エクアドル:リマで獲得した5度目のW杯出場権と黄金世代の到来

(Photo:@LaTri / X)

ペルーとの引き分けを経てエクアドルはアメリカ、メキシコ、カナダで開催される2026年FIFAワールドカップへの出場権を手にした。これによりエクアドル代表は通算5度目のW杯出場(2002年、2006年、2014年、2022年に続く)、そして2大会連続出場を果たしたことになる。2025年6月10日での結果でエクアドルは勝ち点25に到達し、2位の座を堅持した。プレーオフ圏内の7位ベネズエラとは7ポイント差が開いたことにより、残り試合数は2の時点で、追い抜かれることはなくなった。エクアドルはアルゼンチン、ブラジルに続き、2026年W杯出場を確定させた3か国目となった。残る6枠プレーオフ枠1つは、ウルグアイ、コロンビア、ベネズエラ、パラグアイ、ボリビアの間で争われることになる。

 

2026年W杯出場を決めた選手たちはリマのエスタディオ・ナシオナル(Estadio Nacional)のロッカールームで、喜びを爆発させた。特に熱狂的に喜びを表現していたのは、守備の要であるピエロ・インカピエ(Piero Hincapié)で、自身のSNSに動画を投稿している。そこには、エクアドル代表の選手たちが、国内アーティスト・ホンブリエル(Jombriel)の楽曲「Parta y Choke」に合わせて踊る様子が収められていた。同選手は、祝福の最中に「WC 26」と書かれたサングラスを着用しており、来年アメリカ、メキシコ、カナダで開催されるワールドカップを意識した演出を見せた。ロッカールームでの祝賀ムードは、リマのピッチ上で見せた感動の光景の続きであった。選手たちはこの歴史的な出場権を、ペルーの首都まで応援に駆けつけたエクアドルのサポーターたちに捧げた。

 

エクアドルのサッカー・ワールドカップ出場はやそれは驚きでもなくなった。同国はすでに格のあるチームとなっており、2026年ワールドカップ(アメリカ・メキシコ・カナダ共催)の出場を決めたことは、近年におけるエクアドルのサッカーの成長を反映するものである。

2026年ワールドカップ出場を決めた13番目の代表チームはセバスティアン・ベカセセ(Sebastián Beccacece)監督率いている。南米においては、アルゼンチンとブラジルに次ぐ3番手の確定である。

エクアドル代表は、全チーム総当たり形式の予選において、史上最高の成績を収めた。実際、残り2試合を残してW杯出場を決めた。これはエクアドル史において初めてのことである。これまでのワールドカップでは、最終節あるいは1節前にようやく出場を確定させていた。これまでに行われた16節のうち、エクアドルは13節において常に出場圏内を維持できていた。

第1節終了時点では、バイロン・カスティジョ(Byron Castillo)に関するFIFAの制裁により勝ち点3が剥奪されていたため、エクアドルは10位に沈んでいた。第2節で9位に上昇し、第3節で7位(大陸間プレーオフ圏)へと浮上した。それ以降、エクアドル代表は常にW杯出場圏内にとどまり続けた。第16節終了時点におけるエクアドルの成績は、勝率58.33%(南米2位)、最少失点(わずか5失点)、そして10か国中最少敗戦数(2敗)のチームとなった。

 

世界トップクラスの守備陣

エクアドル代表は南米のみならず世界屈指のディフェンス陣を擁している。その象徴がウィリアン・パチョ(Willian Pacho)である。彼は今季パリ・サンジェルマン(PSG)でブレイクし、チャンピオンズリーグを含む4冠を達成し、リーグ・アンの驚異的な新星として選出された。彼の相棒はピエロ・インカピエである。ドイツのバイヤー・レヴァークーゼンでの活躍が続いており、アトレティコ・マドリードやリヴァプールなどの有力クラブも彼に関心を寄せている。

この2人に加え、ジョエル・オルドニェス(Joel Ordóñez)やフェリックス・トーレス(Félix Torres)といった堅実なディフェンダーも名を連ねている。オルドニェスはベルギーで活躍中で、近くビッグクラブへ移籍することが予想されている。トーレスは経験と得点力を兼ね備え、チームを何度も救ってきた。

そして、仮に相手のFWがこの鉄壁を突破できたとしても、最後の砦であるエルナン・ガリンデス(Hernán Galíndez)が立ちはだかる。彼は世界で2番目に美味しいとされ、また、エクアドルの国民的魚介スープ「エンセボジャド(encebollado)」よりもエクアドル的と称され、もはや代表とクラブの両方で不可欠な存在となっている。彼が負傷した際には、ゴンサロ・バジェ(Gonzalo Valle)が見事な代役を務めた。

 

贅沢な中盤

中盤を牽引するのはモイセス・カイセド(Moisés Caicedo)。彼はピッチの至る所に現れる万能型ミッドフィルダーであり、世界最高峰の選手の一人である。今季、チェルシーのチームメイトから「シーズン最優秀選手」に選ばれた。カイセドの隣には、多才なアラン・フランコ(Alan Franco)がいる。彼は中盤と右サイドの両方でプレーし、攻守両面で活躍する。さらに、創造性を担うのがペドロ・ビテ(Pedro Vite)である。彼は先発として定着し、攻撃の起点として不可欠な存在となった。

