[COP30] グスタボ・ペトロ、ドナルド・トランプを「人類への攻撃者」と非難

(Photo: Presidencia colombiana)

コロンビア大統領グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)は、2025年11月10日から21日までブラジル・ベレン・ド・パラーで開催される「第30回気候変動枠組条約締約国会議(30ª Conferencia de las Partes sobre el Cambio Climático:COP30)」の前哨イベント「ベレン首脳会議(Cumbre de Belém)」に参加した。

この会議でペトロ大統領は、アメリカ合衆国およびその大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)の不在を強く非難し、「アメリカ合衆国が脱炭素化へと動かなければ、崩壊は近づく」と警告した。さらに、トランプや米国代表団が会議に参加しなかったことは「極めて明確なメッセージである」とも強調した。

 

ペトロ大統領は「トランプはここに来ないことで人類に敵対している。私たちはどうすればいいのか。彼を一人にしておこう。忘却(el olvido)こそが最悪の罰だ。彼が話したいというなら話そう。ただし、“命(la vida)”について語るのだ」と述べ、トランプが最初の任期以来とってきた政策姿勢を明確に拒絶した。さらに「掘る、掘る、掘る(taladrar, taladrar y taladrar)ではない。それは100パーセント間違っている」とも語った。

またペトロ大統領は、トランプがNATO加盟国に対し、国内総生産に応じた軍事装備投資の拡大やロシアへの制裁強化を迫った「最後通告(ultimátum)」にも反対を表明し、「これは防衛や安全保障の問題ではない。敵はロシアではなく、気候変動である」と指摘した。

同じ論調の中で、グスタボ・ペトロ大統領は、南北アメリカ大陸における複数の軍事作戦の脅威も拒絶し、「至るところで侵略の脅しがある。我々は時間を失っている。キューバ、ベネズエラ、そしてコロンビアへの侵略の脅しだ」と述べた。さらに、自身がアメリカ合衆国財務省外国資産管理局(Oficina de Control de Activos Extranjeros:OFAC)による制裁リスト、いわゆる「クリントン・リスト(lista Clinton)」に掲載されたことについて、これらの軍事行動への反対に対する報復であると断言した。

ペトロ大統領はこの場を利用して、カリブ海で行われている米国による爆撃も批判し、それを「法外な処刑(ejecuciones extrajudiciales)であり、ナチスによって実行された移民政策だ」と表現した。さらに、政治家たちが「即席の票(votos rápidos)」を追い求めるあまり、気候変動との闘いの焦点を見失っていると指摘した。「目標は他の何ものでもなく、脱炭素化された経済、すなわち石油ゼロ(cero petróleo)、ガスゼロ(cero gas)を構築することだ」と主張した。

また、ペトロは気候変動に関してすでに「後戻りできない地点(punto de no retorno)」に達しており、「我々は“気候危機(crisis climática)”ではなく、“気候崩壊(colapso climático)”に近づいている。それは地球上の存在の総体的な死である。それは文学的な黙示録(apocalipsis literario)ではなく、現実(real)なのだ」と述べた。

さらにペトロ大統領は、これまでと同様に「コロンビアがアメリカ合衆国のエネルギー・マトリクスを浄化するのを助けることができる」とする持論を改めて展開し、今回は一歩踏み込み、「トランプを経由せず直接進むべきだ」と主張した。

「我々が必要としているのは“北(el norte)”ではなく、“人類(la humanidad)”であり、命(la vida)を救うことだ。アメリカ合衆国のエネルギー・マトリクスを浄化するためには5,000億ドルが必要である。我々が必要としているのはトランプではなく、アメリカ合衆国の諸州との合意だ」とペトロ大統領は述べた。

 

世界の指導者たちに「気候変動に立ち向かう政治的勇気」を要請

国際連合(United Nations)の事務総長アントニオ・グテーレス(António Guterres)は、6日(木)、世界の指導者たちに対し、気候危機に立ち向かうため「政治的勇気」を持ち、果断に行動するよう緊急の呼びかけを行った。この発言は、ブラジル北部アマゾン地域パラー州の都市ベレンで開催されたCOP30に先立つ「指導者サミット」の場で行われたものである。

グテーレス事務総長は、開催国の大統領ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ(Luiz Inácio Lula da Silva)の隣で、「化石燃料は依然として納税者から巨額の補助金を受け続けている。多くの企業や大企業が環境破壊から利益を得ている。クリーンエネルギーは、持続可能な経済成長を保証するために、はるかに大きな潜在力を持っている」と述べ、「いまだに欠けているのは“政治的勇気”だ」と強調した。

この発言は、世界の主要経済国が、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えるための、より強固なコミットメントを欠いている現状を示唆するものである。

またグテーレスは、2015年のパリ協定で定められた「地球の平均気温上昇を1.5度に抑える」という目標がすでに「失敗した」と警告した。彼にとって今こそ、世界的な気候変動の明白な証拠に直面しつつ、「科学を擁護する必要がある」と改めて訴える時である。

 

エクアドル副大統領、COP30でアマゾンの組織犯罪について警告

エクアドル副大統領マリア・ホセ・ピント(María José Pinto)は、11月6日(木)、COP30の議長アンドレ・アラニャ・コヘア・ド・ラゴ(André Aranha Corrêa do Lago)と会談した。この会談の目的は、アマゾン地域の保全を推進し、生物多様性・水資源・地球規模の気候バランスにおける戦略的重要性を強調することにあったと、ピント副大統領は声明で発表した。

 

この会談は、ピント副大統領が気候サミット(cumbre climática)で演説を行った後に実現したものである。彼女は演説の中で、「アマゾンを守ることは、声明だけではできない。実際の決定と、組織犯罪に対抗する協力、領土の保護、地域社会との協働、そして“希望をまく教育”によってこそ成し遂げられる」と述べた。

 

ピント副大統領は演説の冒頭で、次のように問いかけた。

「アマゾンを守ると言っても、そこに暮らす人々をまず守らなければ何の意味があるのか。‘緑の未来(futuro verde)’を語っても、森の子どもたち(niños de la selva)が恐怖に囲まれて育つのなら、それは何の価値があるのか。‘保全’を語るときに、同時に何千人もの子どもたちが、川や土地や命を破壊している同じマフィアにリクルートされているのなら、どうしてそれが可能なのか?」

マリア・ホセ・ピントは、フランス大統領エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)にメッセージを伝え、エクアドルとの協力関係を強化し、環境保護および子どもの権利の擁護を目的とする共同イニシアティブを推進するよう呼びかけた。声明によると「これらの会合におけるエクアドルの参加は、大統領ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)政権が、多国間主義・国際協力・戦略的同盟の構築に対して抱く強いコミットメントを改めて裏づけるものである」。

#GustavoPetro #MaríaJoséPinto #COP30

 

参考資料:

1. Presidente Gustavo Petro se va en contra de Estados Unidos en su discurso previo a COP 30: ‘El señor Trump está contra la humanidad al no venir acá’
2. Secretario general de la ONU pide a líderes mundiales reunidos en Brasil “coraje político” contra cambio climático
3. Vicepresidenta de Ecuador alerta en la COP30 sobre el crimen organizado en la Amazonía

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