エクアドル全国ストライキ2025:7日目、先住民指導者エフライン・フエレス、殺害される

エクアドルで、先住民および農民組織が主導する全国規模のストライキが7日目を迎えた。今回のストライキは、ディーゼル燃料補助金の廃止に対する抗議として展開されているものであり、これまでに90名以上の村落共同体の住民(comunero, コムネロ)が拘束されている。

この全国ストライキは、平和的な抗議の域を超え、暴力的な事態へと発展している。28日午前6時30分頃、イムバブラ(Imbabura)県のピンサキ(Pinsaqui)にあるパンアメリカン・ハイウェイ北線(vía Panamericana Norte)付近において、先住民族キチュア(Kichwa)の指導者であるエフライン・フエレス(Efraín Fuerez、47歳)が銃撃を受けた。フエレスは、コタカチ(Cotacachi)の病院へ搬送されたものの、銃創が原因で同日中に死亡した。彼は、クイコチャ・インギンツァラ(Cuicocha-Inguintzala)コミュニティの出身であり、2人の子を持つ父親でもあった。インバブラで職人かつ建設の指導者として知られていたフエレスは、本ストライキにおける最初の死者となり、抗議活動の中での暴力の深刻さを物語っている。

この件について、エクアドル先住民族連盟(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)は声明を発表し、「これはダニエル・ノボア(Daniel Noboa)政権によって命じられた国家犯罪であり、残虐な殺害である」と強く非難した。またCONAIEは、「この進行中の虐殺を止めるため、米州人権委員会(Comisión Interamericana de Derechos Humanos:CIDH)および国際連合(United Nations)など、国内外の人権機関による緊急介入が必要である」と訴えている。同様に、地域人権助言財団(Fundación Regional de Asesoría en Derechos Humanos:INREDH)も「この悲劇的な出来事は、正当な抵抗権を行使していた抗議者に対する暴力的かつ過剰な弾圧の一環であり、短距離および長距離からの軍用戦車による複数の攻撃も記録されている」と述べるとともに、軍関係者による攻撃がリーダーの死の原因であるとし、その責任を追及する姿勢を示した。

 

先住民族指導者の死が明らかになった後、国際連合自由結社権担当特別報告者(Relatora de Naciones Unidas para la Libertad de Asociación)ジナ・ロメロ(Gina Romero)は、「エクアドル軍(Fuerzas Armadas de Ecuador)が抗議の現場で行動していることを知ったが、それは国際的な集会の権利の基準に反している。非常事態宣言下であっても例外ではない」と指摘した。また、「抗議者への武力行使を即刻停止せよ。抗議することは権利であり、それによって命を失ってはならない」と強調した。ロメロはさらに、9月27日(土)にも警告を発しており、「明日9月28日の動員にあたり、平和的な集会とデモの国際的保護基準が遵守されるよう求める。過去数週間に見られた過度の武力行使や違法拘束の再発は許されない」と述べていた。

CONAIEが公開した映像には、銃撃を受けて負傷したフエレスが他のコムネロたちに抱えられて搬送されている場面も収められている。あわせて軍隊が装甲車両や武器を携えて、日曜の夜明けに人口密集地で行動する様子も記録されていた。映像に映し出されていたのは倒れたフエレスのそばで突然2台の軍用車両が停止し、オリーブグリーンの軍服を着た兵士たちが武装して降車した姿であった。兵士らは負傷者を助けることなく、唯一残っていたフエレスの救助者を地面に蹴り倒し、銃床で頭部を殴打して半ば意識を失わせた上で現場を後にした。この映像は、軍による行動が人道的支援ではなく、暴力的制圧であったことを示す証拠として、国内外で注目されている。

 

CONAIEは、SNSを通じて現政権の対応を激しく批判した。同組織は、「ダニエル・ノボア政権は民族に対して血まみれの『狩猟行為(cacería)』を開始した。軍隊と警察は、実弾やダイナマイト、致死的な武器で先住民コミュニティに発砲している」との声明を発表した。さらに「これは計画的な虐殺であり、国家犯罪である」と断じ、「すでに同志の一人が殺害され、数十人が拘束され、重傷者も出ている。我々は弾圧の即時停止、すべての殺害事件の徹底調査、そして倒れた仲間たちへの正義を要求する」と訴えている。同組織によれば、こうした軍事的対応は政府の権威主義的性質を示すものであり、「警察と軍隊は致死的な武器と弾薬を用いて、私たちのコミュニティに対して殺傷目的で発砲している」。CONAIEはエフライン・フエレスの死についても強く言及し、「エフラインの死は弾圧の最中に行われた直接的な処刑であり、同時に別のコムネロも銃創で重体となっている。この事件は深刻な人権侵害である」と述べた。最後に、同組織は「先住民族の領土における軍事化と弾圧の即時停止」、「正義の実現とフエレスの家族への包括的補償」、そして「弾圧の終結」を強く求めている。

 

一方でエクアドル軍は、コタカチにおいて軍用車両の部隊が待ち伏せ攻撃を受け、12名の兵士が負傷、17名が拘束されたと報告した。軍によると、襲撃は「コタカチに潜入したテロリスト集団によるもので、抗議活動がもはや平和的なものではないことの最も明確な証拠である」。軍によると部隊は、シエラ北部(Sierra norte)の最も支援を必要とする地域に食糧を届けるため、物資輸送車両の護衛任務を遂行していたが、その最中に武装集団の待ち伏せを受けた。その結果、暴力的な衝突へと発展した。

この件に関して、政府担当大臣(Ministra de Gobierno)ザイダ・ロビラ(Zaida Rovira)は、「コタカチの件は抗議などではなく、我が軍隊を標的とした犯罪組織―テロリスト―による卑劣な待ち伏せだった」と述べ、軍の行動を擁護した。

