エクアドル国民の約70%が基本的な生活必需品をまかなえない状況にある。政府が発表する経済指標は国民生活の実態を反映していないと、元財務大臣であり公的経済・財政フォーラム(Foro de Economía y Finanzas Públicas:FOEFP)事務局長マルコ・フロレス(Marco Flores)は指摘している。
専門家の分析によれば、現在の経済状況は2024年の停滞期と比較した売上の増加に過ぎず、単なる反発現象であるという。しかしフロレスは「誰にとって経済は改善したのか」と重要な疑問を投げかけている。
エクアドルでは、ディーゼル価格の高騰に加えて公共サービスの全般的な悪化が重なり、国民の生活危機が深刻化したことで、16日間にわたる全国的なストライキが続いている。
またフロレスは国連の調査結果を引用し、約1,500万人にあたる国民の70%が家計の基本的支出をまかなえない深刻な状況にあると警鐘を鳴らした。
この状況に加え、付加価値税(Impuesto al Valor Agregado:IVA)とディーゼル価格の上昇が家計の経済状況をさらに悪化させている。特に貯蓄能力のない最貧困層においては、消費の量だけでなく質にも深刻な悪影響を及ぼしているのである。
元財務大臣のマルコ・フロレスは、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領が発表した13か月目の給与(ボーナス)の前倒し支払いについても言及した。この措置は一時的な資金供給をもたらす点で一定のプラス効果があるものの、同時にマイナスの影響も懸念されると指摘する。
「13か月目の給与の前倒しは、一時的に需要を拡大させる効果がある。しかしクリスマスシーズンに関しては、家計にとってマイナスの結果を招く可能性もある」と説明した。
さらに、フロレスはこの給付が実施される時期についても疑問を呈している。「この給付が国民投票の2日前に支払われることは、国民の一部に影響を与えるだろう。これは単に政府が特定の結果を誘導するために利用されているに過ぎない」と結論づけたのである。
混乱状態にある経済
フロレスが今年年始に、エクアドルは多くの資金を受け取ってきたが、それは国の発展や成長のためではなく、債務返済に充てられ、公的支出を増大させていると述べている。「失業率、経済危機、貧困などの指標が示すように、経済は壊滅的な状況にある。貧困の拡大は深刻だ」と強調している。また、ノボア政権は2024年に国家予算から88億ドルの公的債務返済を行ったと説明した。「これは予算収入の40%以上、国家予算総額約360億ドルの25%以上に相当する」と補足した。エクアドルの債務総額は約855億ドルにのぼるが、それに見合う公共事業の進展は見られない。「資金は債務返済に充てられており、エクアドルは対外債務の返済において財政的な支援が必要だ」と述べている。
一方今年6月に彼が語ったのは、エクアドル経済が現在「経済の反発期(リバウンド期)」にあるにすぎず、政府が主張するような成長期ではないということである。ニュース番組「プント・ノティシアス(Punto Noticias)」の中で、フロレスは経済情勢を正確に理解するための重要なポイントを説明している。政府はダニエル・ノボア大統領のもとで経済成長率が3%に達しているかのような広報を行っているが、実際の国内総生産(GDP)は過去8年間で年平均0.5%にとどまっているという。
さらに、フロレスは中央銀行が「数字を操作するという辛い役割」を担っていると指摘。具体例として、比較基準年を従来の2007年から2018年に変更するなど、経済指標の「見せかけの修正」が行われていることを挙げた。加えて、政府や社会の不在が「空白地帯」を生み出し、その結果として極度の貧困が拡大しているとの警鐘を鳴らしている。
マルコ・フロレスはインタビューで、2024年が3兆ドル以上の損失を出した経済縮小の年であったため、2025年に「反発(リバウンド)」が起こるのは当然のことだと述べた。政府が真に評価すべきは、その「経済的な穴埋め」が完了した後の状況であるという。
しかし、問題はエクアドル経済が共有された進歩を実現するには単純に持続不可能であり、「エクアドルの極度の貧困はさらに深刻化している」とフロレスは指摘する。失業率は「35%で凍りついたまま」であるという。
また、国際通貨基金(IMF)が提唱する「家計の立て直し」は、新自由主義的な経済政策を指し、解雇の増加や国家の主要資産が少数者の手に渡ることを意味するとフロレスは説明する。「この政策はどの国でも格差を悪化させ、貧困と排除を助長するだけだ」と警鐘を鳴らす。さらにフロレスは、「国家が不在で社会も機能しない場合、空白地帯が生まれ、最終的には貧困、失業、犯罪がその穴を埋めることになる」と締めくくった。
極度の貧困問題の深刻化
マルコ・フロレスが年始に語った付加価値税(IVA)の12%から15%へのインパクトは、この増税で貧困層にあたる700万人のエクアドル人に影響を与えるというものである。
フローレスは以下の通り詳述した:
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270万人が1日あたり3ドル未満の収入で生活している
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230万人が1日あたり1.7ドル未満の収入で生活している
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200万人が多次元的貧困状態(基礎的なサービスへのアクセス不足を含む)にある
これらの人々の収入は非常に低く、貯蓄能力はなく、2024年に実施された3ポイントのIVA増税を賄うことは到底できない。また、「ドル化に伴う物価指数もまた人々の消費を圧迫している」と専門家は付け加えた。
増税は700万人の人々の消費を低下・縮小させたが、例えば「ミルクの量を減らし、水を足して薄めて飲む人もいる。スープにもっと水を入れて皆で分け合うこともある」。フロレスは、これは8年間続いた新自由主義政策の結果であり、エクアドルは経済的な大惨事に直面していると指摘した。
参考資料:
1. Alza del IVA y diésel golpea el consumo de los más pobres
2. Marco Flores: la pobreza crítica en el Ecuador se ha profundizado
3. Marco Flores: Incremento del IVA sí impactó en los siete millones de pobres del Ecuador
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