（Photo：https://aler.org/）
8月8日と9日、ブラジルのパラ州ベレンで行われるアマゾン・サミットは、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ（Luiz Inácio Lula da Silva）大統領のリーダーシップの下行われる。本サミットでは猛烈に進みゆく気候変動を食い止めるために、綺麗事を言うばかりで炭素を誰よりも排出し続ける豊かな国々に熱帯雨林の維持に必要な資金を提供させること、アマソニアでの取り組みを明確にし、優先順位を定め、資金を配分し、当面の行動と将来の行動のための戦略的指針を示すことを目的としている。
https://twitter.com/LulaOficial/status/1688188771588534273
同サミットに参加するのはアマゾン・サミットで、アマゾン協力条約機構（Organización del Tratado de Cooperación Amazónica：OTCA）加盟国の首脳やこの地域の協力パートナーとされるその他の国々の代表であり、アマゾニアを抱える国からはボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、フランス領ギアナ、ペルー、スリナム、ベネズエラの大統領が参加する。
ルラ領就任後2度目のブラジル訪問となるベネズエラのニコラス・マドゥロ（Nicolás Maduro）は、コロンビアのグスタボ・ペトロ（Gustavo Petro）、ボリビアのルイス・アルセ（Luis Arce）、ペルーのディナ・ボルアルテ（Dina Boluarte）とともにアマゾン会議に出席する。
アマソニア8カ国の最初の目的は気候の主な調整役である熱帯雨林と、それが世界中に排出する湿度を統合し、11月にアラブ首長国連邦で開催されるCOP28国連気候変動会議に合意的な声を届けることにある。「私たちは、豊かな国々に、熱帯雨林を維持するための補償金と、アマゾンの熱帯雨林に住む数百万人の人々のための持続可能な経済開発を要求し続ける。私たちは森林伐採に厳しく臨み、アマゾンで新たなグリーン産業化を実現させたい」と、ルラは先週ブラジリアで語った。このイベントのスポークスマンを務めるブラジル大使のジゼラ・パドバン（Gisela Padovan）も大統領がベレン宣言に署名することを確認した。ベレン宣言には、豊かな国々からの資金と投資の追求に加えて、アマゾンの熱帯雨林の分担に対する各国の主権が強調されている。特に、アマゾンの住民は最も開発が遅れているか、経済的な捕食の脅威にさらされているため、開発と保全の間の論争が議論の最重要議題となる。
8日月曜日には環境相と外相の会議が予定されており、翌火曜日にはOTCA首脳会議が開催される。続いて国連食糧農業機関（Organización de las Naciones Unidas para la Agricultura y la Alimentación：FAO）、国連開発計画（Programa de las Naciones Unidas para el Desarrollo：PNUD）、米州開発銀行（Banco Interamericano de Desarrollo ：BID）、ラテンアメリカ開発銀行（Banco de Desarrollo de América Latina：CAF）、ブリックス銀行など、招待国や国際機関を交えた拡大会議も開催される。週末には、最終宣言に市民社会の声を反映させるため、50以上の非政府組織、学術団体、セクター団体が参加するアマゾン・ダイアログが開催される。
ブラジルはアマゾンの熱帯雨林の60％を所有している。ルラは年始の大統領就任にあたり、1期目にも環境大臣を務め成果を上げた環境保護主義者のマリナ・シルバ（Marina Silva）を同地域担当大臣に任命している。これは、ジャイル・ボルソナロ（Jair Messias Bolsonaro）前大統領は4年間でアマゾンの経済的搾取を擁護し、人権を侵害し、殺人をはじめとする犯罪を助長し、違法なことごとに対し監視を弱めた。ボルソナロ政権発足後7カ月で、ブラジルはアマゾンの熱帯雨林の伐採を44％削減した（公式衛星データより）。ブラジルのアマゾン地域が “西の果て “と呼ばれ、土地紛争で多くの死者が出ているのはそのためだ。
なおルラ政権は、ロレアマ州のヤノマミ先住民の土地に警察と軍隊を介入させ、違法な金採掘ネットワークの一員であり、河川を水銀で汚染することによって先住民の栄養失調による死亡を引き起こした14,000人以上の人々を排除した。
