エクアドル全国ストライキ2025:3日目、連帯の強化と金で分断を進めようとする政府対応

(Photo:AP/Dolores Ochoa)

エクアドルにおける全国ストライキは日を追うごとに拡大しており、各地で道路封鎖が続く中、抗議継続の意思を示す声明が相次いでいる。エクアドル先住民族連盟(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)は、指導者マルロン・バルガス(Marlon Vargas)のもと、抗議活動を中止しない方針を改めて表明し、「最後の結果に至るまで」抵抗を続けると宣言した。これに対し政府は、補助金廃止は経済的に不可避な措置であり、抗議運動の指導者たちは国民の不満を政治的に利用していると批判している。

アマゾニア先住民族連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Amazonía Ecuatoriana:CONFENIAE)も、9月24日(水)より全国ストライキへの参加を表明した。CONAIEの公式SNSに投稿された映像には、CONFENIAEの代表者らがパスタサ県の幹線道路上に立ち、地域住民と広く市民に対し、動員への参加を呼びかける様子が映っている。映像内で、ある代表者は「ここパスタサ県、アマゾニアの主要幹線道路(トロンカル・アマゾニカ)から、我々の領土が始まる。ここから重要な一歩が踏み出された」と述べた上で、「これは長期にわたる運動の始まりであり、我々の諸民族は今後、段階的に団結していく」と強調した。バルガスはまた、「アマゾニア地域は、命、領土、そしてエクアドル民族の尊厳のために声を上げ、抵抗に加わる」との声明を発信している。

 

オタバロの様子

バルガスのアマゾン地域訪問は、アンデス地域にあるオタバロ(Otavalo)を訪れたダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領の姿勢とは対照的である。ノボア大統領は、抗議者と治安部隊の衝突が最も激しい地域の一つである地域に赴き、公務を遂行した。彼のオタバロ到着後、パンアメリカンハイウェイ北線(E35 Panamericana Norte)やカヤンベ(Cayambe)、コタカチ(Cotacachi)、アントニオ・アンテ(Antonio Ante)を結ぶ道路での交通遮断はさらに激化し、抗議者と治安部隊の衝突が発生した。これにより、2名の負傷者が出たと報告されている。

ノボアは、9月24日未明、北パンアメリカンハイウェイを経てオタバロに到着した。この地域はシエラ地方において最も激しい抗議と道路封鎖が集中している地域であることから、航空機による退避の可能性も排除されていなかった。強固な軍・警察の護衛を伴い現地入りしたノボアの行動はパンアメリカンハイウェイ北線を再開させる作戦の一環であったとされている。前日、群衆が車両や警察署を放火するなど深刻な騒乱が起こり、オタバロでは翌日も店舗の多くが閉店、住民はさらなる衝突を恐れて街から姿を消していた。

ノボア大統領は、9月24日未明、北パンアメリカンハイウェイ(E35)を経由してオタバロに到着した。この地域はシエラ地方の中でも抗議と道路封鎖が特に激しく集中しており、現地情勢の不安定さから、航空機による退避の可能性も排除されていなかった。ノボアの現地入りには強固な軍・警察の護衛が伴い、この行動はパンアメリカンハイウェイ北線の再開を目的とした政府の作戦の一環であったとされる。前日には、群衆による車両や警察署への放火など深刻な騒乱が発生しており、オタバロ市内では翌日も多くの商店が閉鎖され、住民の姿もまばらであった。住民はさらなる衝突を恐れ、外出を控えていた。

この日ノボアは、同市にあるジャシント・ゴジャグアソ教育施設(Unidad Educativa Jacinto Gollaguazo)で開催された政府イベントにも出席した。演説の中で、ノボアは抗議行動を主導する勢力を名指しこそしなかったものの、「抗議を装ったテロ行為を煽動している」として厳しく非難し、全国ストライキに対して一切退かない姿勢を強調した。このイベントには副大統領マリア・ホセ・ピント(María José Pinto)も出席しており、今後もオタバロから職務を継続すると表明した。ピントは、「我々は地域に根差した政府であり、地域にとどまる」と述べ、副大統領府の一部機能をインバブラ県に移す決定を示唆した。ピントは、「彼らは我々に抗議を仕掛けたいのだろうが、我々の方が先に抗議をする。彼らが自分たちの領土から我々を追い出したいというのなら、我々は国全体から彼らを追い出す」と発言し、政府の主導権と決意を強調した。この発言は、政府が抗議に屈しない強硬姿勢をとる意志を明確にするものである。

