を含む証拠の提出を終えている。
本事件では17名の軍人が強制失踪の罪で起訴されており、エクアドル空軍(Fuerza Aérea Ecuatoriana:FAE)所属の軍人が関与しているとされている。裁判は現在、第4週目に入っており、ジョン・Z少尉(John Z. subteniente)の行動を疑問視する衝撃的な証言が行われたことで、新たな局面を迎えている。
弁護士と起訴された軍人との非公開会議の後、ラス・マルビナス事件の公判は2025年11月25日(火)に再開された。同日の審理は、強制失踪で起訴された軍人たちの弁護から始まり、7名の軍人が証言を行った。そのうちの二人、ネルソン・S(Nelson S.)とモイセス・L(Moisés L.)は「cooperación eficaz(有効協力)」を適用し、公式の説明に反する事実を明らかにしたことで、裁判の流れは一変した。両者が語ったのは、身体的暴行、威嚇射撃、脅迫、そしてタウラ(Taura)への不正な移送の詳細である。
午前10時、最初に証言したのは二等軍曹ウィルソン・Cである。デュラン(Durán)の支援・情報運用・維持部隊「Grupo de Operaciones y Mantenimiento de Apoyo e Inteligencia:GOMAI」に勤務して3か月であったと述べたウィルソン・Cは、トラックの副運転手を担当していた。2024年12月8日の夜、他の軍人がジョシュエ(Josué)、イスマエル(Ismael)、ネヘミアス(Nehemías)、スティーブン(Steven)を拘束した際、7月7日通り(25 de Julio)で交通誘導を手伝った。ウィルソン・Cは、ジョン・Z少尉がタウラに向かうよう命じたと証言し、第三次道路での5分間の滞在と、4人の未成年者が倒木を移動するのを手伝ったことも述べた。
ウィルソン・Cの証言中、4人の未成年者の家族の弁護士は、他の軍人が証言者にどのように回答するかを指示している可能性があるとして抗議した。刑事裁判所は、軍人に対しウィルソン・Cの証言を中断しないよう注意したが、彼の弁護側はこれ以上の証拠提出は行わないと告げた。
被告の一人であり、有効協力者でもあるネルソン・Sは証言を開始するにあたり、まず被害者家族に対し、自らが与えた苦痛について謝罪し、当局に協力する決意を示した。証言は11:15頃に始まった。ネルソンは、2024年12月8日の午後、ジョン・Z少尉からパトロール実施の命令を受けたと述べた。その後、フアン・フランシスコ・I大佐(teniente coronel Juan Francisco I.)から、トラックの確認およびその護衛をグアヤキル南部の税関(Aduana)まで行うよう指示されたという。
帰路において、ジョン・Z少尉は7月25日通りでの窃盗警報を受け、一台のトラックから降りた。ネルソンによれば、この際二発の発砲があり、歩道橋の上から確認すると、すでに二人の未成年者が拘束されていた。「タウラ基地(Base de Taura)では、拳銃とライフルで発砲したと言われた」と証言した。さらに、民間人が一人の未成年者を引き渡し、「いつも盗みをしている者の一人だ」と伝えたことから、少尉がその少年をトラックに乗せたと述べている。
ネルソンはまた、カメックス(Camex)作戦後にタウラへ向かったと証言した。その地域(第三次道路)で、ジョン・Z少尉は少年たちにトラックから降りて運動するよう指示した。ネルソンは、その際周囲に不審な人物の影を見かけ他ことを述べており、その意図は倒木で道を塞ぐことにあったのではないかと考えたと言う。続いて、少尉が拳銃を取り出し、少年の一人の頭部付近から約80センチの距離で発砲したと証言した。
ネルソンはさらに、ジョシュエ、イスマエル、ネヘミアス、スティーブンがベルトで殴打されるなど暴力を受けたこと、少尉が彼らの服を脱がせ、倒木の移動を手伝わせたことを述べた。また、タウラ空軍基地に到着した際、トラックの荷台に血が付着しているのを確認したとも述べている。これはルミノール検査でも確認され、検察の記録に記載されている。さらに、少尉は携帯電話で少年たちに対する行為を撮影していたという。その後、作戦終了後に大佐が事態を知り、関係する16名間で議論が行われた後、グループチャットが作成されたことも明らかにした。
🔒#Seguridad | Un perito de la Policía reveló que los menores fueron sometidos a violencia extrema, antes de ser desaparecidos en Taura.#LaRadioDeLasNoticias
