エクアドル:ロス・アギラスのリーダーフェデの逃亡と同人に対するダニエル・ノボアの宣言

通称フェデ(Fede)として知られるロランド・フェデリコ・ゴメス・キンデ(Rolando Federico Gómez Quinde)は、犯罪組織ロス・アギラス(Los Águilas)の幹部の一人である。麻薬取引の罪で起訴されている彼は2025年6月20日、港湾都市グアヤキルにあるリトラル刑務所から逃走した。彼は2025年1月30日から収監されていた刑務所の第12棟で行われた軍事作戦の後、軍服を着て刑務所を脱出した。フェデは、麻薬取引の罪により予防的拘禁中であり、2025年6月30日に予備審問が予定されていた。

逃走から数時間後、ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領は、これは単なる不注意ではなく、刑務所職員による共犯の疑いがあるとした。そして「これは単なる逃走ではない。これは裏切りである。そして、裏切りには制裁が加えられる」と述べ、フェデを軍事目標と宣言するとともに、幹部による逃亡に関与したすべての者を現行犯で逮捕するよう指示した。先日国家議会で可決された新たな国家連帯法(Ley de Solidaridad Nacional)の下で、ノボアは軍隊および国家警察を通じた直接武力が可能となっている。これは、当防犯のみならず協力者をに対する射殺を可能とするものである。

 

「フェデ」の逃走

フェデの逃走に関する捜査を開始した後、国家検察庁は6月22日に逃走の罪で関与が疑われる22人に対して起訴を行った。その内訳は、軍人19人、自由を奪われた成人および青少年に関する国家包括支援機構(Servicio Nacional de Atención Integral a Personas Adultas Privadas de la Libertad y a Adolescentes Infractores:SNAI)の職員2人、そして自由を奪われた人物1人である。この決定が知らされた同日の午後、軍人の家族や友人たちは、グアヤキルにあるリトラル刑務所の外で、「彼らは軍人であって、犯罪者ではない」と書かれたプラカードを掲げて抗議した。検察によれば、逃走は、軍人によって調整され、ある女性刑務官によって実行されたとされる不正な囚人移送の最中に起こったと見られている。その刑務官はすでに拘束されている。

6月20日午前7時の朝の囚人数確認の時点では、フェデは依然として、同国で最も暴力的とされるこの刑務所、通称ペニ(Peni)にいた。しかし、午後の確認ではすでに姿を消していた。刑務所長の告発によれば、逃走は2025年6月20日金曜日の午前9時30分に発生した。

 

軍人、刑務官、及び自由を奪われた人物の証言によれば、フェデは、起訴内容提示公聴会の調書において、他の4人の受刑者とともにペニの医療サービス部門であるポリクリニコ(policlínico)に向かう際、別の受刑者の名前を使用していたとされる。

検察に対して行った証言において、女性刑務官は、軍人からの口頭命令により、12号棟から屋外エリアのテントに5人の受刑者を移送するよう指示されたと述べた。その過程で、軍人によって1人の受刑者がグループから分離され、彼の移送は軍人が引き受けると告げられた。分離された受刑者が、通称フェデことロランド・フェデリコ・ゴメス・キンデであったと見られている。刑務所当局は、この女性刑務官がそのような移送、すなわち屋外やポリクリニコへの移送を行う権限を持っていなかったと述べた。刑務官は、公式の名簿に基づいて、テレマティック(遠隔)審理用に設けられた施設内の部屋への移送のみを行うことができる。しかし、今回のケースはそれに該当しない。

 

6月22日、内務大臣ジョン・レインベルク(John Reimberg)および国防大臣ジャン・カルロ・ロフレド(Gian Carlo Loffredo)は、政府がフェデの所在特定および拘束につながる信頼できる情報に対して、100万ドルの報奨金を提供することを発表した。ジャン・カルロ・ロフレドは、「この男は死と恐怖を撒き散らしてきた犯罪組織の構造を率いている。それはもう終わりだ。国家は彼を追っており、必ず見つけ出す」と述べた。ジョン・レインベルクもフェデを拘束あるいは「無力化」することに成功した警察官または軍人に対して、さらに100万ドルの報奨金を支払うと発表した。なお、同じリトラル刑務所からは、2024年1月7日に、犯罪組織ロス・チョネロス(Los Choneros)のリーダーで、エクアドル国内でも最も危険な組織の一つとされるホセ・アドルフォ・マシアス・ビジャマル(José Adolfo Macías Villamar)、通称フィト(Fito)が逃走しており、現在も逃亡中である。

 

市民安全保障の専門家であり大学教授のラウタロ・オヘダ(Lautaro Ojeda)は、メディアGKに対してフェデの逃走は非常に不可解な問題であり、これは「エクアドル国内における犯罪組織の持つ権力浸透の実態を如実に示している」と述べた。オヘダはまた、国防大臣ジャンカルロ・ロフレドおよび内務大臣ジョン・レインベルクに対して、「この現象に関する基本的な知識や実績が見られない」と述べている。彼はまた、彼らが「中長期的な視点から、起きていることに対して適切な措置、行動、政策を導くのにふさわしい人物ではない」と考えている。