この「グリーン」な政府の環境憲章には、国営企業ペトロブラスがアマゾン河口から大西洋まで300キロを掘削し、高品質の海洋石油を採掘するよう要請することも含まれていたが、この構想は環境研究所（Instituto de Medio Ambiente：Ibama）によって阻止され、ルラ政権における開発主義者と環境主義者の最初の分裂が生まれた。ブラジル内においても足並みが揃わないように石油開発について同地域でコンセンサスを取るのが難しい。アマゾン・サミットで石油の放棄は合意事項から外れるべきと指摘するものもいる。国会解散後も次の大統領着任まで時間のあるエクアドルのギジェルモ・ラッソ（Guillermo Lasso）などは環境を破壊し、土地の人間が健康被害に遭っても、さらに生物多様性を失ってでも石油開発を進めたいとするその代表格だ。
ブラジル、ペルー、コロンビアの環境大臣はアマゾン・サミットに参加する大統領間の合意に、アマゾンでの石油探査の中止を盛り込むべきでないことを示唆した。これを入れ込むことで、取れるべきコンセンサスが取れなくなる可能性があるのかもしれない。
ブラジルのマリナ・シルバは「戻れない地点」を回避することがコンセンサスであると繰り返すとともに、石油掘削のための調査は伝統的な住民や科学者たちによって拒否されているものの、石油に関する各国の立場は分かれていることを想起し、「社会運動は、アマゾンの石油開発を拒否するために、それぞれの役割を果たしてきた。しかし、実行に移せないのはどこでしょう？政府と企業だ」と記者会見で述べた。ブラジルはベネズエラや他国とともにこのバイオームに大量の炭化水素を埋蔵している。そしてこの開発を放棄するとは言っていない。フォス・ド・アマソナス（foz do Amazonas）はペトロブラス（Petróleo Brasileiro S.A.）の主要な石油拡張前線である。
コロンビアのスサナ・ムハマドは石油開発停止の合意の難しさについて「（アマゾンの石油開発について）大統領間で合意に達することができるかどうかはわからない。そんなに簡単なことではない」と語った。しかしその一方でコロンビアは年初に、石油探査のための新規ライセンス付与の終了という思い切った措置を発表している。グスタボ・ペトロ大統領は、この動きは再生可能エネルギーに基づくエネルギー転換の第一歩であると述べた。
ペルーは2008年に環境大臣を設置したばかりだが、石油採掘の結果に苦しんでいる。先住民や漁業コミュニティがしばしば影響を受ける石油流出事故と共存している。ペルーのアルビナ・ルイス（Albina Ruiz）環境相は、「私たちは、炭化水素と採掘の両方から、対応しなければならない多くの環境負債を抱えている」と述べた。
この閣僚の記者会見に先立ち、アマゾン河口で炭化水素開発に対する抗議行動が行われた。環境保護主義者たちによって組織されたこの行動は、金曜日（4日）からアマゾン・ダイアログが開催されているイベントセンター、アンガー（Hangar）の本会議を占拠した。気候危機に取り組む科学者たちは、アマゾンの石油採掘を全会一致で否定している。先住民、キロンボラ、漁民の指導者や組織は、この活動が彼らの領土に与える重大な影響について相談を受けていないと不満を表明している。
アマゾンは危機に瀕している。それとともに地域と世界の気候調整と安定化も危機に瀕している。南米には3億人以上、アマゾンには4,700万人、そのうち200万人が先住民であり、地球上で確認されている種の10％が、このバイオームと流域の存続に依存している。驚くべき速度で進む森林伐採と森林転換、気候変動、土地の劣化は、アマゾンの回復能力を妨げ、生態系の転換点に向かわせ、南米の健康と食糧安全保障、そして世界の気候に悲惨な結果をもたらしている。
地球温暖化やアマソニアの熱帯雨林伐採は地球の裏側の人たちの都合で行われているものではなく、特に先進国と言われる国に住む人間の行動、意識が反映されたものと言える。
信じないものは一生逃避行、もしくは自分だけ桃源郷にでもいるのだろうが、気候変動含めこれらは誰が何をでっち上げようと事実である。
参考資料：
1. Cumbre Amazónica: la selva y sus defensores necesitan protección
2. Cumbre Amazónica debe resultar en compromiso coordinado y efectivo de los países para la conservación del bioma y el desarrollo sostenible
3. La Cumbre Amazónica de Lula busca imponer la diplomacia del cambio climático desde el sur
4. Abandono do Petróleo deve estar fora de acordo na Cúpula da Amazônia, sinalizam ministras
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