エクアドル:サッカー選手 ジョナサン・ゴンサレス、エスメラルダスでの自宅で殺される

ジョナサン・ゴンサレス(Jonathan González)は、2024年9月19日(金)の朝、エスメラルダス県北部にある自宅で銃撃を受け、死亡した。享年31歳であった。現場にはエクアドル国家警察が出動し、すでに初動報告が発表されている。

事件当時、ゴンサレスはエスメラルダス市内のビスタ・アル・マル地区(Barrio Vista al Mar)にある自宅で、家族や友人らとともに集まりを開いていた。その最中、武装した複数の人物が住宅内に押し入り、ゴンサレスに向けて複数回発砲した。銃撃による負傷は致命的であり、ゴンサレスは現場で即死した。遺体は、家族や友人とともに酒を飲んでいた椅子に座ったままの状態で発見された。

“Speedy(スピーディ)”の愛称で知られたゴンサレスは、2024年にプロサッカー選手としてのキャリアを再開し、クラブ22・デ・フリオ(Club 22 de Julio)に加入していた。同クラブは、エクアドル・セリエB(Serie B del Fútbol Ecuatoriano)およびコパ・エクアドル(Copa Ecuador)に所属している。経験豊富で技術に優れた選手として、ゴンサレスの加入はクラブのサポーターから歓迎されていた。

 

国内外で活躍したスピードスター

ジョナサン・ゴンサレスは、その爆発的なスピードと突破力で知られていた。彼はインデペンディエンテ・デル・バジェ(Club Independiente del Valle)、デポルティーボ・クエンカ(Club Deportivo Cuenca)、デルフィンSC(Delfín Sporting Club)、ソシエダ・デポルティーバ・アウカス(Sociedad Deportiva Aucas)、ムシュク・ルナSC(Mushuc Runa Sporting Club)、およびリーガ・デ・キト(Liga Deportiva Universitaria de Quito)といった国内有力クラブで主力として活躍した。

その実績が評価され、エクアドル代表(Selección de fútbol de Ecuador)にも選出されている。2015年のコパ・アメリカ(Copa América 2015)では、ナショナルチームの一員として国際舞台を経験した。

国外では、レオネス・ネグロス・デ・ラ・ウニベルシダ・デ・グアダラハラ(Leones Negros de la Universidad de Guadalajara)、クラブ・レオン(Club León)、ドラドス・デ・シナロア(Dorados de Sinaloa)といったメキシコのクラブに加え、パラグアイのクラブ・オリンピア(Club Olimpia)でもプレーした。

ここ数年はメディアでの露出が減少していたものの、ゴンサレスはプロとしてのキャリアを諦めることなく、セリエBの舞台で変わらぬ献身を見せていた。自身のプレーでクラブの残留に貢献すべく、フィールドに立ち続けていた中での突然の死は、クラブ関係者、ファン、元チームメイト、そして国全体に深い悲しみをもたらしている。

とりわけ、2013年から2014年にかけてゴンサレスがプロとして頭角を現したインデペンディエンテ・デル・バジェは、公式SNSで「元選手であるJonathan González氏の訃報に深い悲しみを表します。ご家族ならびに関係者の皆様に心よりお悔やみ申し上げます」と声明を発表した。

 

また、エクアドルサッカー連盟(Federación Ecuatoriana de Fútbol:FEF)も、代表選手として同選手が2015年のコパ・アメリカに参加した経歴に触れつつ、「クラブ22・デ・フリオ(Club 22 de Julio FC)の関係者、ご家族、ご友人の皆様に、深い哀悼の意を表します」と追悼の言葉を述べている。

 

9月以降、3人目となるアスリートの殺害

ゴンサレスの死は、スポーツ界のみならず国全体に深い悲しみと不安をもたらす事件であり、治安状況の悪化がトップアスリートにまで波及していることを象徴する出来事である。ゴンサレスの殺害は、同国で2025年9月以降に発生した3件目のアスリート殺害事件である。現地警察は事件の動機について現時点で明らかにしていない。一方、この襲撃では、もう一人の身元不明の被害者も病院に搬送される途中で死亡している。

今回の事件は、数日前にマンタ市で若手サッカー選手マイコル・バレンシア(Maicol Valencia)が殺害された直後に発生しており、エクアドル国内におけるスポーツ界を巻き込んだ暴力の拡大に対する懸念を高めている。バレンシアはセカンドディビジョン(LigaPro Serie B)所属のエクスアプロモ・コスタFC(Exapromo Costa FC)に所属していた。また、レアンドロ・イェペス(Leandro Yepez)選手も武装グループに襲撃されている。バレンシアはその場で死亡し、イェペスは数日後に負傷がもとで死亡した。クラブ側は、両選手が本来別の標的を狙った攻撃の巻き添えになったとの見解を示している。これらの事態に対し、複数のクラブチーム、サッカー連盟、ならびにファンらは深い悲しみと怒りを表明し、事件の真相究明と司法による正義の実現を強く求めている。

 

犯罪と麻薬の温床となるエクアドル

エスメラルダス県は、コロンビアと国境を接する地域であり、麻薬密輸組織同士の抗争が激化しているエリアとして知られている。エクアドルは、世界最大のコカイン生産国であるコロンビアおよびペルーに挟まれた地理的位置にあり、世界のコカイン供給の約70%がこの国から出荷されている。

治安の悪化に伴い、エクアドルの殺人発生率は2018年の人口10万人あたり6人から、2023年には過去最高の47人にまで急増した。2024年にはやや減少したものの、それでも38人という高水準を維持している。

#サッカー

 

参考資料:

1. Jonathan González fue asesinado a tiros en su vivienda en Esmeraldas durante una reunión social
2. Jonathan González asesinado: La FEF e Independiente del Valle expresan sus condolencias
3. Jonathan González es encontrado sin vida en Esmeraldas

No Comments

Leave a Comment

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!