コロンビア：大統領の発言を受けイスラエルとの緊張が高まる

（Photo：Fotografía oficial de la Presidencia de Colombia/Flickr）

10月15日日曜日、イスラエルとコロンビアの外交関係は緊張した。発端にあるのはコロンビアのグスタボ・ペトロ（Gustavo Petro）大統領がTwitterを通じて発信したメッセージにある。「我々は大量虐殺を支持しない。コロンビアの大統領は侮辱されていない」と書いたが、この発言はイスラエルがペトロのメッセージは「ハマスのテロリストによる残虐行為への支持を反映し、反ユダヤ主義を煽り、イスラエル国家の代表に影響を与え、コロンビアのユダヤ人コミュニティの平和を脅かす」と述べたことを受けてのことだ。ペトロは続けて「イスラエルとの外交関係を中断しなければならないなら、中断する。我々は大量虐殺を支持しない」と述べた。

ペトロはイスラエル国防相のガザ全面包囲・封鎖命令を「ヘイトスピーチ」と呼んだ。彼はTwitterを通じ「ガザは今日、ユダヤ人と社会主義者の反乱に呼応して、強制収容所がナチスの蛮行によって破壊された後のワルシャワのゲットーと同じかそれ以上に破壊されたように見える」と付け加えた。

 

ガリ・ダガン（Gali Dagan）駐アンデス・イスラエル大使は、ペトロ大統領の発言は「敵対的で反ユダヤ的」であり、1,300人以上のイスラエル人が殺害され、150人以上が誘拐されたハマスによる「野蛮なテロ攻撃」を前にして「驚愕」をもって受け止められたと考え、マルガリタ・マンハレス（Margarita Manjarrez）コロンビア大使に電話をかけたと発表した。

ダガンの発言に対し、ペトロは自身のソーシャルネットワークのアカウントTwitterで即座に反論し、「イスラエルとの外交関係を停止しなければならないなら、停止する。我々は大量虐殺を支持しない」と述べた。またペトロは「コロンビア大統領は侮辱されていない」と付け加え、ラテンアメリカにコロンビアとの連帯を呼びかけた。

 

イスラエルに対するハマスの攻撃を直接非難していないペトロは、自身のソーシャルメディア・アカウントで、ガザ地区の状況をナチスの強制収容所になぞらえたメッセージを何度か発表し、批判の嵐を巻き起こしていることは確かだ。イスラエルによればペトロの発言はハマスのテロ攻撃や残虐行為への支持を意味し、「ナチスの残虐行為を支持するものだ」。

10月8日（日）にコロンビアのイスラエル大使館が破壊された際、共和党のマルコ・ルビオ（Marco Rubio）上院議員は、ペトロ大統領の「イスラエルでのテロ攻撃後の反イスラエルの語りかけが反ユダヤ主義を動機付けた」と指摘した。コロンビアのユダヤ人コミュニティ連合は声明で「大統領の頑迷さ」を否定し、Twitterに関する彼の度重なる発言は「ハマスの行動を正当化しているようだ」と非難した。イスラエル外務省のリオル・ハイアト（Lior Haiat）報道官もこの発言を「敵対的で反ユダヤ主義的」と呼んでいる。同報道官によると、コロンビア指導者の発言は「ハマスのテロリストによる残虐行為を支持するもの」であり、その結果イスラエルはコロンビアへの貿易制限措置を発表する意向を発表した。

 

このイスラエルの決定に対しペトロは、「私はイスラエルの人々から、コロンビアの平和とパレスチナと世界の平和への協力を求める。ボリバルとナリニョが教えてくれたように、コロンビアは独立した主権を持つ公正な国民なのだ」と述べている。ペトロは最後に、「いつか、イスラエル軍とイスラエル政府は、彼らの手下が私たちの土地で大虐殺を行ったことについて、私たちに許しを請うだろう。私は彼らを受け入れ、アウシュビッツとガザの殺人、そしてコロンビアのアウシュビッツのために泣くだろう」。そして最後に、「人類、民主主義、平和、世界の自由のために、ヒトラーは倒される」と断言した。

アメリカはイスラエル政府をナチスと比較したペトロの発言を非難していた。「私たちは、イスラエルの男性、女性、子どもたちを殺害した悪質なテロ組織であるハマスへの非難を求める」と、反ユダヤ主義監視・闘争米国特使事務所のデボラ・リップシュタット（Deborah Lipstadt）大使はソーシャルネットワークを通じて述べた。この外交官の言葉は、コロンビア・ユダヤ人コミュニティ連盟の公式アカウントでも紹介された。ボゴタではハマスの攻撃を受けて、ユダヤ人コミュニティがシナゴーグでイスラエルと連帯する集会を開いている。

 

イスラエル外務省のリオル・ハイアト報道官は、「エリ・コエン（Eli Cohen）外相の指示により、イスラエル外務省のラテンアメリカ担当副局長ジョナサン・ペレド（Jonathan Peled）大使が、マルガリタ・マンハレス駐イスラエル・コロンビア大使を召喚した」と述べた。この「叱責の会話」は、「先週、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領がイスラエルに対して行った敵対的かつ反ユダヤ的な発言を受けて」招集されたという。同報道官はさらに、「（ペトロ大統領の）発言は、イスラエルで1,300人以上のイスラエル人を殺害し、150人以上を誘拐したハマスのテロリストによる残忍なテロ攻撃に対する驚きをもって受け止められていることが、会議の席で大使に明らかにされた」と述べた。しかしこの反対意見も一方的なものである。ハマスの民間人攻撃や誘拐は非難されるべきものである。しかしイスラエルはハマスの攻撃以前にも他国の土地に侵攻し（詳細はこちら）、民間人を数多く殺している。これについて多くの国際社会はそれをみないふりをし、何の制裁も加えてきていない。

 

ペトロはイスラエルでのハマスの攻撃の翌日にTwitterで「コロンビア政府は、イスラエルとパレスチナという2つの自由な国家を求める国連決議を支持し、2つの国家を承認し、イスラエル国家にパレスチナ国家への軍事占領をやめるよう求める」と発表している。ペドロのコメントの直前、ベネズエラ外務省はニコラス・マドゥロ（Nicolás Maduro）大統領がパレスチナのマフムド・アバス（Mahmud Abás）大統領とガザ地区の状況について電話で接触し、即時停戦と住民のための人道支援ルートの確立を要求したと報告している。

なお、ペトロは米国との連携がますます強くなってきていること共に、攻撃や虐殺をやめさせることで見えてくる和平協定について語っている。

 

参考資料：

1. Petro: “Si hay que suspender relaciones exteriores con Israel, las suspendemos”
2. Gustavo Petro amenaza con romper relaciones con Israel: ‘Si hay que suspender, las suspendemos’

LATIN AMERICANO WARPEACE
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