コロンビア:300万人以上の子どもたちが飢餓の危機にさらされている

学校給食は、子どもたちが教育システムに留まることに寄与するだけでなく、学生の注意力を向上させ、ひいては学習過程を改善するため、学業成績の向上にも貢献する重要な要素であることが確認されている。

コロンビア共和国では、推計によれば子どもの10人に1人が栄養失調に苦しんでいる。大多数はラ・グアヒラ県(La Guajira)やチョコ県(Chocó)など、同国で最も貧しい地域に居住しており、多くの子どもが1日に一度だけ、公共学校で提供される学校給食プログラム(Programa de Alimentación Escolar:PAE)による食事に依存している。

政府は、全国すべての教育機関において学校給食プログラムの普及率を段階的に高めることを目指している。また、関連するすべてのプログラム、計画、プロジェクトを体系的に連携させることにより、生徒が教育システムのすべての課程を修了できるよう取り組んでいる。学校給食プログラムは、全国各地において、公式学生登録システム(Sistema de Matrícula:SIMAT)に登録された子どもや青少年に対し、補助的な食事を提供するものである。資金は、一般参加制度(Sistema General de Participaciones)によって賄われている。本プログラムの基本的な目的は、生徒が教育システムに継続して通学できるよう支援することであり、授業時間中に、提供形態ごとに定められた割合でマクロ栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)およびミクロ栄養素(亜鉛、鉄、ビタミンA、カルシウム)を供給することである。

 

学校給食プログラムは、最も貧困な家庭にとって不可欠な制度であるにもかかわらず、現在、深刻な資金不足に陥っている。会計検査院(Contraloría)は、緊急の対策が講じられなければ、350万人もの子どもたちが近い将来、この給食を受けられなくなるおそれがあると警告している。

監査官カルロス・ロドリゲス(Carlos Rodríguez)は、コロンビアに存在する97の地方自治体のうち、53の自治体において今年度の最終段階まで学校給食を保障するためには、財務省(Ministerio de Hacienda)が5,000億コロンビア・ペソ(約1億2,500万米ドル)を割り当てる必要があると述べている。

この危機は、国家政府と地方自治体の双方が、腐敗、管理のずさんさ、資金不足について互いに非難を繰り返すなかで、いっそう深刻化している。首都ボゴタを拠点とする報道機関によれば、こうした責任の押し付け合いが、給食の提供の遅延および質の低下を招いているという。

この問題は、グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領が掲げた「飢餓ゼロ(hambre cero)」という重要な公約に直接関わっており、政権にとっても極めてセンシティブな課題である。大統領自身は、PAEの存続が危機に瀕していることを否定していないが、その原因については他にあると主張している。

 

「一部の県で資金が盗まれている」と、グスタボ・ペトロ大統領は9月2日(火)の夜、非難した。「子どもたちが食べられないのは、資金が『票の買収』に流れているからである」と根拠のない指摘を行い、「今もなお、県知事たちが資金を着服している」と再度主張した。さらに、「我々はトリマ(Tolima)県に資金を渡して、盗ませるために渡しているわけではない」と、これまでで最も直接的な非難を展開したうえで、「あの県の知事は政府に反対することに専念し、自分の住民を裏切っている」とも語った。

これに対し、保守派のアドリアナ・マティス(Adriana Matiz)知事は強く反発した。「トリマ県では学校給食の資金は神聖なものであり、我々は何も盗んでいない」と、記者会見で述べた。教育長官のアンドレス・ベドヤ(Andrés Bedoya)も電話取材に応じ、ペトロ大統領の非難は根拠を欠くものであり、監査機関によるほぼ毎月の厳格な監視によって、資金の透明性はほぼ保証されていると主張した。弁護士でもあるベドヤは、問題の本質は別のところにあると指摘する。「学校給食プログラムは常に資金不足であった」と述べ、この見解は教育専門家たちの意見とも一致している。

このプログラムは、何百万もの子どもたちにとって不可欠なものであるにもかかわらず、官僚制度の複雑さゆえに、明確な責任者を特定することは容易ではない。給食の費用は、国家(政府)と国内最大規模の地方自治体、すなわち32の県、区、および市町村が共同で負担している。しかし、その負担割合には著しい格差が存在する。たとえば、首都ボゴタは十分な資源を有しているため、PAEの費用の98%を自ら賄っている。一方、国内で最も貧しい地域には分類されていないトリマ県でさえ、全体コストの約25%しか負担できていない。こうした中、同プログラムへの依存度が高い自治体においては、現在、深刻な警戒状態が続いている。

