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本記事はアリナ・マンリケ(Alina Manrique)によるコラムの翻訳である。1984年、ポルトビエホ(Portoviejo)生まれの彼女は新聞およびテレビにおいて経験を積んだジャーナリストである。これまでに『エル・ウニベルソ(El Universo)』、『エクスプレソ(Expreso)』、『エル・テレグラフォ(El Telégrafo)』、『ビスタソ(Vistazo)』などのメディアでも活躍をしている。エクアビサ(Ecuavisa)ではデジタルコンテンツの編集長を、TC テレビジョン(TC Televisión)では編集部長を務めた。現在は国際メディアに携わるほか、大学教授としても活動している。コネクタス・ハブ(Hub Connectas)およびIPIメディアのメンバーでもある。2024年、エクアドル全国ジャーナリスト連盟(UNP)よりエウヘニオ・エスぺホ賞(Premio Eugenio Espejo)を受賞した。
武力紛争の初年度において、エクアドルでは未成年者の失踪が88%増加した。組織犯罪は、子どもたちをリクルート(強制的な徴用)や性的搾取によって飲み込んでいる。過去1年間で、少なくとも9人の青少年の失踪に軍関係者(軍隊)が関与していると指摘されている。
エクアドルで子どもが行方不明になることは、もはやニュースにはならない。
麻薬組織に対する宣戦布告と国の軍事化の後、行方不明となる子どもたちの数は急増した。2023年には、国家が記録した行方不明の未成年者は171人だったが、1年後にはその数が322人にまで増加し、事実上2倍になった。
2025年には、3月18日までの間に、毎日平均で3人の未成年者が行方不明になっている。これらの数字は、数千件に及ぶ通報数を示すものではなく、20日が経過しても家族の元に戻っていない子どもたちの数である。
子どもや若者の失踪は、過去4年間で深刻化している。CONNECTASの本調査では、内務省から提供された公式データを精査した結果、行方不明となった未成年者の数が大幅に増加していることが判明した。2017年から現在に至るまで、868人の子どもや若者の行方がわかっていない。
2017-2024に失踪した18歳以下の子どもたち(上から発見者数、死亡者数、失踪者数):
本調査で取材された専門家、研究者、そして家族の証言は、行方不明の原因として、ギャングによるリクルートや性的搾取といった複数の要因を挙げている。これらはいずれも、国内における犯罪の増加と、非常事態宣言下における軍関係者の権力乱用に関連している。
多くの子どもたちが、組織犯罪に捕らえられた可能性があるとされており、それらの犯罪組織は彼らを使い捨ての駒や性的商品として利用していると言われている。具体的な証拠も存在する。内務省のデータは、これらの失踪の一因が組織的な犯罪グループ、ギャング、マフィア、カルテルであることを裏付けている。
その明確な例の一つが、昨年12月にマナビで発生した。現職の警察官が人身売買の容疑で逮捕された。このとき、検察庁は彼を、未成年者を脅迫、恐喝、欺いて勧誘し、時には本人の意思に反して徴用し、その後、組織の一員として訓練させる犯罪組織の一員であると告発した。
一方で、他の子どもや青少年たちは、公的な治安部隊の手によって姿を消している。これは、グアヤキルのラス・マルビナス(Las Malvinas)で起きた、4人の少年たちの事件だけにはとどまらない。子どもたちは軍人により公道で誘拐され、16日後、遺体となって発見された。遺体は切断され、焼かれていた。スティーブン(Steven)、ネヘミアス(Nehemías)、イスマエル(Ismael)、ホスエ(Josué)は、いずれも11歳から15歳の子どもたちだった。この事件に関して、エクアドル空軍の隊員16人が予防拘禁されている。
