ペルー:ヤネシャの指導者ハビエル・ハイメ・アベル・クルスの失踪

(Photo:CECONSEC)

中央アマゾン先住民族コミュニティ連合(Organización pionera, legitima y representativa de las comunidades nativas, alma mater de la Gran Nación Asháninka de la Selva Central:CECONSEC)は、ヤネシャの指導者ハビエル・ハイメ・アベル・クルス(Javier Jaime Abel Cruz)の行方不明を報告した。彼はフニン州チャンチャマヨ県ペレネ郡に所在する先住民族コミュニティ「アルト・ユリナキ(Alto Yurinaki)」の首長である。先住民族の指導者たちは、彼が誘拐された可能性があると懸念しており、彼の生命が切迫した危機に晒されているとして、警察当局に対して徹底した捜査を行うよう強く求めている。

 

事件が発生したのは、5月30日金曜日の午後である。ハビエル・アベルは、CECONSECが召集した会合に出席した後、アルト・ユリナキのコミュニティへ戻る途中で行方不明となった。この会合には、同郡内の他の先住民族コミュニティの代表者たちも出席していた。

CECONSEC代表のテディ・シナカイ(Teddy Sinacay)が提供した情報によれば、ハビエル・アベルは会合を離れた後、自身が危険な状況にあること、さらに携帯電話を奪われる可能性があることを音声およびテキストメッセージで警告していた。その数時間後、彼の携帯番号から、犯人とみられる者たちによる脅迫的なメッセージが送られてきたという。現時点では、この誘拐に至った動機は明らかになっていない。

シナカイは「すでに捜索に向けた調整を終えた。現在、正式な被害届を提出し、証言の聴取が行われている段階だ。しかし、警察および関係当局が即座に行動を起こすには支援が必要である」と述べ、地元の自警団(ロンダロス)に対しても、捜索活動への協力を呼びかけていることを明らかにした。

 

アマゾン先住民族連盟(Asociación Interétnica de Desarrollo de la Selva Peruana:AIDESEP)は、内務省、国家警察、検察庁、並びに関係当局に対し、ハビエル・ハイメ・アベル・クルスの生命を守るための即時の措置を講じ、犯人を特定して法の下に裁くよう、緊急の呼びかけを行った。さらに、彼らは人権擁護者の保護を目的とする省庁横断的メカニズムの即時発動を強く求めている。

 

 

アルト・ユリナキ

国有地財産登記機構(COFOPRI)、地方農業局(DRA)、ペルー国家統計情報庁(INEI)による第2回コミュニティ国勢調査2007年によるとアルト・ユリナキというコミュニティは以下のような特徴を持つ。

  • 集落の種類:先住民族コミュニティ(Comunidad nativa)

  • 先住民族名:ヤネシャ(Yanesha)

  • 承認決議:決議第453-ORAMS-VI号

    • 本集落はペレネ郡に所在している。ただし、地理情報データによれば、本集落はパスコ県オクサパンパ州ビジャ・リカ郡との境界付近に位置している。
  • 承認日:1975年2月6日(木曜日)

  • 集落の権利譲渡(地権証明):決定第3332-75-DGRA-AR号

  • 権利譲渡日:1975年10月1日(水曜日)

  • 集落の総面積:729.760080502ヘクタール

  • 集落の総人口:1,779人

    • 性別人口構成:男性:991人(55.71%)、女性:788人(44.29%)

    • 年齢別人口構成:3歳以上人口:1,661人

      • 0〜4歳:213人(11.97%)、5〜14歳:436人(24.51%)、15〜29歳:458人(25.74%)、30〜64歳:574人(32.27%)、65歳以上:98人(5.51%)

    • 先住民族言語を母語とする人口(推定):558人(33.59%)
  • 言語系統(Familia Linguística):アラワク語族(Arawak)
  • 提供されている教育レベル:初等前教育および初等教育

  • 教育機関合計数:3校(初等前教育施設数:1校、初等教育施設数:2校)

 

追記(6月2日):

2025年5月30日、ハビエル・アベル・クルスの失踪を受けCECONSEC、その基礎コミュニティ、アマゾン先住民保安隊(Seguridad Indígena Amazónica:SIA)は即座に捜索を開始している。現在、100人を超えるSIA所属の捜索隊が現地で活動しており、その過程でクルス氏のバイクおよびヘルメットが発見されている。また、同連合はペルー国家警察(Policía Nacional del Perú:PNP)に対して失踪の届出を行ったが、SIA捜索班の指揮を執っているプチャリニ・コミュニティからの報告では、PNPは依然として捜索活動に参加しておらず、関係者からの聞き取り調査にとどまっている。

2025年6月1日15時00分現在、CECONSECとその傘下78のコミュニティは、最大警戒態勢および動員体制に入っている。クルスは5月30日(金)午後6時頃、CECONSECの会議に参加した後、帰路についた際に「危険な状況にある」と警告を発していた。その後、連絡が途絶え、家族には「7日以内に3万ソルを支払わなければ“部品ごとにして売り払う”」という脅迫メッセージが送られた。CECONSECによれば、クルスは、コミュニティの土地権確定(登記)に反対する地域の開拓者たちと長らく対立していた。また、チャンチャマヨ県では、先住民コミュニティのリーダーに対する恐喝事件が発生しており、今回の失踪にも犯罪組織が関与している可能性があるという。CECONSECは、同様の恐喝が他の先住民指導者にも及び始めている事例を新たに把握している。

PNPおよび関係当局の対応の遅れに対し、5月31日夜には、CECONSECの基礎コミュニティがプチャリニ近郊の道路を封鎖し、内務省(Ministerio del Interior:MININTER)、司法・人権省(Ministerio de Justicia y Derechos Humanos:MINJUSDH)、PNPに対して、早急な対応と「人権擁護者保護のための省庁間メカニズム」の即時発動を求めた。

『ラ・レプブリカ(La República)』紙の報道によれば、ピチャナキ合同刑事検察庁はすでに事件の捜査を開始し、犯罪捜査部門(Departamento de Investigación Criminal:DIRINCRI)に対し、情報収集およびリーダーの捜索に向けた活動を命じたという。また、5月31日には、MINJUSDHが地方当局と連携し、PNPに対して捜査の継続とクルスの家族に対する保護措置の実施を求める公文書を送付した。このような緊急事態において、CECONSECは当局の対応の遅れを厳しく批判し、ハビエル・アベル・クルスの捜索に対するPNPの即時かつ効果的な介入を強く要求している。

#AIDESEP #失踪

 

参考資料:

1. Temen por la vida de líder indígena que fue secuestrado por desconocidos en Junín
2. Base de datos de Pueblos Indígenas u Originarios – Alto Yurinaki
3. Líder Yanesha desaparecido en Junín, CECONSEC moviliza 100 comuneros en la búsqueda y exige apoyo de la Policía Nacional.

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