 

ロス・アギラスのリーダー

フェデはロス・アギラスのリーダーの一人である。国内の報道機関によれば、フェデは自身の出身地であるグアヤス県のエル・トリウンフォ(El Triunfo)において、マイクロトラフィック(小規模麻薬流通)を指揮し始めた。そしてそこから、ヤグアチ(Yaguachi)、ナランハル(Naranjal)、ラ・トロンカル(La Troncal)などの郡へと、その活動を拡大し、グアヤキルへ通じるルートを利用してきた。

フェデはロス・アギラスの主要人物として頭角を現したが、常に同違法組織のナンバー2であり、ロス・アギラスの創設者でもあるジュニオル・ロルダン(Junior Roldán)、通称「JR」の影響下にあった。ロス・アギラスは、ロス・チョネロスの一派であり、犯罪組織内において極めて重要な存在であるJRの指導のもとで活動していた。

 

2023年5月にコロンビアでJRが死亡した後、ゴメス・キンデはこの犯罪組織の主要なリーダーの一人として浮上した。ロス・アギラスは、ロス・チョネロスとの同盟の中で、物流と作戦実行の役割を担っている。この犯罪組織ロス・アギラスは、1990年代後半にチョネ(Chone)で登場したロス・チョネロス(Los Choneros)のように、数十年の歴史を持つわけではないが、現在では2021年に発生した複数の刑務所内虐殺事件に関与している組織の一つであり、リトラル刑務所で最も影響力のある組織の一つとなっている。彼らは同刑務所の第3棟、第6棟、第7棟に拠点を構えている。

ロス・アギラスは麻薬取引および殺し屋業(シカリアト)を主な活動としている。多くの殺人は、推定ではあるが、彼の刑務所内の房から指示されたとされており、これは2015年当時の内務大臣ホセ・セラノ(José Serrano)が告発している。

ロランド・フェデリコ・ゴメス・キンデは、ロス・アギラスで重要な役割を果たす以前から、すでに2009年以降、少なくとも11回の逮捕歴を持っており、警察は彼に対して、不法結社、殺人、麻薬取引、強盗などの罪を関連づけている。また、フェデは、2024年5月10日に麻薬密売人セルソ・モレイラ(Celso Moreira)、通称パトゥチョ・セルソ(Patucho Celso)の誕生日パーティーで逮捕された人物の一人でもある。セルソは「ロス・チョネロス」の構成員である。しかし、フェデは他の逮捕者たちと共に、その2か月後に釈放された。その理由として、担当判事が、検察が逃走の危険性の有無を正当に立証できなかったと判断したためとされている。フェデはその後、2025年1月30日、国家警察と検察の連携による作戦「グラン・フェニックス1(Gran Fénix 1)」の際に再び逮捕された。彼は、グアヤス県ダウレ(Daule)のラ・アウロラ(La Aurora)にある住宅地で、コカインの出荷準備をしていたところを拘束された。この作戦では、コカイン234キロ以上、ヘロイン18キロ、重火器、警察および軍の制服に酷似した衣類が押収された。その結果、フェデは他のロス・アギラスの構成員3人と共に、麻薬および武器の取引の罪で起訴された。

 

公的情報

フェデに関して、エクアドルの「会社・証券・保険監督庁(Superintendencia de Compañías, Valores y Seguros)」には一切の情報が登録されていない。また、「高等教育・科学技術・イノベーション事務局(Senescyt)」の公式ウェブサイトにも、彼の情報は登録されていない。司法評議会(Consejo de la Judicatura)の記録によれば、2009年以降、彼に対する訴訟は16件あり、彼自身が起こした訴訟は10件である。

彼に対して提起された訴訟の内訳は以下のとおりである:

  • 強盗:4件
  • 不法な武器の輸送:1件
  • 殺人:4件
  • 道路交通違反:1件
  • 不法な武器所持:2件
  • 不法結社(組織犯罪):2件
  • 武器の密輸:1件
  • 規制対象物質の不法取引(=麻薬取引):1件

 

彼自身が提起した訴訟は以下のとおりである:

  • 書類紛失に関する届け出:2件
  • 刑期満了による釈放の請求:1件
  • 準開放刑制度(semilibertad)の適用請求:1件
  • ハベアス・コパス(人身保護請求):4件
  • 裁判官の忌避申し立て:1件
  • 刑期の計算の申請:1件
 

エクアドル国税庁(Servicio de Rentas Internas, SRI)の記録によると、過去5年間に彼が支払った所得税および外貨送金税は以下のとおりである:

  • 2020年:所得税 0ドル、外貨送金税 0ドル
  • 2021年:所得税 0ドル、外貨送金税 0ドル
  • 2022年:所得税 2,120.88ドル、外貨送金税 0ドル
  • 2023年:所得税 0ドル、外貨送金税 0ドル
  • 2024年:所得税 603.50ドル、外貨送金税 0ドル
  • 2025年:現行の課税年度であり、外貨送金税は現時点で0ドル

 

 

参考資料:

 
 
 
 

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