エクアドル:電力不足を警告、コロンビアから協定に基づく電力購入を検討

(Photo:Galo Paguay / AFP / 2024年6月19日の様子)

エクアドルは電力の大部分を水力発電に依存しており、降水量の減少が電力供給に直結するという脆弱性を抱えている。気象庁によれば、今後数か月間は降雨量が平年を大きく下回る可能性があり、これまでに例を見ない規模の停電リスクが浮上している。すでにエクアドルは、河川流量の漸減および貯水池の水位低下という新たな気候状況に直面しており、これが再び国内の電力システムに深刻な圧力をかけている。

このような電力供給不足に対応するには、事前の対策が不可欠である。エクアドルは、コロンビアをはじめとする国外からの電力供給を有力な選択肢の一つとして検討している。なお、エクアドルがコロンビアからの電力支援に頼るのは今回が初めてではない。実際、昨年12月にも約1億ドル相当の電力をコロンビアから受け取り、国内の供給問題を一時的に解決した実績がある。このときの電力供給により、国内の複数の経済活動に影響を与えていた電力不足が緩和され、サービスの安定化が図られた。

再度電力不足に陥る可能性があること、さらには他国との協力を検討していることは、エネルギー・鉱山省の電気・再生可能エネルギー担当副大臣、フェルナンド・ルベン・プルラパキ・マサバンダ(Fernando Rubén Pullupaxi Masabanda)がダニエル・ノボア・アシン(Daniel Noboa Azín)大統領宛てに送った書簡「VPN-2025-02311」によって明らかになった。この文書では、国内各地において電力供給が持続的に低下した場合に生じうる深刻な影響について警告している。副大臣は、エクアドルに迫る乾季に関する分析調査の結果を踏まえ、「唯一の即時的解決策は、隣国コロンビアの民間発電企業からの電力取得である」と述べている。

この副大臣による書簡は、2025年7月7日にエクアドルのエネルギー相イネス・マンサノ(Inés Manzano)が「ダニエル・ノボア・アシン政権はコロンビアから電力を購入する必要はない」と強調した発言と大きく乖離している。彼女は、干ばつ期における国内の貯水池の「効率的な管理」および将来的な電力需要への備えをその根拠として挙げていた。

しかし、コロンビアのエネルギー相エドウィン・パルマ(Edwin Palma)は、7月24日(水)に発表された声明の中で、コロンビア共和国がすでにエクアドルへの電力輸出を再開しており、水力および太陽光発電による供給が進行中であることを明らかにした。パルマ大臣は「先週金曜日からエクアドル向けの電力販売を再開した。競争入札を通じた輸出スキームにより、明日には1.24ギガワット時/日(1.24 GWh/日)の輸出が予定されており、午後2時から3時の間には最大228メガワット(228 MW)に達する見込みだ」と述べている。

 

産業・家庭部門の両方に深刻な影響

書簡では、停電による社会的および経済的損失を最小限に抑えるためには、迅速かつ的確な対応が不可欠であると強調されている。特に、産業部門および家庭向けの電力供給を安定的に確保することが喫緊の課題とされており、外交ルートを通じた電力輸入に関する協議の開始が求められている。

現下の状況について、エクアドル政府の高官は次のように警鐘を鳴らしている。

我が国は、あらゆる瞬間に電力網の崩壊に直面する可能性がある。これにより、大規模産業への損害や、地域社会での停電が引き起こされる恐れがある

 

コロンビア鉱山・エネルギー省によれば、同国の電力部門は、これまでに類を見ない過酷な干ばつ期を乗り越えた。この期間中、全国の貯水池の総合水位は28%未満にまで低下していた。こうした厳しい状況を脱したことにより、前述の電力販売措置が再び活性化されるに至った。鉱山・エネルギー省は、「国家政府は国民への電力供給を確保するための措置として、水力発電資源を電力輸出の対象から除外し、国内需要に使用されない火力発電由来の電力のみを輸出可能とする方針を採った」と説明している。これらの措置は、2023年10月に発出された鉱山・エネルギー省決議第40619号およびその後の改正に基づいており、これによりエクアドルの干ばつや電力不足の期間においても、同国への支援が可能となったものである。国家政府によれば、電力輸出のカーブは太陽光発電の供給パターンに沿っており、「我々コロンビアの電力マトリックスの脱炭素化が、地域的なエネルギー統合にも貢献していることを示している」と説明している。