この1年間で、他にも5人の青少年の親たちが、同様の状況下で子どもを失ったと報告している。制服を着た者たちが、時に自宅に押し入り、暴力をふるって彼らを連れ去った。司法命令もなく、未成年に対して定められた特別な手続きも守られていなかった。その後、どこの施設にも拘束記録は残されておらず、彼らはただ姿を消したままである。これらの事例は、「人権擁護常設委員会(Comité Permanente por la Defensa de los Derechos Humanos)」によって記録され、告発されている。
あまり知られていない要因の一つとして、最も深刻な影響を受けているのは女性であるという事実がある。統計によれば、現在も行方不明のままである未成年者のうち71%が女性である。たとえばアドリアナ(Adriana)の例がある。彼女は13歳で、今年3月2日にサント・ドミンゴ・デ・ロス・ツァチラスのエル・エスフエルソ(El Esfuerzo)のマレコンで最後に目撃された。彼女の家族は当初、川で溺れたのではないかと考え、消防隊員やボランティアの協力を得て、ババ川(río Baba)で数日間捜索を行ったが、成果はなかった。
今、家族はアドリアナが誘拐されたと考えている。「私たちが捜索を始めた頃、マレコンに2台の車が入ってきて、その後すぐに立ち去ったと目撃者から聞いている。警察には既に通報し、娘の携帯電話も渡しました。でも、捜査官はその後、連絡に応じなくなった。警察は現場に来てカメラを確認しただけで、それっきりだった」と、彼女の叔母は嘆く。アドリアナの姉は、家族が今もなお捜索を続けていると語る。さらに、容疑者を特定した可能性すらあるという。「TikTokを通じて、ある人物がアドリアナを連れているという情報が届いている。でも、その証拠を警察に送っても、彼らは何もしてくれない」。
エクアドルの犯罪学および人権の専門家であるホルヘ・パラディネス(Jorge Paladines)によれば、この悲劇には複数の加害者と動機が存在するが、その根本的な原因は国家の放棄にあると語る。「これは単に組織犯罪の進出として見るべきではなく、国家の撤退として理解すべきだ。国家は作戦や強制捜査のときにはやってくるが、その後すぐに撤退する。つまり、国家は教育や医療を提供するために存在しているのではなく、唯一提供している公共サービスは『刑務所』だけである」と述べる。
彼の説明によると、国家が放棄した地域では、犯罪組織がその空白を埋め、領域を掌握し、地域社会に必要なサービスを提供し始める。その中には「労働」も含まれており、そこでリクルートが始まる。リクルートは多くの場合「自発的」に行われる。なぜなら、それが若者たちにとって唯一の機会であることが多いからである。しかし同時に、脅迫や強制によって行われるケースもあり、その結果、彼らは家に戻らなくなり、保護者が行方不明として通報することになる。パラディネスはさらに、リクルートにはもう一つの側面があり、しかもそれはますます早い年齢から始まっていると指摘する。「それは『強制失踪』に繋がる可能性がある。つまり、子どもや青少年が国家によって連行され、拘束された後、姿を消すというケースである」と述べている。
リクルートの被害者たち
去る3月9日、15歳の少女エリアナ(Eliana)は、アンバト教員総合病院(Hospital General Docente Ambato)における武装攻撃に参加した。彼女は自動小銃を手にし、ロス・ロボス(Los Lobos)という犯罪組織の他の6人とともに病院に侵入し、同組織のメンバーを連れ出そうとした。エリアナは過去に薬物所持で逮捕歴があり、警察との銃撃戦で重傷を負い、その数時間後、アンバト川(río Ambato)の河岸で遺体となって発見されている。
エリアナは行方不明として報告されていなかった。しかし、リクルートが常に自発的であるとは限らないと、エクアドル国家警察で暴力犯罪、誘拐、失踪に特化した部門のDinased()で失踪者担当全国責任者として務めるミゲル・アンヘル・エガス(Miguel Ángel Egas)は警告する。「武装組織やその一部が、未成年者を連れ去り、自らの構造の中で犯罪を行わせるケースが存在する」と彼は述べている。
犯罪組織が未成年者を狙う理由について、安全保障の専門家ロレナ・ピエドラ(Lorena Piedra)は、「未成年者は刑事責任を問われず、そして何より、国家の保護の枠外に置かれているからである」と指摘する。
