エクアドル大統領選挙2025:ノボア、ゴンサレス、それ以外?第1回投票当日

(Photo:PlanV)

エクアドル国民は、財界の実力者(magnate)の息子ダニエル・ノボア(Daniel Noboa)と、ラファエル・コレア(Rafael Correa)の政治的駒(ficha)であるルイサ・ゴンザレス(Luisa Gonzales)を次期エクアドル代表に選ぶ日がやってきた。

ダニエル・ノボアとルイサ・ゴンサレスは基本的に特定の人物の考えを引き継ぐものたちである。前者は選挙に5回立候補した成金の息子である。大富豪アルバロ・ノボア(Álvaro Noboa)は選挙運動に数千万ドルを投じたが、一度も当選しなかった。もうひとりは、8年前に政権を去ったにもかかわらず、政権復帰を望み、政治運動を指導し続けているラファエル・コレア前大統領のレガシーである。今週日曜日、エクアドルは大統領選挙の第1ラウンドで、2つの遺産のどちらかを選ぶ。

世論調査によれば、この2人が4月の第2ラウンドで争うというのが最も可能性の高いシナリオである。2023年、前大統領ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)が断行したエクアドル議会でのさしちがえにより行われた早期選挙でも同じことが起こった。彼の任務は大失敗であった。ラッソは銀行家であり、国の政府を営利企業に変えるはずだった。14年間にわたる左派の指導の後の右派へのシフトであったが、暴力、汚職、経済危機がその賭けを奪い去った。

コレアは、敵が仕組んだ司法的迫害だと考え、ブリュッセルに亡命していたが、政権に復帰する時が来たと考えた。彼の政党Movimiento Ciudadanoは、彼よりも穏健な政治家であり、火山的な性格の少ないゴンサレスを推した。前大統領が去った2017年は分断国家であった。その分断が彼に不利に働いた。どこからともなく現れたノボアは、一般市民には無名で、反コレアズモを主要な政治綱領とした。これにより、2023年の大統領選挙で勝利する道が開けた。

エクアドル国民はノボアにがどのような政治を行うか未知数だった。ノボアは、ラッソの失敗から距離を置くために中道左派の政党を支持したが、政策を実行に移すとなると、彼が右翼であることは明らかだった。バナナ収用で財を築いた大物の家で、チェ・ゲバラ(Che Guevara)のような指導者が育つのは不思議なことであった。彼は37歳で権力の座についたが、その若さも疑惑を生んだ。チェ・ゲバラは人格的に欠けていたわけではない。多くの人は、彼はそれを持ちすぎていたと考えている。

ナイブ・ブケレ(Nayib Bukele)のような他の大統領と同じように、ノボアは多くの決定において権威主義的で、法律や基本的な民主主義の概念を尊重していない。彼の副大統領であるベロニカ・アバド(Verónica Abad)は、選挙運動中に彼の座につくべきであったが、それを避けるためにあらゆる法的な奇策に訴えた。エクアドルで大統領と候補者を同時に務めたのは彼が初めてである。これはゴンサレスに対して大きなアドバンテージとなった。両者にとっての宣伝効果は不平等なものであった。左派は歴史的に享受してきた権力の場の多くを失った。

懲罰票を求めて

政治家としては未熟なノボアだが、その行動は鋭い。他の大統領のように社会不安を引き起こすことなく、付加価値税を引き上げ、ガソリン補助金を減額した。同時に、左派がこのような言説を軽視していたことを逆手に取り、ブケレ流の暴力に対する鉄拳を持つ指導者であることをアピールした。犯罪率は依然として高く、1月は国家史上最多の殺人件数を記録した。グアヤキルのような都市は地獄と化している。コカインが世界中に輸出されるグアヤキルの港をめぐって、犯罪組織が争っている。

ゴンサレスは、投票に呼ばれた1,370万人のエクアドル国民が、4ヶ月間16時間も国中が暗闇に包まれた停電の代償をノボアに払わせると確信している。市民はまた、議会を更新する151人の下院議員と5人のアンデス議会議員を選出しなければならない。他にも14人の候補者が立候補しているが、政府所在地であり大統領の公邸であるカロンデレ宮殿にたどり着ける可能性は皆無に等しい。ノボアは今の家(大統領官邸)を出たくない。ゴンサレスは玄関から入りたいのである。

国家安全保障への脅威を調査するNGO『インサイト・クライム(InSight Crime)』は、両候補の強硬な提案に疑問を呈している。「つい先月、エクアドルは歴史上最も暴力的な1月を経験した。ノボアが警察や軍の駐留を増やすなど、急進的な対策を実施していたにもかかわらずである」と、ワシントンを拠点とする団体の共同設立者であるスティーブン・ダドリー(Steven Dudley)は言う。同アナリストは、細分化されたギャングの台頭と、恐喝や違法金採掘といった新たな違法経済の統合により、2025年には暴力が増加する可能性が高いと見ている。「主要候補は、軍事的弾圧、国境警備の強化、新たな刑務所の開設など、治安危機と闘うための強硬策を提示しているが、マノ・ドゥーラ(鉄拳)は通用するのだろうか?」と問いかけている。

念のため、ノボア大統領は選挙前夜に国境を閉鎖し、外国人の入国を2月10日まで制限するよう命じた。大統領によると、情報機関からの報告で、武装集団が選挙プロセスを不安定化させるために侵入しようとしているとのことだ。今朝早くから、ペルーとの南の国境とコロンビアとの北の国境で、軍の部隊が警戒にあたっている。エクアドルの軍事化は、投票所に投票を投じるためでさえ現実のものとなっている。投票は義務であり、エクアドル国民はどの方向に進むべきかを決定しなければならない。

#エクアドル大統領選2025 #LuisaGonzales    #DanielNoboa

 

参考資料:

1. Ecuador busca presidente entre dos herederos

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