教育長官のアンドレス・ベドヤは、学校給食プログラムの現状について説明している。PAEはトリマ県において約85,000人の子どもを対象としており、これは同県の公立学校に通う生徒全体の67%に相当する。年間に必要な費用はおよそ1,160億コロンビア・ペソ(約3,000万米ドル)である。

今年、中央政府は600億ペソの拠出を約束し、県が160億ペソ、市町村が70億ペソを負担している。しかし、その合計である830億ペソでは、必要額には到底届かず、資金は大幅に不足しているのが現状である。「この資金では、10月の第1週までしか給食を提供できない」と、ベドヤ教育長官は語る。学校年度が11月の最終週に終了することを踏まえると、生徒たちは最大で2か月間、昼食なしで過ごさざるを得ない可能性がある。

「しかし、このリスク、すなわち年間を通じて学校給食プログラムが停止される可能性は、ペトロ政権になってから始まったものではなく、毎年繰り返されている」とアンドレス・ベドヤは述べる。「過去には政府が危機発生前に追加資金を投入していた点が異なるが、今年は53のリスクのある自治体において、それが行われていない。なぜなら『資金がない』と言われているからだ」と説明した。

実際、財務省(Ministerio de Hacienda)は教育省(Ministerio de Educación)に対し、各県や市町村が求める5,000億コロンビア・ペソ(約1億2,500万米ドル)をどこから捻出すべきか把握していない。加えて、教育省はこれらの自治体が資金を適切に管理しているかにも疑念を抱いている。

教育省の学校給食プログラム担当ディレクターで学びのための食特別行政機関(Unidad Administrativa Especial de Alimentación Escolar – Alimentos para Aprender:UApA)の総局長のセバスティアン・リベラ・アリサ(Sebastián Rivera Ariza)は、トリマ県のような県がPAEの年間予算を着実に増やしてこなかったと指摘し、少なくとも「現時点で年間予算を適切に計上していない50の自治体を特定している」と述べている。同局は、これらの自治体が適切に予算を計上していれば、PAEのために8370億ペソもの追加資金を確保できていたと見積もっている。

セバスティアン・リベラは汚職以上に、小規模で脆弱な自治体が抱える行政上の問題を指摘している。彼らは子どもたち全員を100%カバーすると約束し、一年目には予算を増やすものの、翌年には同様の努力を継続できないと言う。したがって、セバスティアン・リベラは県や市町村に対して構造的な改革を求めている。「彼らは自地域内の農民から調達し、地域経済を強化するとともに、コストを抑えるために保護者団体により多くの実行権限を与える必要がある」と提案する。「運営方法を変えなければならない。なぜなら、このままのやり方では、学年度を通じてすべての学生に対する学校給食プログラムの普遍的実施を保証することは決してできないからである」と付け加えた。

赤字問題に直面しつつも、セバスティアン・リベラは責任を相手側に転嫁している。「我々は3年間でこの予算を倍増させたが、相手側には同様の動きが見られない」と語る。教育省のデータによれば、国家予算は2022年の1兆2,600億ペソから2025年には2兆1,400億ペソへと68%増加している。しかし、地方自治体の見解によれば、これだけでは全ての状況を説明できない。「確かに素晴らしい数字だが、政府は自治体や県への補助金を減らし続けている」と、国内中規模都市協会の政府調整官アレハンドラ・キンテロ(Alejandra Quintero)は指摘している。

資金増額を求める地方自治体と、より良い資金管理を要求する国家政府の間に立つのが教育担当の副監察官アンドレイ・ロドリゲス(Andrey Rodríguez)であり、彼こそが警報を発した人物である。「警報が効果を発揮していることを歓迎する。多くの地域で給食停止を回避するための資金調達に動いている」と述べる。政府の予算は大幅に増加したものの、それでもなお十分とは言えないと認めている。「現在、学校給食プログラムの恩恵を受けているのは580万人の子どもたちであり、これは公立学校のほぼ80%を占める。全児童、すなわち740万人に給食を行おうとすれば、予算は4兆4,000億ペソに達する必要がある」と語った。