この問題は急速に拡大している。グアヤス県で殺し屋(シカリオ)の訓練拠点を摘発した警察官ロベルト・サンタマリア(Roberto Santamaría)によると、2023年から2024年にかけて、ドゥラン(Durán)で犯罪組織に所属する未成年者の数がほぼ3倍に増加したという。そして、彼らはもはや地元の子どもたちではなく、国の他地域からやって来て、訓練施設として機能する家屋で「訓練」され、犯罪組織のために「働く」ようになっている。
殺人率の最も高い県で子供たちが姿を消している:
この増加は、コロンビアで起きている現象と類似している可能性がある。武力紛争、犯罪統治、安全保障の専門家であるホルヘ・マンティジャ(Jorge Mantilla)は同国の人民擁護官(Defensoría del Pueblo)のデータに基づき、コロンビアでは過去4年間で子どもや青少年の強制徴用が1300%増加したと説明している。
一方、エクアドルでは、強制徴用に関する大幅な過少報告が存在する可能性があると、専門家たちは警鐘を鳴らす。実際、エクアドル内務省のウェブサイトに掲載されている人身売買および密輸移民に関するインタラクティブ地図によると、2024年に記録されているリクルートの件数はわずか2件にすぎない。
Crisis Groupはラテンアメリカに関する最新の報告書の中で、犯罪組織による子どもや若者のリクルートを、国家および治安機関にとっての重大な課題としている。「このような状況下では、強制徴用と自発的な加入の境界線が曖昧になる。特に女性や少女の場合はなおさらである」と指摘する。
この人口層は、強制徴用によって特に深刻な被害を受けている。なぜなら、犯罪組織は彼女たちを性的に搾取する目的でリクルートするからである。専門家によれば、これは内部紛争の宣言以降、女性の失踪者数が非常に多い理由の一つとして説明可能である。「コカイン1グラムは一度しか売れないが、少女は何度でも売ることができる」と語るのは、エクアドルで性的搾取ネットワークから子どもたちを救出してきたAerial Recoveryの関係者である。
人権の研究者かつ専門家であるハコボ・ダヤン(Jacobo Dayán)によれば、エクアドルでの失踪事件の背後にある組織犯罪は、メキシコにおけるそれと類似した振る舞いを見せている。メキシコでも、行方不明になる少女の数は少年よりも多い。「これは一つのビジネスラインだ。犯罪組織内部では性的搾取を目的とした女性のリクルートが行われており、多くの女性が『運び屋(mula)』として使われたり、誘拐された人質の監視役にされている」と彼は語る。
また、ダヤンは「麻薬組織が一度ある地域を掌握すると、合法・非合法を問わずビジネスの領域を広げ始める。たとえばメキシコでは、一部の地域でトルティーヤ市場、レモン市場、アボカド市場を支配している。一見すると関係のない話のように思えるが、一度支配を確立すれば、狙いはあらゆる資源の搾取にある」と警告する。
犯罪組織による領土支配は、女性を「戦利品」として扱うことにもつながっている。17歳のユリッサ・ボネ(Yulissa Bone)は、3月5日にエスメラルダスで行方不明として報告された。彼女は恋人とアタカメス(Atacames)にいたが、彼が電話を受けた後、「エル・コラル(El Coral)」と呼ばれる地域を通ることを決めたという。
6日後、2体の遺体が穴の中で発見された。彼女の遺体は裸の状態であり、もう1体は恋人と見られている。警察の報告は、組織犯罪が関与している可能性を指摘している。
未成年(18歳未満)の失踪者、性別別統計:
ユリッサが失踪したエスメラルダス県は、Save The Childrenにとって大きな懸念の一つである。Save The Childrenのインシデンシア・パーティシパシオン・コミュニケーションズ部門のディレクターであるフェリペ・コルテス(Felipe Cortés)は、国連の失踪委員会の最近の2回の会議で、このエクアドルの地域に関する懸念が繰り返し表明されたと述べている。
