2025年8月21日、世界フォルクローレの日(Día Mundial del Folklore)を前にした記念行事の一環として、オルーロ県の当局は優れたダンサーたちおよび「フォルクロリコ舞踊団トバス・ソナ・スル(Conjunto Folklórico Tobas Zona Sud)」に対し、功績を称える式典を執り行った。この表彰は、ユネスコにより「人類の口承及び無形遺産の傑作」として認定されている「オルーロのカーニバル(Carnaval de Oruro)」への多大な貢献を讃えるものである。
毎年8月22日は「世界フォルクローレの日」であり、1960年に国際連合教育科学文化機関(UNESCO)によって制定されたものである。1846年にウィリアム・ジョン・トムズ(William John Thoms)が「フォルクローレ」という用語を創案したことに由来する。この日は、民衆の知識や伝承、文化的知恵を称えるための機会である。
功労あるダンサーたちへの表彰
この式典は、県政府に属する文化・観光局(Secretaría Departamental de Cultura y Turismo)と、オルーロ県立法議会(Asamblea Legislativa Departamental de Oruro:ALDO)の共催で実施された。イベントでは、30年以上にわたり「ソカボンの聖母(Virgen del Socavón)」への信仰を込めた舞踊を続けてきた4名の功労ダンサーが表彰された。
文化・観光局の局長であるミゲル・ルパ(Miguel Lupa)は、地域文化におけるフォルクローレの重要性を強調した。「フォルクローレは間違いなく、このトバスの舞踊において文化的本質を示している。『トバス・ソナ・スル』は100年以上の歴史を持つ舞踊団であり、その足跡はオルーロの歴史に深く刻まれている。カーニバルへの多大な貢献は、国内外において108年の舞踊の歩みとして証明されている」と、ルパ局長は語った。
信仰の年月
県庁の「旗の間(Salón de Banderas)」で執り行われた式典において、信仰心に満ちた舞踊活動で知られるライミ・コカ・オルドニェス(Raimi Coca Ordoñez)の存在が際立った。同氏は、「ソカボンの聖母」への信仰から50年間にわたりダンサーとして活動しており、その献身と誠意が本式典において正式に称えられた。
また、トバス・ソナ・スルの現代表であるエドガル・エストラダ(Edgar Estrada)も、自身の49年間にわたる舞踊歴により表彰を受けた。「私が加入した当時は特別な時期だった。同時に加入した仲間たちと共に、この舞踊団を再び蘇らせることができた。あの頃はダンサーの数も少なく、団体としての存続が危ぶまれていた。我々は小さな力を積み重ねて、この団体を強化してきたのだ」と、エストラダは語っている。
ソカボンの聖母とは
「ソカボンの聖母」とは、ボリビア・オルーロで深く信仰されている聖母マリアの崇敬像をいう。特に鉱山労働者やオルーロのカーニバルに関わる人々の守護聖人として広く知られている存在である。「ソカボン」とはスペイン語で「坑道」や「鉱山の穴」を意味し、この名称は鉱山の入口近くにある聖堂に聖母像が祀られていることに由来している。この聖母への信仰は、カトリックの宗教観と先住民の伝統的な信仰が融合したものであり、アンデス地域特有の宗教文化を形成している。特に、地底の精霊「エル・ティオ(El Tío)」への恐れと、聖母への信仰が並立して存在している点に特徴がある。
「ソカボンの聖母」は、ユネスコによって「人類の口承及び無形遺産の傑作」に認定された「オルーロのカーニバル」の精神的中心であり、多くのダンサーたちは、聖母への誓いとして踊りを奉納する。このように、ソカボンの聖母はオルーロの人々にとって、単なる宗教的存在にとどまらず、文化的アイデンティティと精神的支柱を象徴する極めて重要な存在である。
「トバス・ソナ・スル」の功労者たち
県当局は、100年以上の歴史を持つ舞踊団トバス・ソナ・スルに対し、表彰を授与した。また、団体を支えてきた4名の功労ダンサーにも個別に栄誉が与えられた。
-
ライミ・コカ・オルドニェス:50年にわたる舞踊活動に対して表彰
-
エドガル・ダニエル・エストラダ・パレデス:49年の功績に対して表彰
-
ホセ・セサル・ラモス・ラモス(José Cesar Ramos Ramos):47年間の所属歴に対して表彰
-
フアン・マヌエル・クエジャル・カルピオ(Juan Manuel Cuellar Carpio):30年にわたる現役活動と文化振興への貢献に対して表彰
2025年はトバス・ソナ・スル創立108周年の年
オルーロ自治県政府庁舎(Gobierno Autónomo Departamental de Oruro:GADOR)のホールでは2025年1月13日(月)「トバス・ソナ・スル」の創立108周年を記念する特別イベントが開催された。この式典でも、「人類の口承及び無形遺産の傑作」として知られる「オルーロのカーニバル(Carnaval de Oruro)」に数十年にわたり献身してきた舞踊者たちへの敬意と表彰が行われている。式典の中で、「カーニバル運営ユニット(Unidad de Gestión del Carnaval)」の責任者であるウゴ・カンチャリ(Hugo Canchari)は、100年以上にわたり活動を続けてきた同舞踊団の意義と、そのフォルクローレへの貢献の重要性を強調した。
「オルーロ市自治政府は、108年というこの歴史ある舞踊団の歩みに対し、心よりの祝意を表したい。我々はこの舞踊団に30年、40年以上にわたって貢献してきたダンサーたちのために表彰状を準備した」と、カンチャリは語りながら、以下の功労者に対して功績証明書を手渡した。
-
ライミ・コカ・オルドニェス
-
ホセ・セサル・ラモス・ラモス
-
セルソ・ビクトル・シレス・マルケス(Celso Víctor Siles Márquez)
-
フアン・マヌエル・クエジャル・カルピオ
これらの舞踊者たちは、長年にわたり同団体の発展とカーニバルへの継続的な貢献に尽力してきた。
「トバス・ソナ・スル」は、1917年1月14日、ボリビアのオルーロ市にて創設された。創設者たちは、タリハ地方の舞踊「チュンチョス(Chunchos de Tarija)」に着想を得て、より機敏で躍動感のある演舞を目指し、音楽とステップを独自にアレンジした。創設以来、本舞踊団は毎年オルーロのカーニバルに参加し続けており、ソカボンの聖母への信仰を祝う舞踊を捧げてきた。
参考資料:
1. Por el Día del Folklore, conjunto Tobas Sud recibe distinción de autoridades departamentales
2. El conjunto folklórico Tobas Zona Sur celebra 108 años de tradición
No Comments