 

ただし、こうした決定に対しては、抗議を継続する各勢力から批判の声も上がっている。数日前には、コタカチ先住民族農民連合(Unión de Comunidades Campesinas e Indígenas de Cotacachi)がピントを「非歓迎人物(persona no grata)」と宣言し、同地からの退去を要求していた。これに対してピントは、「他者の意見は尊重するが、大統領から託された任務を引き続き遂行する」と述べ、職責を全うする姿勢を崩していない。

ノボアのオタバロ訪問に際し、CONAIEは「市街地への装甲車および兵士の投入は過剰な治安作戦であり、都市の軍事占領に等しい」と強く非難した。政府が北部山岳地帯(シエラ地方)において治安体制を強化する一方、CONAIEは抗議運動の拡大を目指し、アマゾン地域での活動を展開している。CONAIEの指導者マルロン・バルガスは、パスタサ県にて複数の集会を主導し、各地のコミュニティに対して政府への抗議の声を上げるよう呼びかけた。また、同組織はSNSを通じて、「政府は集団的権利を侵害し、住民間の分断を図るために福祉的手法(アシスタンシャリズム)を利用している」との批判を発信している。さらにCONAIEは、公式X(旧Twitter)アカウントにて、「オタバロでは公共資金を用いた過剰な軍・警察の展開により、若者、女性、子ども、高齢者までもが市中心部で包囲されている」と訴えた。また、「ノボアの存在は恐怖を植え付け、抵抗を崩すための援助金のばらまきを目的としており、危機の根本原因には向き合っていない」と批判を加えた。さらに、「我々は分断を狙うこのような政治的策略を拒否する。民衆は売り物ではなく、民衆は抵抗する」と強調している。

同日午後2時30分過ぎ、CONAIEはSNSを通じて、政府関係者がヘリコプターでオタバロ市を離脱する様子を捉えた映像を公開した。映像の中で、ダニエル・ノボア大統領がその航空機を使用した可能性があると指摘しているが、政府当局はこれについて公式な確認を行っていない。このヘリコプターは、職員の移動手段の一環として運用されており、9月23日以降、同地域では試験的な着陸も実施されていた。

 

キトの様子

キト(Quito)市では、シエラ北部における全国ストライキの緊張が続く中、社会団体がCONAIEの本部に集結した。参加団体には、フレンテ・ポプラール(Frente Popular)、全国教育者連合(Unión Nacional de Educadores:UNE)、エクアドル大学生連盟(Federación de Estudiantes Universitarios del Ecuador:FEUE)などが含まれる。この会合は、全国ストライキの今後の方針を協議することを目的としており、UNEのアンドレス・キシュペ(Andrés Quishpe)会長は、Ecuavisaの取材に対し、「新たな全国規模の動員の可能性について議論する予定である」と述べていた。

同日午後、キト市内では緊張が検察庁周辺に移り、学生団体および社会運動団体が現行犯専門部(Unidad de Flagrancia)前に集まり、ろうそく集会(ビジリア)を開催した。これは、前日の夜に行われた抗議活動中の逮捕に対する抗議である。参加者らは、4名が不当に拘束されたと主張し、警察による過剰な暴力行使を非難した。中でも、催涙ガスを拘束者の顔に直接噴射したとされる行為について、強く抗議の声が上がった。内務大臣のジョン・ラインベルグ(John Reimberg)は、当該行為について調査を行うと発表したものの、全体として警察の対応は「正当な行動である」と擁護した。これに対し、CONAIEは「今回のビジリアは、抗議中に不当かつ暴力的に拘束された人々への支援を示すものである」と表明した。集会は午後6時過ぎに平和的に解散した。