副監察官は、ペトロ大統領が非難したバジェ・デル・カウカ(Valle del Cauca)県やトリマ県の県政府に対し、正式な告発や汚職の証拠は受け取っていないと述べている。しかし、非常に貧しい自治体の市長たちが困難な判断を迫られていることは認めている。例として、今月、予算不足により4万人の子どもたちに給食を提供していたブエナベントゥラ(Buenaventura)市が学校給食プログラムを一時停止した事例を挙げている。

「市長は今年、午前中に補助的な食事を提供し、午後は全日制の子どもたちに昼食を出すと決めた。この決定により、予算が1学年分を賄うには不足する事態となった」と説明する。また、最も小さな子どもや最も貧しい子どもだけでなく、登録されたすべての生徒に食事を提供したため、資金がより早く尽きた点も強調した。

「子どもが2回の補助食を受けてはいけないと定める技術的な規則はないが、政府はそれを無駄遣いと見なしている。極度の貧困地域において、子どもに多くの食事を与えすぎていると主張することは難しい」と述べている。

資金の不適切な管理か、汚職の事例か、それとも単なる赤字か。これこそがPAE危機の最大の問題である。しかし、多くの保護者にとっては、責任者探しに時間を費やす余裕はなく、ただ子どもたちが唯一アクセスできる食卓に、安定的に食事を届け続けてほしいと願っているだけなのである。

 

2025年9月1日、政府は、学校給食プログラムへの資金提供が歴史的に増加したことを発表した。2022年の予算は1.26兆ペソであったが、2025年には2.14兆ペソへと増加し、68%の伸びを記録している。学びのための食特別行政機関(Unidad Administrativa Especial de Alimentación Escolar – Alimentos para Aprender:UApA)によれば、現時点で1.85兆ペソ、すなわち2025年予算の86%がすでに移転済みであり、9月中には100%の送金が完了する予定である。これにより、学年度を通じた給食の継続的な提供が保証される。UApAの総局長であるセバスティアン・リベラ・アリサは、「国家政府は、これまでにない規模で学校給食プログラムに資金を投入している。すでに86%の資金を送金済みであり、9月には100%を完了する予定である」と述べている。この予算の増加によって、認定地方自治体(Entidades Territoriales Certificadas:ETC)、すなわち県政府や市政府が、同プログラムの運営を確実に計画・実行できる環境が整いつつある。

学校給食プログラムの運営体制について学びのための食 特別行政機関は、以下の点を強調している。すなわち、国家は技術的な指針を定め、資金を移転し、その運用を監督する。一方、認定を受けた県政府や市政府は、給食の運営者と契約を結び、公立教育機関における給食サービスを継続的に提供する責任を負っている。

セバスティアン・リベラ・アリサは、地方自治体による計画的な運営と共同出資が、サービスのカバー率および品質を確保する上で不可欠な条件であると強調した。また、UApAは透明性がPAEの柱の一つであることを繰り返し強調している。その実現手段として、PAE運営報告書(Informe de Operación del PAE:INOP)を定期的に公開している。この報告書は監督機関に提出される公的文書であり、各地域における実施状況を可視化し、早期警告の発動、リスクの把握、ならびにサービス中断への是正措置の指導を可能にする役割を果たしている。

将来に向けて、UApAのディレクターは、2026年におけるPAEの予算がさらに9,000億ペソ増額され、年間総額約3兆ペソに達する見込みであると発表した。この予算は、地域ごとの特性やニーズに基づいて公平に配分される方針であるという。加えて、大統領がUApAに対して監査および監視に関する権限を正式に委譲することにより、公共資金の使用に関する監査体制がより一層強化される予定であることも明らかにされた。リベラは次のように述べて、本発表を締めくくった。「責任と愛情をもって、コロンビアの各地域においてこの学校給食プログラムを実施していく。」あわせて彼は、県政府および市政府に対し、公式教育システムに在籍するすべての生徒がPAEの恩恵を確実に受けられるよう、必要な資金配分の義務を誠実に果たすよう改めて強く呼びかけた。

#GustavoPetro

 

参考資料:

1. Más de tres millones de niños de Colombia están en riesgo de quedar con hambre
2. Gobierno Nacional ya giró el 86 % de los recursos del PAE para 2025

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