エクアドル:2025年国民投票に向けた選挙キャンペーンは11月1日から13日まで

(Photo:Gianna Benalcazar / EFE)

エクアドルの政治団体および社会団体は、2025年11月16日に実施される国民投票において、「賛成」または「反対」の立場から選挙キャンペーンを行うことができる。投票は同日の日曜日に実施され、国民は再び投票所へ足を運ぶことになる。キャンペーン期間は、11月1日から13日までの2週間と定められている。

今回の国民投票では、国家主権および政治資金に関する憲法上の重要かつ繊細な論点が争点となる。現在、国家選挙評議会(Consejo Nacional Electoral:CNE)の本会議により、以下の2問が正式に承認されている。

 

設問1:外国軍基地の設置禁止の撤廃

現行憲法第5条は、外国軍の基地や、軍事目的の外国施設の国内設置を明確に禁じている。
改正案では、同条文を「エクアドルは平和の領土である」という簡潔な一文に置き換えることが提案されている。

この変更により、外国軍の駐留禁止に関する明文規定が削除されることになり、将来的にはその解釈が政治的・法的判断に委ねられることとなる。

なお、外国軍基地の設置禁止は、2008年に制定された現行憲法(当時の大統領ラファエル・コレア〈Rafael Correa〉政権下で成立)によって初めて導入された規定である。

設問2:政党への国家資金提供の廃止

現在の憲法第110条は、政党および政治運動に対して、国家が資金を提供する義務を定めている。
改正案では、これを撤廃し、政党および政治運動の資金は、会員、支持者、または同調者からの拠出金のみに限定することが提案されている。

さらに、2回連続で複数人区における選挙で有効投票の5%以上を獲得した政治運動には、政党と同様の権利および義務が認められることになる。

 

現時点で、関係団体が選挙キャンペーンを展開できるのは、国家選挙評議会により承認された2つの設問に限られている。ただし、今後さらに設問が追加される可能性もある。これは、憲法裁判所(Corte Constitucional)が、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領によって提出された7つの設問からなる第2案を現在審査中であるためだ。審議中の設問には、ノボア大統領が国民に対して「新憲法を起草するための憲法制定会議(Asamblea Constituyente)の設置に賛成するか否か」を問う国民投票の招集についても含まれている。憲法裁判所の裁判官らは、その合憲性も慎重に検討している。

この憲法制定会議の招集は、ノボア大統領が前回と同様、憲法裁判所の承認を事前に得ることなく、先週の土曜日に2回目として実施したものである。これは、現行法において明確に求められている手続きを逸脱した行為である。ノボア大統領は、先週の金曜日に初めて憲法制定会議に関する国民投票の招集を行ったが、憲法裁判所はその大統領令の効力を一時的に停止した。これは、5件の違憲訴訟を正式に受理したことを受けた措置であり、訴訟では大統領の提案が「事前に裁判所の承認を得る」という法的要件を満たしていないと指摘されていた。

この判断を受けて、ノボア大統領は停止された大統領令を撤回し、新たな招集をCNEに直接提出する措置を取った。これは、裁判所による審査を回避しようとする試みと見られている。しかし、CNEの本会議はこの要請を憲法裁判所へ差し戻す決定を下し、速やかに法的見解を示すよう同裁判所に求めている。

ノボア大統領が目指す憲法制定会議は、ラファエル・コレア政権下(2007年~2017年)で制定された現行憲法を改正することを目的としている。これは大統領にとって、2025年~2029年の任期に向けた選挙戦で掲げた最大の公約の一つであった。ノボアは2023年に大統領に就任後、2025年の選挙で再選を果たし、今回が初めての完全な任期となっている。

 

選挙日程と実施概要

選挙義務

今回の選挙は、国家選挙評議会の決定に基づき、選挙権を有する18歳以上のすべての市民に国民投票への参加が義務付けられている。また、未決勾留中で確定判決を受けていない受刑者も投票の対象である。

一方、以下の者については投票が任意とされている:

  • 16歳から18歳の未成年者
  • 65歳以上の高齢者
  • 障がいを有する者
  • 海外在住のエクアドル国民
  • 現役の軍隊(Fuerzas Armadas)および国家警察(Policía Nacional)所属者
  • 少なくとも5年間エクアドル国内に居住し、適切に選挙人名簿に登録された外国人住民

選挙に関するスケジュール

  • 登録申請期間:2025年9月23日~27日
  • 登録の審査・認定:9月29日まで
  • 選挙キャンペーン期間:11月1日~13日
  • 先行投票(未決勾留者):11月13日
  • 「自宅投票(Voto en Casa)」:11月14日
  • 一般投票日:11月16日(日)
  • 国内:午前7時~午後5時
  • 海外:午前9時~午後7時(各国の現地時間)
  • 結果公表期限:2026年1月5日まで

選挙資金と広告規制

  • 国が資金を提供するのは、公認メディア(新聞・ラジオ・テレビ・看板・デジタル)に限られている。
  • 国家選挙評議会(CNE)の許可を得ない選挙広告は禁止されており、違反した場合には制裁が科される。
  • 選挙費用の総上限は5,570,000米ドルである。
    • この費用は、各設問の「賛成」陣営と「反対」陣営に均等に配分され、各設問につき1,390,000米ドルが割り当てられる。

選挙当日の規則と制裁

  • 投票所では携帯電話などの使用は禁止である。ただし、開票作業における記録用としての使用は例外とされる。
  • 投票所の管理・運営を担う「投票受付委員会(Juntas Receptoras del Voto)」の義務は以下のとおりである。
    • 投票用紙および証明書の配布

    • 開票記録の作成

    • 結果の公表

これらの職務を怠った場合、以下の制裁が科される。

    • 研修不参加:統一基本給の10%の罰金

    • 職務放棄:最大で統一基本給の10倍の罰金

    • 重大な違反の場合は免職や最大6か月の選挙権停止もあり得る

公共秩序に関する制限

  • 投票日前後の禁酒期間は、2025年11月14日正午から17日正午までである。この期間中は、酒類の販売および消費が全面的に禁止される。

 

法的拘束力と今後の展望

この国民投票は、憲法および(民主主義法典)Código de la Democraciaに基づき、結果が法的に即時かつ拘束力を持つ。投票結果により、エクアドルの国家主権のあり方と政党制度の根幹に大きな影響を及ぼすことが予想される。

エクアドルの法制度においては、「国民投票(Referéndum)」と「国民投票型住民投票(Consulta Popular)」はいずれも直接民主制の手段として位置づけられているが、その性質は異なる。前者は憲法改正を国民の承認に付すものであり、大統領、国民議会、または市民の提案によって発議可能である。ただし、いずれの場合でも事前に憲法裁判所の合憲判断を得ることが義務付けられている。

一方、「国民投票型住民投票」は憲法改正を伴わない全国的・地域的・地方的な関心事項に関して実施されるものであり、共和国大統領、自治分権政府(Gobiernos Autónomos Descentralizados)、または市民のいずれかによって招集されることが可能である。憲法裁判所は現在、大統領が提案した「憲法制定会議を招集すべきか否か」を問う住民投票の実施が妥当かどうかを審査中である。

選挙キャンペーンに参加を希望する場合は、事前に国家選挙評議会への登録が必要である。CNEによれば、選挙キャンペーンへの参加を希望するすべての団体は、9月23日(火)から9月27日(土)までの期間に、全国24県の選挙支部(Delegaciones Provinciales Electorales)で登録手続きを行わなければならない。提出された申請は、その後すべての法的要件を満たしているかどうか審査され、認定が行われる。

また、選挙当局は選挙活動における支出上限を承認した。これは政治団体および社会団体がプロモーション活動に使用できる最大予算を定めたものである。「賛成」および「反対」の各立場に認められた上限額は、それぞれ2,787,744米ドルである。

#DanielNoboa #ConsultaPopular

 

参考資料:

1. Organizaciones de Ecuador ya pueden inscribirse para hacer campaña sobre el referéndum
2.
CNE inicia periodo de inscripción para campaña electoral del Referéndum 2025

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