サイドでは、ゴンサロ・プラタ(Gonzalo Plata)とアラン・ミンダ(Alan Minda)がドリブルとゴールで目立った活躍を見せている。

 

FW不在でも工夫を凝らす攻撃陣

エクアドルの最大の弱点はストライカーの不在である。毎試合得点できるような点取り屋が不在である。一方エネル・バレンシア(Enner Valencia)は35歳にして未だに攻撃の主軸である。「スーパーマン」がピッチにいないと、その不在感は顕著に現れてしまう。

彼の後ろには、レオナルド・カンパナ(Leonardo Campana)やケビン・ロドリゲス(Kevin Rodríguez)が控えているが、現時点では物足りない状態だ。セバスティアン・ベカセセ(Sebastián Beccacece)監督にとっては、ミゲル・パラレス(Miguel Parrales)、マイケル・オジョス(Michael Hoyos)、ダニエル・バレンシア(Daniel Valencia)ら国内リーグの得点王たちを招集することはまるで“タブー”であるかのようである。

このようなFW不足にもかかわらず、エクアドルは中盤やDFからの得点で切り抜けてきた。ゴンサロ・プラタ、アラン・ミンダ、引退したアンヘル・メナ(Ángel Mena)、そしてフェリックス・トーレスらが重要な得点を決めてきた。しかし、この点はW杯に向けての要改善課題である。優秀なFWがいなければ、得点は簡単ではないからだ。

 

アウェーでの強さが光る

エクアドルは今予選で、アウェーでも圧倒的な強さを見せた。敵地での試合でわずか2敗しかしていない。しかもその相手は、ブエノスアイレスでのアルゼンチン戦、クリチバでのブラジル戦と、最強格のみとなっている。さらにどちらも1点差の惜敗であった。その他のアウェー戦では、10ポイントを獲得している。特にボリビア戦での劇的な勝利や、コロンビア戦での歴史的勝利は大きな成果であった。これまでの予選では、エクアドルの強みはホームに限られていた。しかし今では、ホームでもアウェーでも強さを発揮するチームへと進化している。

 

エクアドルとワールドカップ

エクアドル初のW杯出場:2002年日韓大会

2001年11月7日、エクアドルはサッカー史に残る記念すべき瞬間を迎えた。予選第17節で、エスタディオ・オリンピコ・アタウアルパ(Estadio Olímpico Atahualpa)にてウルグアイと1-1で引き分け、初のワールドカップ出場を決めた。試合は一時セレステ(ウルグアイ代表)が先制したものの、アレックス・アギナガ(Álex Aguinaga)のクロスからハイメ・イバン・カビエデス(Jaime Iván Kaviedes)が南ゴールにヘディングで同点弾を決めた。この試合により、エクアドルは勝ち点30に到達し、最終的には勝ち点31で予選を終えた。監督は**エルナン・ダリオ・ゴメス(Hernán Darío Gómez)**であった。

2度目の出場:ドイツW杯2006年、またしてもウルグアイと対戦

2005年10月8日、エクアドルは再びW杯出場を決定づけた。舞台は再びアタワルパ、相手も同じくウルグアイであった。この試合は予選の最終節の1つ前(第17節)で行われ、0-0の引き分けとなった。これによりエクアドルはドイツW杯行きを決めた。この時の監督はルイス・フェルナンド・スアレス(Luis Fernando Suárez)だった。本大会では、エクアドル代表は史上最高成績となるベスト16進出を果たした。

3度目の出場:ブラジルW杯2014年

2013年10月15日、指揮官レイナルド・ルエダ(Reinaldo Rueda)のもと、エクアドル代表は3度目のW杯出場を達成した。予選最終節、チリ代表とのアウェー戦で1-2と敗れたものの、他試合の結果により本大会への出場が決定した。この試合ではカイセドが1点を返し、チームの希望をつなげた。

4度目の出場:カタールW杯2022年、W杯出場はもはや伝統となった

2026年ワールドカップ出場決定の前、直近の出場はカタール2022大会であった。そこでは、トリ(エクアドル代表の愛称)は再び予選の最終から2試合目で本大会出場を決めた。敗戦にもかかわらずである。グスタボ・アルファロ(Gustavo Alfaro)監督が率いた代表チームは、パラグアイ代表に1対3で敗れたが、ジョルディ・カイセドが一矢を報いた。

5度目の出場:アメリカ、メキシコ、カナダW杯2026年

Primicias

 

今回のW杯予選での最も重要で驚くべきこととしては、エクアドルのスターティングメンバーの平均年齢が24.1歳と、南米予選第16節に出場した10チームの中で最も若いチームであったという点である。

Primicias

#サッカー

 

参考資料:

1. ¡Generación dorada! Ecuador clasifica a su quinto Mundial, ¿es hora de soñar en grande?
2. ¡Una Tri de primer nivel! Estos son los méritos que llevaron a Ecuador a clasificarse al Mundial de 2026
3. ¡Al ritmo de Jombriel! Así fue el festejo de la selección de Ecuador en camerinos tras obtener la clasificación al Mundial 2026





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