— Radio Pichincha (@radio_pichincha) November 11, 2025
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14:15、19年間の軍歴を持つ二等軍曹(sargento segundo)ウィルマー・L(Wilmer L.)は、拘束手続きについての訓練を受けたことはないと述べ、ラス・マルビナス事件の強制失踪被告として3人目の証言を開始した。
ウィルマーは、ジョン・Z少尉およびフアン・フランシスコ・I大佐が、トラックに同乗していた税関職員を警護するよう命じたと証言した。ルート上では現地住民から窃盗の通報があったという。少尉は容疑者を特定し拘束するよう指示し、3名を拘束、4人目は市民から引き渡された。その結果、全員が未成年であることが確認され、ヴィルヘン・デ・ファティマ(Virgen de Fátima)の地域警察ユニット(Unidad de Policía Comunitaria:UPC)の警察署へ連行されたと述べた。
ウィルマーは、作戦後にタウラへ向かった際、倒木で道が塞がれていたと証言した。自身は警戒任務にあたったが、有効協力者の証言にある未成年者への暴行は否定した。「誰も失踪していない」と述べ、未成年者の拘束は非常事態宣言下で行われ、タウラでは生存していたと主張した。反対尋問では、銃声は聞こえなかったと述べ、グアヤキル南部の7月25日通りに警察車両がいたかも確認できなかったという。
一方、軍歴16年で一等下士官(cabo primero)のジョナサン・G(Jonathan G.)は、2024年12月8日の夜、自身がエクアドル空軍のトラックの一つを運転していたと証言した。ジョン・Z少尉が7月25日通りで発生した窃盗警報により停止を指示したと説明したジョナサンは、運転手としての任務は車両内に留まることだったため詳細は確認できなかったが、二人の拘束者がトラックに乗せられたのは見えたという。彼によれば、白いトラックには少尉と他の二名の拘束者が乗っており、別の手順で2~3分ほど逸れた。その後、彼は料金所で待つよう指示され、少尉の命令でタウラへ向かうことになった。
彼によるとタウラへ向かう途中、証言者は騒動のある地域を通過し、50~60名ほどの人々を目撃した。そのため、二次道路に迂回した。一方倒木が道を塞いでいた。暗かったためすべてを確認することはできなかったが、倒木は取り除かれ、その後タウラ空軍基地へ進んだ。彼によるとUPCも通過したが、停車はしていない。異常があればジョン・Z少尉に報告する義務がある。武器を提出したものの、異常はなかったと証言した。反対尋問に対しては、自身に関する証言はすべて虚偽であると述べ、平和的な人物であり、かつて大統領府(Casa Presidencial)で勤務したこともあると語った。
15:37に第4の被告軍人として証言したのは、一等下士官のロナルド・P(Ronald P.)である。公判では最初に4名の少年の家族に謝罪しながら証言を始めた。彼は前述の同僚と同様、窃盗警報を受け、少年たちを容疑者として拘束したと述べた。タウラに向かう途中、騒動の警報を受け、ナイトクラブ付近で約60名の人々が飲酒していたが、「騒動を起こしていなかったため」、その場を離れたと述べている。その後、二次道路へ進むと、道を塞ぐ木があった。ロナルドは懐中電灯を持っていたため降り、さらに用を足すために一時離れた。戻ると木はすでに取り除かれており、ジョン・Z少尉は少年たちを解放するよう命じたと証言した。
16:00に証言したのは一等下士官のロナルド・N(Ronald N.)である。彼は2024年12月8日の夜に進んだタウラの二次道路の存在を知らず、そこへ行くようジョン・Z少尉が道案内をしたと証言した。また、UPCの前も通過したが、停車はせず「通過しただけである」と述べている。
事件後に作成されたグループチャットについても、自分は参加していなかったと証言している。その理由は、階級上参加を許されていなかったためであるという。さらに、無線を通じて、ジョン・Z少尉が少年たちを解放するよう命じたのを聞いたと明かした。
#AHORA | #CasoMalvinas: se reinstala la audiencia de juicio contra 17 militares, procesados por presunta #DesapariciónForzada. Ayer, #FiscalíaEc concluyó la presentación de sus pruebas; hoy continúa la intervención de las demás partes procesales.