「12月にここに来て、私たちが話したテーマの一つは、太平洋沿いのエスメラルダスの国境地域の状況だった。Save the Childrenでは、エスメラルダスの隣に位置するトゥマコ(Tumaco)でも活動しているが、その地域は高いリクルート率を持ち、組織犯罪のグループが頻繁に存在する場所である… メキシコ人がバーやレストランにいるのを見たり、国際的なビジネスの動きが目立つ地域である。コロンビアでコカインの価格が下落した際に、この活動がエクアドルへと広がり、武装集団や組織犯罪グループが活動範囲を拡大したという一因がある」とコルテスは説明する。
未成年(18歳未満)の失踪者、県別統計:
国家起因で失踪した子どもたち
ジャンピエ(Jampier、16歳)とジャスティン・バルヴェルデ(Justin Valverde、20歳)は、2024年11月の最終月曜日にロス・リオスのマタ・デ・カカオ(Mata de Cacao)のガソリンスタンド近くで会話をしていたとき、白いトラックで到着した軍人たちによって逮捕された。目撃者によると、ジャンピエは「自分をつかませなかったために殴られた」。
ジャンピエの母ロサ(Rosa)は、息子の香りが残った帽子と、彼がマタ・デ・カカオを走り回るのを見たバイクを手に、息子を探し続けている。「どこにいる? 誰が彼を連れて行ったのか、なぜ? 私以外に誰か探す人はいないのか?」と、ロサは問いかける。
その苦しみは、デニス(Denisse)というジャスティンの母親と共有されている。デニスは、ジャスティンの情報を得るために週に2、3回警察に行っていると、人権擁護常任委員会(Denisse dijo al Comité Permanente por la Defensa de Derechos Humanos:CDH)に語った。しかし、警察からは「すでに亡くなっている」と言われたという。その一方で、ジャンピエの母親は、フードをかぶった人物たちから脅迫を受けたことをCDHに伝えている。すでに3ヶ月以上が経過し、そのうちの1人は今でも息子が生きていることを信じている。「彼を見つけるまで、私の中では生きている」と、CONNECTASに語った。
エクアドルでは、失踪者は「自発的失踪(desapariciones voluntarias)」「非自発的失踪(desapariciones involuntarias)」「強制失踪(desapariciones forzadas)」に分類される。強制失踪とは、国家機関の職員によって逮捕、誘拐、または拘束された場合を指す。CDHは、2024年に27件の強制失踪を記録しており、そのうち9件は18歳未満の未成年者に関するものである。その中の4件は、グアヤキルのラス・マルビナスの子どもたちに関する失踪事件である。
記録された別のケースは、クレイナ(Kleiner、15歳)とカルロス・ピスコ(Carlos Pisco、17歳)の兄弟に関するものである。2024年12月6日の午前6時、軍人たちがグアヤスのバナナ農園「ラ・フォルタレサ(La Fortaleza)」に入って、すべての従業員を検査した後、6人を連行した。その中にはピスコ兄弟も含まれていた。家族は3日後に失踪を報告し、最終的には不正な拘束について軍の職員に対してハベアス・コーパス(habeas corpus)を取得した。関係者によると、検察はこの事件に関連する重要なビデオを所持しているが、未だにそのビデオは家族に見せられていない。4ヶ月が経過したが、兄弟の行方は依然として不明である。
沈黙が続いているのは、ジャスティン・アルバレス(Justin Álvarez)とハイロ・タピア(Jairo Tapia)の家族も同様である。彼らは17歳と16歳のいとこで、ロス・リオスのババホヨ(Babahoyo)で失踪した。2024年9月4日、午前5時に16人の軍人が2人が寝ていた家に侵入し、彼らを力づくで連行した。家族の証言によると、軍人たちは彼らを連れ出す際に「今日はお前たちを殺す」と言ったという。また、「1時間後に警察の地域警備ユニットに行けば、会える」とも言われたが、現地に行っても何の回答も得られなかった。2週間後、ジャスティンは逃げ出し、彼といとこはモンタルヴォ(Montalvo)の消防署で暴行を受け、拘束されていたと話した。しかし、自由は長く続かず、ジャスティンは2024年11月28日、友人を訪れていた際に再び軍に逮捕された。現在まで、家族は彼の行方がわからず「非自発的失踪」として検察に事件を報告している。
