4月13日、エクアドルで次期(2025年から2029年まで)大統領職を務めるものの決定に向けた決選投票が行われる。選挙権を持つのは、1,370万人のエクアドル国民である。
この決選投票に向けた選挙活動は、3月23日に開始され、4月10日まで続く予定である。次期大統領は、2025年5月24日に就任し、国会議員はその10日前、5月14日に就任する。
決選投票では、保守派で現在の大統領であるダニエル・ノボア(Daniel Noboa)、バナナ業の裕福な実業家の息子でエクアドル右派の代表が立候補している。対するは、コレア主義の市民革命党の候補である。2017年に失われた権力を取り戻すのはルイサ・ゴンサレス(Luisa González)である。
両者は、2023年10月の前回の大統領選挙で既に決選投票で対決した。その際、ノボアはアウトサイダーとして「新しい政治」として立候補し、3.6ポイントの差で勝利した。2023年11月22日に大統領に就任したが、その後の1年以上にわたる統治では、経済や社会の指標は非常に悪化し、安全保障の問題を解決できず、エクアドル市民の大多数に長期間の停電という深刻な問題を引き起こしている。
2025年2月9日の第一回投票では、ノボアが勝利すると予想していた公式の世論調査に反して、両候補者は技術的に同点となった。ノボアは44.17%、ルイサ・ゴンサレスは44%であった。
立法府については、151人の国会議員が選出された。その内訳は、15人が全国区、130人が地方区、6人が国外選出である。国会は、市民革命党が67議席を持ち、ノボア党(ADN)が66議席、プチャクティク(Leonidas Iza)運動が9議席、PSCが4議席、PSP、MC25、UPがそれぞれ1議席ずつ、そして2つの地方議席で構成される。
ラテンアメリカ戦略的ジオポリティクスセンター(CELAG DATA)のエグゼクティブディレクターを務めるスペインの経済学者であるアルフレド・セラノ・マンシジャ(Alfredo Serrano Mancilla)は今回選挙結果予想を以下の点から根拠があると主張するている。
ノボア候補の限界
ノボアはもはや「アウトサイダー」や「新しい存在」としての立場を維持できない。また、すべてがうまくいかない原因を8年前に政権を放棄したコレイシモ(コレア主義)に責任転嫁することはできない。候補者であり現職大統領は何も改善せず、ほとんどすべてを悪化させてきた。彼に対する投票意思は第一回投票で限界に達している。保守的な分野ではライバルがいなかったこともあり、すべての票を集めることはできていた。例えばヤン・トピック(Jan Topić)といった人物は、その枠から外されている。彼に対する支持(投票)は少しは伸長するだろうが、十分な数までの伸びは期待できないとされている。
ルイサ候補の強み
第一回投票で大きな進展を果たし、コレイシモの支持を全て集めた。これは党に対する支持者とともに、党派に属さない人々で、ラファエル・コレア元大統領政権下の時代を肯定的に記憶しているものの、その政治的アイデンティティには属していない人々からの支持である。第二回投票では、ルイサは次の三つの重要なグループから票を集めることで、8〜10ポイント上昇するだろう:
- 右派や新自由主義を拒否する有権者の支持
この基準で第二回投票までに決めるという人々が一定数いる。これと同じことは2021年と2023年にも起こり、今回も再び起こるだろう。 - 勝利の可能性が高い候補に投票する「バンドワゴン効果(後追い効果)」
- レオニダス・イサ(Leonidas Iza)支持者によるルイサ支持
レオニダス・イサに投票した有権者は500,000人以上いる。今回はコレイシモと先住民運動の間で連携が成立した。これはここ数年で起こらなかった政治的・選挙的な出来事と言える。コレイシモと先住民運動が共闘することで、新たな多数派が形成され、右派を阻止するために団結したことが示された。彼らの間には違いがあっても、重要なことを優先して責任ある政治的成熟をもって行動している。イサはコレイシモではなく、コレイシモはエクアドル先住民連盟(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)でもない。彼らは異なる勢力ではあるものの、この歴史的な瞬間に間違いを犯す理由はない。
これらの三つの潜在的な票のブロックにより、ルイサは50%以上の得票となるだろう。
第1回目投票で3位だったイサの3月12日の発言は特に重要であった。彼は、CONAIE内で広範な議論を経た後、ルイサ・ゴンサレスに対する支持を表明した。イサは、ルイサに対して一連の重要な課題を提起した。最も重要な点として、憲法制定議会を開かないことがあげられる。これは先住民の権利が後退する可能性があるためであり、大規模な露天採掘鉱業への反対、サチャ地区とバイリンガル教育の保護などが挙げられる。
一方、党「社会主義愛国党(PSP)」の候補であったアンドレア・ゴンサレス(Andrea González)は、第一回投票で2.69%の票を得て4位となり、ダニエル・ノボアに支持を表明した。
3月23日(日)には、エクアドル選挙委員会(CNE)が主催する大統領候補者による公式な討論会が開催された。この討論会は、候補者にとって義務であり、CNEによれば、第二回選挙投票に向けた討論会の視聴者数は1,070万人以上に達し、投票権を持つ市民のほぼ80%に相当する。討論会でノボアは、これまでの統治をまるで行っていなかったかのように振る舞い、すべての責任をコレア主義とルイサ・ゴンサレスに転嫁した。彼は提案を行わず、最近の出来事に対する責任も取らなかった。対して、ルイサ・ゴンサレスは、管理能力を示し、ノボアに対して過去の履行不備や、国のオリガルキーとの関係、麻薬密売とのつながり、そして彼の政権下での数多くの汚職事件について問いただした。さらに、彼女は継続的に提案を行い、数字の管理にも自信を見せ、攻撃を回避することなく応じていた。
これらのこともあり多くの世論調査では、ルイサ・ゴンサレスが勝者として予測されている。
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