— Fiscalía Ecuador (@FiscaliaEcuador) November 25, 2025
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捜査で最も注目される要素の一つは、起訴された軍人たちの携帯電話から抽出された内容である。その中には「Asesoría Jurídica Militar(軍事法務アドバイザリー)」というWhatsAppグループが存在し、制服を着た軍人たちは検察に供述する前に、この事件をどのように扱うかについて議論していた。
会話の内容は、供述の「基準を統一すること」、被害者家族が何を告発したかを把握すること、事件が組織内でどのように扱われているかを評価することなどであった。また、共同で法的助言を受けるためのZoom会議も開催されていたことが確認されている。
🔴#ATENCIÓN | La Fiscalía analizó 16 celulares decomisados en la Base de Taura, que pertenecen a los militares procesados dentro del caso Malvinas. En un chat grupal, los uniformados se organizaron para dar la misma versión tras la desaparición de los cuatro niños. pic.twitter.com/k9cEUgmgap
— Radio Pichincha (@radio_pichincha) November 24, 2025
モイセス・Lは自分含め他の軍人が何度か「少年たちをここに置いておく」ことを提案したが、ジョン・Z少尉は「ダメだ、タウラに進め、俺は水たまりを知っている」と答えたと証言した。空軍歩兵基地(Infantería Aérea)付近での提案の後、デュランで5分間の検問も実施したと語る。タウラ到着時にはどこに向かうべきか分からなかったが、少尉の指示で二次道路に進み、両方のトラックを停車させたという。
モイセス・Lによれば、4名の少年は床に伏せられ、他の軍人たちはベルト、棒、木の枝で彼らを殴打した。これもすべてジョン・Z少尉の指示によるもので、最も年少の少年に対しては特に手荒であったという。
彼はさらに「少尉は少年をひざまずかせ、靴を脱がせ、拳銃を取り出して発砲した。殺されたと思った。その後、別の下士官が最年長の少年を捕まえ、ボクシングができると殴った」と証言した。他の軍人も少年たちに拳を振る待ったことを述べている。また、ある軍人が少尉の手を掴んで、少年への殴打を止めさせようとしたとも述べている。殴打は合計で約8分間続いたという。
最終的に、少年たちは少尉の命令で衣服を脱がされ、その衣服は灰のある場所に投げ捨てられた。その後、軍人たちは現場を離れた。モイセス・Lによれば、現場から1キロメートルほどの場所に水たまりがあり、もし倒木がなかったらそこまで到達していたであろうという。
モイセス・Lは証言の中で、ジョン・Z少尉が少年たちをUPCに連れて行くつもりなど全くなかったと述べた。少尉が一貫して行きたいと語っていたのは、水たまりであるという。複数の兵士がUPCに引き渡すことを勧めたが、少尉はこれを拒否した。
また、モイセス・Lによれば、2024年12月8日の夜に何が起きたかについて意思統一を図るため、フアン・フランシスコ・I大佐と会議を行ったという。その際、大佐は当夜の出来事に関する情報の一部を省略するよう指示したとモイセス・Lは証言している。
法医学的検証が極端な暴力を確認
検察は死体解剖報告書を提示し、未成年者の遺体に骨折、銃創、多数の外傷、拘束痕があることを明らかにした。遺体は焼却されており、事件後に火葬された可能性が示唆されている。また、軍人が提出した衣服の分析では、2名の少年が拘束時に着用していた服と一致し、焼け焦げの跡も確認されている。
さらに裁判では、重要とされる映像が2本提示された。1本は、少年の一人がトラック内にいる際に軍人が発砲すると脅す場面を記録したものであり、もう1本はタウラで少年たちに加えられた暴行の様子を示している。
公判は12月1日に再開
7名の軍人の証言を聞いた後、刑事裁判所は17時43分に当日の審理を中断した。当初は土曜日に再開予定であったが、キト刑務所(Cárcel de Quito)4号棟に収容されている軍人たちが面会権に関わる理由で中断を求めたため、弁護士と協議のうえ、裁判所は再開を12月1日(月)8:30に設定した。
証言をまだ行っていない軍人は10名おり、検察もまた最終弁論を行う必要がある。この裁判は、裁判官が判断を下すまで、さらに1週間延長される可能性がある。
#ACTUALIZACIÓN | #CasoMalvinas: Tribunal deja sin efecto la convocatoria para el sábado 29 de noviembre. La audiencia de juzgamiento –contra 17 militares procesados por presunta #DesapariciónForzada– se reinstalará el lunes 1 de diciembre a las 12:30.
— Fiscalía Ecuador (@FiscaliaEcuador) November 27, 2025
参考資料:
1. Golpes, disparos y chats secretos: las revelaciones más graves del caso Las Malvinas
2. Caso Las Malvinas | Segundo cooperador señala que oficial nunca quiso llevar a los menores a una UPC

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