非自発的失踪は、しばしば強制失踪を隠すものであり、国家が目を背けているように見えることがある。CDHのフェルナンド・バスティアス(Fernando Bastias)は「軍は特定の犯罪組織に汚染されており、例えば薬物や武器を刑務所に持ち込むために関与していることは明らかだ。したがって、強制失踪は2つの形態で発生しる。1つ目は、軍が町に駐留することによって民間人が曝される結果としての失踪で、2つ目は、麻薬組織が直接関与し、リクルートメントや新たな敵への対抗手段として軍を雇って失踪させる」と指摘する。
強制失踪の捜査は進展しない。プライミシアス(Primicias)の報道によると、検察は2014年から2024年の間に146件の強制失踪の訴えを受けており、そのうち67件は初期調査中、78件は処理が保留されたままである。また、この調査においては、エクアドルの人権大臣アリアナ・タンカ(Ariana Tanca)へのインタビューも依頼したが、事前に送付された質問にもかかわらず、回答は得られなかった。
「まだ軍の駐留から1年しか経っていない。この現象は悪化する可能性もあり、固定化されるかもしれない。しかし、私たちはそれを予防することもできる」とフェルナンド・バスティアスは述べている。
エクアドルでの状況について、組織犯罪の専門家であるレナト・リベラ(Renato Rivera)は「エクアドルが経験しているのは、まさに完璧な嵐のようなものある。悲しいことに、これは国家が失踪に対して歴史的な負債を抱えているからである」と述べている。
2020年からエクアドルで施行されている失踪者および行方不明者に関する法律(Ley de Actuación en Casos de Personas Desaparecidas y Extraviadas)は、子供や青少年に対する優先的な対応を規定するだけでなく、唯一かつ公開されている登録簿の作成も含んでいる。
しかし、エクアドルの行方不明者の家族や友人を支援する団体である失踪者家族・友人協会(Asociación de Familiares y Amigos de Personas Desaparecidas en Ecuador:Asfadec)は、エクアドルの国家機関によって発表される失踪者に関する統計に一貫性がないことを繰り返し報告している。現在、エクアドル内務省の失踪者サイト「Desaparecidos Ecuador」では失踪者の写真が掲載されているが、統計は2023年までしか表示されていない。
失踪者の報告件数はしばしば当局の対応能力を超えており、平均して毎年5,500件の報告がある。その多くは20日以内に解決されるが、特に未成年者に関しては、失踪の主な理由は家庭内の問題であることが多い。しかし、内部紛争の激化に伴い、解決される割合は減少してきている。
2017年から2024年にかけての失踪者の年齢別統計:
ミゲル・エガス(Miguel Egas)は、エクアドルの警察組織 Dinased で失踪者ユニットを担当しており、全国で282人の捜査官を指揮していると述べている。彼によると各捜査官が年間に扱うケース数は約25~30件である。「解決率は90%を超えてい多ものの、昨年は87%に低下した。これは、犯罪組織が失踪事件に関与し始めたためである。しかし、どんな場合でも調査は終了しない」と述べている。
ヤハイラ(Yajaira)は、娘ジャニナ(Janina)を失った経験から、優先的な対応がなされないことを痛感している。ジャニナは12歳の時、グアヤス県のマルセリノ・マリデウエニャ(Marcelino Maridueña)で学校を出た後、行方不明になっている。ある生徒の母親が、バイクに乗った人物に連れ去られたことをヤハイラに知らせてきたと言う。Asfadecによると、失踪の瞬間を捉えた写真やビデオがあり、その出来事は職員によっても確認されていたが、「警察は証拠がないと言って、犯人を逮捕しなかった」とヤハイラは今でも嘆いている。