 

コトパクシの様子と政府によるメディア妨害への訴え

エクアドルのコトパクシ先住民族・農民運動(Movimiento Indígena y Campesino de Cotopaxi:MICC)は、先住民族・農民のコミュニティメディア「TV MICC」の放送が恣意的に停止されたとして抗議している。MICCによれば、2025年9月23日に電気通信規制・管理庁(Agencia de Regulación y Control de Telecomunicaciones:Arcotel)が、ラタクンガ(Latacunga)、サルセド(Salcedo)、アンバト(Ambato)、セバリョス(Cevallos)、ケロ(Quero)、ペリエロ(Pelileo)、ピジャロ(Píllaro)、ティサレオ(Tisaleo)各地でのテレビ放送停止を決定したという。Arcotelはこれを「公共秩序および国家安全保障の保護のため」と説明しているが、MICCはこの措置を「検閲行為である」と強く批判している。声明では、これが「コトパクシおよび全国の先住民族・農民運動の声を犯罪化し、封じ込めようとする試みである」と主張している。

この日、コトパクシ県ラタクンガの公共の場でノボア大統領はディーゼル補助金廃止を擁護し、「後退させられるくらいなら、私は死を選ぶ」と強調した。補助金廃止措置は9月13日から施行され、ディーゼルの価格はガロンあたり1.80ドルから2.80ドルに引き上げられた。大統領は、この措置により融資や社会プログラムの資金調達が可能になると述べ、わずか10日間で3億5千万ドルの補償金が支給されたことを歴史的な成果と評価した。補助金廃止は農業者や起業家、脆弱な家族への支援に直結すると説明している。

 

国民からの支持があると主張する政府

エクアドル大統領府(Presidencia de la República de Ecuador)は声明において、アスアイ県(Azuay)の13の県(カントン)から支持を得ていると報告した。支持を表明したカントンには、カミロ・ポンセ・エンリケス(Camilo Ponce Enríquez)、ヒロン(Girón)、グアラセオ(Gualaceo)、パウテ(Paute)などが含まれる。大統領府は「各首長の言葉を引用すると、エクアドルは環境を破壊する違法活動に補助金を支払い続けることはできない」と強調した。

内務大臣ラインベルグによれば、全国ストライキに関連して、全国で少なくとも60人が拘束されたという。この数字は、2025年9月23日(火)の午後から夜にかけて、キト(Quito)、グアヤキル(Guayaquil)、クエンカ(Cuenca)、ロハ(Loja)などで発生した局地的な抗議活動によって増加した。ラインベルグは、拘束された中に外国籍の者も含まれており、一部は犯罪集団との関与が疑われていると述べた。また、現在の抗議行動はもはや単なる補助金廃止への反発ではなく、「政治的問題へと変質している」との見解を示している。

 

オタバロにおける暴動および警察署の破壊で13人が起訴される

オタバロで発生した暴動および警察署焼き討ち事件に関連し、13人がテロリズムの罪で起訴された。これはCONAIEが呼びかけた全国ストライキに伴う初のテロリズム容疑による訴追である。起訴者のうち2名は、政府によりベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア(Tren de Aragua)」の構成員とされる外国人である。しかし、公判において担当検察官ガリアノ・バルカサール(Galiano Balcázar)は、両者と同組織の関係性について言及しなかった。内務大臣は記者会見で、両名が自ら「トレン・デ・アラグア」の構成員であると名乗ったと説明した。報道番組Televistazoによれば、記録された事件ファイルには、うち1名の外国人がエクアドル国民識別証(cédula)を保有していることが確認されている。