 

衝突はコタカチ以外の地域にも波及しており、オタバロ(Otavalo)、イバラ(Ibarra)管区のラ・エスペランサ(La Esperanza)教区でも激しい衝突が報告されている。さらに、コトパクシ(Cotopaxi)県ズンバワ(Zumbahua)では道路封鎖も確認されている。当局の進行が進む中、日曜夜から月曜未明にかけて新たな衝突が発生する可能性も高まっている。

 

9月28日(日)、政府は先住民による軍隊への攻撃に対応し、積極的な行動を展開した。同日19時頃、100台の警察および軍の車両が秘密裏にマリスカル・スクレ空港(Aeropuerto Mariscal Sucre)に集合し、列を成してE35号線(パンアメリカーナ北線)を通り、首都キト(Quito)から北部へ向けて進行した。エクアビサ(Ecuavisa)の報道によれば、車列は内務大臣ジョン・ライムバーグ(John Reimberg)が先頭に立ち、先住民組織のストライキにより閉鎖された道路の開放を目的としている。一方、コムネロは、カヤンベ(Cayambe)に軍用車両が待機し、夜間にインバブラの重要地域へ進入して支配を取り戻す準備をしていると指摘している。

地域人権アセスメントが告発するのは、インターネット信号の遮断である。コタカチやオタバロからのコムネロの報告を基に発表された同財団の声明によると、「住民は通信手段を断たれ、現地で起きていることを外部に伝えることが著しく制限されている」という。この通信遮断は、軍との衝突の最中にエフライン・フエレスが殺害された事件を受けて発生したとされている。

しかし21時を過ぎて、通信障害にもかかわらずコムネロらは動画をSNS上で拡散し、ロマ・ゴルダ(Loma Gorda)、ニャニョ・ロマ(Ñaño Loma)、エル・カハス(El Cajas)などの地域における軍の侵入を警告した。これらのコミュニティが公開した動画には、激しい銃声が響き、重武装した軍人の進入の様子が映し出されている。コムネロたちは自身や家族の生命の安全を強く懸念しており、チャット上では侵入や攻撃に備え、自宅の扉を確実に施錠するよう呼びかけている。

 

エフライン・フエレス殺害の報が広まるとともに、国民の怒りは急速に高まり、軍隊およびダニエル・ノボア(Daniel Noboa)政権に対する批判の声が一気に強まった。9月28日の夜には、クエンカ(Cuenca)においても市民による大規模な動員が行われた。公権力との衝突の最中、軍人による3発の銃撃を受けてフエレスが死亡したことが、今回の激しい抗議と怒りの引き金となっている。

 

アスアイ(Azuay)県およびボリバル(Bolívar)県においても、フエレス死亡を受けて多くの市民が抗議行動に参加した。彼らはまた、インバブラ県でストライキ中に逮捕された住民の釈放も強く要求している。「インバブラは耐え、民衆は立ち上がる(Imbabura aguanta, el pueblo se levanta)」というスローガンは、クエンカとボリバルでの抗議現場で市民たちによって叫ばれたものである。子どもから若者、男女、そして高齢者に至るまで幅広い層が抗議に参加している。両県では、逮捕者への連帯とエフライン・フエレスの追悼のために、恒常的な見守り態勢が宣言されている。

 

CONAIEや複数の社会団体は、軍および警察が当該地域のコミュニティに対し、実弾やダイナマイト、その他の致死性武器を使用していることも強く非難している。具体的には、同日午後、イバラ(Ibarra)管区のズレタ(Zuleta)方面に位置するラ・エスペランサ(La Esperanza)教区で攻撃が発生し、軍と警察が大規模に展開した。CONAIEの報告によれば、住宅内での銃撃も行われたという。

CONAIEはこれらの行為を「国家犯罪」として厳しく非難し、ダニエル・ノボア政権を重大な人権侵害の「直接の責任者」として断固糾弾している。また、エル・パルティデロ(El Partidero)、コタカチ入口周辺、オタバロなど複数地域においても、公権力と村落共同体住民との間で激しい衝突が相次いでいる。

検察庁はエフライン・フエレスの死亡が公に伝わると、SNS「X(旧Twitter)」を通じて、「コタカチにおける市民死亡の報告を受け、検察職員が現場に赴き遺体の引き取り及び捜査手続きを行った」と発表した。さらに検察庁は、ストライキに伴う武力行使の実態を解明するため、職権により予備捜査(indagación previa)を開始したことを明らかにした。この捜査は、「不当な武力行使の調査専門部局(Unidad Especializada en la Investigación del Uso Ilegítimo de la Fuerza)」が国際プロトコルに基づいて客観性を確保しつつ実施するという。同機関はこの捜査の性格について、「国際的な手続き(protocolos internacionales)」に則り「捜査の客観性を保証する」ことを目的とし、現段階では捜査記録は秘密扱いになることを強調している。

#DanielNoboa #CONAIE #エクアドル全国ストライキ2025

 

参考資料:

1. Masivas protestas se registran la noche del domingo en Cuenca y Guaranda
2. 100 vehículos policiales y militares avanzan por la E35; videos muestran fuerte incursión en comunidades
3. Indignación, condena enérgica y ¡Alto al fuego!, las reacciones tras el asesinato de líder indígena durante un enfrentamiento con militares
4. Gobierno se escandaliza por ataques a militares, pero calla por comunero asesinado en protestas
5. Efraín Fuerez es el primer indígena muerto en el contexto del paro en Cotacachi; DD.HH. pide ‘alto al fuego’
6. Violenta jornada en Ecuador por paro nacional: manifestante indígena fallecido y militares heridos en emboscada
7. Quién era Efraín Fueres, el comunero que murió en medio de las protestas en Cotacachi

 
 

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