 

「売買」ではなく「供給協定」という枠組みを使う

副大臣フェルナンド・ルベン・プルラパキ・マサバンダは、コロンビアとエクアドルは共にアンデス共同体(Comunidad Andina de Naciones:CAN)に加盟しており、また隣接国であることから、電力の供給について一定期間にわたり、価格、周波数、安定性、供給量、安全性といった基準に基づいて体系的に確立できると述べている。この方法であれば、戦略的かつ重要な分野を危険にさらすことなく、将来的に電力不足に陥ることを防げるとしている。同副大臣はまた、「この利便性に基づくパラメータの下では、国家間の通常の電力売買とはみなされない」と強調している。さらにこの状況を踏まえ、副大臣は次のようにも述べている。「国および州のエネルギー部門がこれまで取り組んできた緩和策が、今後、誤解や過剰な予防措置によって妨げられたり、最悪の場合には大規模な修正対応に発展することがないよう、事前にかつ十分な情報提供を行う必要がある。そのためにも、率直に伝えることが重要だ」としている。この状況を踏まえ、副大臣は「国及び州エネルギー部門が取り組んできた緩和策が将来、誤解や予防措置によって妨げられたり、最悪の場合は大規模な修正対応に発展することがないよう、事前にかつ十分に伝える必要があるため、率直に伝える」と述べている。

コロンビアはこれまで、エクアドルの電力不足危機を支える役割を果たしてきた。しかし、エクアドルにとっては、外国から電力を購入することが大きな負担となっている。コロンビアの電気料金は決して安くなく、さらに、国内でも停電による需要の増加が続いているためだ。2024年のコロンビアにおける平均電気料金は、キロワット時あたり997コロンビア・ペソ(約0.25米ドル)だった。最も料金が高かったのは8月で、この頃にエクアドルの停電問題が顕在化し始めた。また、コロンビアでも電力不足のリスクが生じていた。8月には、電気料金がキロワット時あたり1,300ペソに達し、245.38ギガワット時の電力がエクアドルに輸出された。

コロンビアからエクアドルへの電力輸出の状況を振り返ると、干ばつの深刻化により貯水池の水位が40%未満にまで低下したことから、2024年9月30日に輸出は一時停止された。これを受けて、供給不足を避けるための措置が講じられた。その後、40494号決議の発効により、2024年11月18日にエクアドルへの電力販売が再開された。11月の平均電気料金は1,117ペソで、140.48ギガワット時の電力が輸出され、需要と価格の両面で高水準となった。これらのデータを基に試算すると、11月の最後の13日間でエクアドルは平均413メガワットの電力を消費し、その費用は3,600万米ドルを超えたとされている。

 

エクアドルでは緊急対策を発動中

この間にも、エクアドルではすでにエネルギー危機への対応として複数の緊急対策が実施されており、供給と需要のバランスを継続的に監視する体制が敷かれている。同国は近年、水力発電への依存度が高いため、気候変動に伴う発電能力の低下という構造的な課題に繰り返し直面してきた。そのため、エクアドル当局は、気候変動に起因するリスクを軽減すべく、戦略的な国際エネルギー連携の模索を強化している。

#電力不足

 

参考資料:

1. Ecuador advierte posible apagón y propone comprar energía a Colombia para evitar colapso eléctrico
2. Colombia recibirá casi US$100 millones por venta de energía a Ecuador en diciembre
3. Ecuador acudiría a exportaciones de electricidad colombiana por estiaje
4. Ministro colombiano confirma exportación de energía a Ecuador: “Desde el pasado viernes reactivamos la venta”
5. Ministro colombiano confirma exportación de energía a Ecuador: “Desde el pasado viernes reactivamos la venta”
6. Asunto: Solicitud de revisión y acción sobre el Informe Técnico No. VPN-2025-02311 

 

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