検察庁の初期の捜査によれば、拘束者たちはは司令部の事務所に侵入し、入口の門を破壊し、物的損害を与え、文書を持ち出し、10台以上の車両に放火したとされる。これらの行為により、検察は調査を開始し、関係者をテロリズムの疑いで刑事告発した。現行犯逮捕の聴聞会にて、暴行を受けた警察官たちが証言を行い、攻撃の主犯とされる被告人を爆発物を所持していたとして特定した。物的損害については、犯罪学調査報告によると、焼失した車両の損害額は12万5,000米ドルを超えると見積もられている。一方、消防局の報告では、モロトフカクテル(焼夷瓶)、花火、石、その他の爆発物が使用され、警察施設に深刻な損害を与えたことが確認されている。今後30日間続く検察の捜査段階では、押収された薬莢の鑑定が行われ、所持者の特定が試みられる。テロリズム罪は「包括的刑法典(Código Orgánico Integral Penal、COIP)」第366条に規定されている。

 

起訴者の中にはジナ・カウアスキ(Gina Cahuasqui)も含まれていた。彼女の逮捕の様子は動画に撮影され、SNS上で拡散された。ジナのみが予防拘禁に代わる司法措置を受けたが、他の12名は予防拘禁(prisión preventiva)を命じられている。彼女の弁護側は控訴する意向を示している。弁護人の一人であるマリオ・ルイス(Mario Ruiz)は、「措置は過剰であり、裁判官は弁護側に居住証明などを提出する機会を与えなかった。(中略)被告側は公設弁護人によって弁護された」と述べている。検察庁はジナをテロリズム容疑で告発しているが、月曜日に拘束された彼女自身の証言によると、彼女は抗議者に対して水と食料を運んでいただけである。拘束された際は、オタバロ警察司令部(Comando de Policía de Otavalo)付近におり、警官に発砲をやめるよう話し合いを試みていたという。「抗議者に水と食料を運んでいる間に発砲が始まった。私がしたのは近づいて撃つのをやめてほしいと頼んだことだけである。映像には明確に、私が棒や石を持っていないことが映っている。私は看護助手(auxiliar de enfermería)として卒業しており、人々を助けるつもりであった」と彼女は述べている。また、ジナは拘束後、男性警官も女性警官も含む警察から身体的な暴行を受けたと主張している。さらに、彼女の仲間の多くがより激しい扱いを受けたと訴えている。「私たちは虐待された。私は蹴られた。男性たちはもっとひどく殴られた。みんなにお願いしたい、どうか身を守り、一人で路上に残されてはならない」と彼女は語っている。ジナは代替措置のもと釈放されており、オタバロ検察庁には週に二回出頭しなければならない状態にある。また、手続きが終わるまでは国外に出ることも禁じられている。「私は暴力的にデモに参加し、棒や火炎瓶を使ったと告発されている。しかしそれは事実ではない。私は何もしていない。ただ平和的に自分の民を助けるために行っただけである」と彼女は強調した。この体験から、カワスキは先住民族コミュニティおよび動員されている市民に向けて次のように呼びかけている。「共に抵抗しよう。我々は皆、民であり、この政府の措置によって皆が被害を受けている。仲間をひとりぼっちにしてはならない」と。

 

全国的なストライキの3日目にあたる最中、政府は憲法制定議会に関する新たな「大統領令第155号」を発出した。この文書は憲法裁判所からの指摘を踏まえ、ノボア大統領が提示した質問内容の承認を得て調整を加えることを目的としている。

#DanielNoboa #CONAIE #エクアドル全国ストライキ2025

 

参考資料:

1. Ecuador: la Conaie insiste en el paro nacional, mientras las protestas siguen focalizadas
2. Indígenas de otra provincia de Ecuador se suman al paro nacional durante visita de Noboa
3. Paro nacional 2025 | Gobierno reporta al menos 60 detenidos en protestas y Conaie anuncia que mantendrá la medida
4. 13 arrestados por disturbios y la quema de cuartel policial en Otavalo fueron procesados por terrorismo
5. Acusada de terrorismo por llevar comida a manifestantes en Otavalo: el testimonio de Gina Cahuasqui
6. Manifestaciones: Jueza dicta prisión preventiva por presunto terrorismo para 12 personas, excepto una mujer

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