ヤハイラはすぐに被害届を出したが、警察は「24時間から48時間待たなければならない」と述べている。「娘はきっと恋人と一緒に出かけたのだろう、そのうち戻ってくる」と、Asfadecは記録している。だが、エクアドルでは、人の不在を通報するのに24時間待つ必要はない。失踪は「非自発的失踪」として通報することができ、これは最大10年の禁固刑を伴う犯罪である。
ヤハイラが娘の行方を見失ってから14か月後、警察は娘のものとされる衣類と骨を発見した。しかし、それに関する鑑定は行われなかった。にもかかわらず、国家はそれ以来、母親の懇願にもかかわらず、捜索を続けることを拒否し続けている。
法律にはまた、失踪の予防に特化した「指導委員会」の設置も明記されている。委員会は、検察庁、内務省、人権省、社会経済的包摂省によって構成されることになっている。「この法律ができてからもうすぐ5年になるが、彼らが顔合わせと挨拶のために集まったのかすら、私は知らない。(…)人権省は、新しい理事の登録にしか役立っていない。失踪者の件になると、言葉ばかりで、写真を撮るだけだ」と、Asfadec会長のリディア・ルエダ(Lidia Rueda)は嘆く。
暴力は強制的な移住も引き起こしており、この種の移動はエクアドルの子どもたちの脆弱性をさらに高めている。たとえば、エクアドルの地域開発協力地域委員会(Mesa Regional de Cooperación para el Desarrollo en Guayaquil)によれば、3月初旬、グアヤキルで発生した2つの犯罪組織の抗争による22人の虐殺事件の結果、100以上の家族が避難を余儀なくされた。
しかし組織犯罪グループだけが責任を負うべき存在ではない。レナト・リベラ(Renato Rivera)は、原因やリスクは県ごとに異なる可能性があると説明する。彼の指摘は「軍の介入、武力紛争によって国内避難が生じ、その結果として失踪も発生する」と言うことだ。
エクアドルにおける強制的な移住は国内にとどまらない。2024年は、過去8年間で2番目に悪い移民収支を記録した年となっている。内務省がメディアに提供したデータによれば、94,000人以上のエクアドル人が合法的に国外へ出国し、帰国しなかった。
このような移民の流れの増加は、他の問題も引き起こしている。Save The Childrenのフェリペ・コルテスは、移民の結果として、子どもや若者が犯罪者にとっての標的となると述べている。特に、国境を越えた市場において、地域的に影響力を持つ犯罪組織による標的化が進むという。「これは、ベネズエラからの第一のディアスポラ(移民の流れ)の際に、国境地域で少女たちが搾取される場所が急増したことで、我々が目にしたことだ」と彼は述べている。
専門家たちは、2017年から2025年初頭までの間に失踪した868人の子どもや若者たちに何が起こったのかを説明するための第三の仮説を描き始めている。彼らの行方については憶測しか存在せず、しかしリスクは明確になっている。この悲劇に対処するための指針も存在しているが、それらはまだ具体化されていない。
「私たちは『たった10分で、もう二度と会えなくなる可能性がある』と言っている。情報の拡散は迅速で、大規模でなければならない。そして、それを行う責任は国家にある。しかし国家はそれを実行していない。ただ単に、経済的資源がないという理由で」と、Asfadec会長のリディア・ルエダは語っている。
国家に課せられた課題は、組織犯罪の進行と、それに対する軍事的対応の中で、子どもや若者が直面する脆弱性を認識することである。彼らがこれ以上失踪することを防ぐために。そして、行方不明となった子どもたちを見つけ出すまで探し続け、何より、もう二度と帰ってこない子どもたちのために正義を実現するために。
参考資料:
1. Desaparecidos: los niños perdidos en la guerra interna de Ecuador
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