エクアドルでは2023年1~4月の間に122人の女性がフェミシディオ(Femicidio)の犠牲となった。
フェミシディオはスペイン語で虐殺 を意味する「Genocidio」と女性を意味する形容詞「Feminino」を組み合わせできた言葉だ。意味合いが若干異なるもののフェミシディオやフェミニシディオ(Feminicidio)と呼ばれる女性があるが故の殺害はラテンアメリカでは広く知られている。男女関係のもつれが故の殺害などといった言葉では決して片付けることはできない。
2014年以降、包括的有機刑法(COIP)の改革により、エクアドルではフェミシディオが犯罪化されている。そこで定義されたフェミシディオとは「あらゆる種類の暴力に現れる力関係の結果として、女性が女性であるため、またはその性別の条件のために女性を殺す」行為を言う。
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2023年エクアドルで発生したフェミシディオのうち53人は最も親密な関係者によって行われた女性殺害だった。つまり、パートナーや元パートナーによる殺害だ。その他は5人がトランスフェミニスト、64人が組織犯罪に関連した殺人だった。122人の女性のうち、16人は暴力被害を訴えていた。2人は暴力の被害者として報告され、1人は性的虐待を受けたことがある。また、46人は母親で、少なくとも80人の子供が孤児となった。
このデータは、エクアドルにおける女性、少女、青少年に対する暴力に関する統計を独自に収集する組織連合(Alianza para el Mapeo de los Femicidios en Ecuador)が発表したものだ。各団体は暴力に苦しむ女性のための優先注意センター、シェルター、避難所で働く女性たちとのグループチャットを通じて、暴力による死亡の警告を受け取っている。また、地元や国内のメディアによって報道された死亡事例も記録し、データベースやマップを作っている。
同盟は、被害者の近親者が犯した殺人事件をマッピングするだけでなく、2021年以降、不平等な状況の中で発生したと考えられる他の女性の暴力的な死を追加した。これで何らかの形で国内の犯罪ネットワークからの影響も見える化できるようになった。委託された暗殺、あるいは「巻き添え」の結果の殺人数も無視できないことによる。犯罪者のリーダーが殺されると、敵はそのパートナーも殺し、その彼女を弾丸の餌食にする。エクアドルでは銃器の携帯が違法であるにもかかわらず、2022年には、女性殺人の60%が銃器で犯されている。
2023年エクアドルでは23時間ごとに女性が残酷に殺害されていることになった。これは2014年以来最も高いフェミシディオ数となった2022年の28時間おきを上回る。2022年には女性のジェンダーに基づく殺人という犯罪が犯罪化された2014年以来最高の殺害数となり、332人の女性が命を落とした。この数はエクアドルはこの地域で女性に対して最も暴力的な国の1つであることを示している。なお2021年が197件だったことを思えば、その暴力は毎年エスカレートしている。しかし代替開発のためのラテンアメリカ協会(Asociación Latinoamericana para el Desarrollo Alternativo:ALDEA)はこの数は「例えば地方では、データにアクセスできず、実態が見えなくなっているケースが多い。そのためこの数字は過小報告となっているかもしれない」と述べている。2022年に女性殺害が多かった州には、沿岸部のグアヤス県、マナビ県、エスメラルダス県である。2021年以降、フェミシディオが増加していることについて「パンデミックでは通報は止まった。その一方で犯罪は止まらなかった。女性、少女、青年が最も安全な場所、つまり家庭にいても暴力は起きていた」、「2021年には津波のように多くのケースが可視化され始め、より多くのケースが報告されるようになった。2022年には、このことが我々を揺さぶり、さらに、この国で起きている社会的暴力の問題全体、高い犯罪率、他の国で『麻薬国家』や『麻薬犯罪』と呼ばれているものと交錯している」とALDEAとエクアドルの女性殺人のマッピングのためのフェミニスト同盟(Asociación Latinoamericana para el Desarrollo Alternativo)のヘラルディン・ゲラ(Geraldine Guerra)は述べている。
ゲラは被害者に殺害を命じる者が自分の夫や元夫であるという情報があっても国家はその事実から目を背け、シカリアート(sicariato)によるものだとしている。シカリアートとはヒットマンが行う犯罪行為のことである。シカリオ(sicario)、つまり殺人を犯す代わりに金銭を受け取る人が依頼を受け行っている結果と国家は位置付ける。「銃弾で死ぬのは女性ではなく、性的虐待、火傷、拷問で死ぬ女性であり、さらに、バラバラにされて路上に投げ込まれたり、首を切られたりする女性である」とゲラは述べ、フェミシディオの理由やその形態が悪化しているのかを理解するのに国が何をしているか疑問に思っていると付け加えた。
ゲラの言葉を裏付けるように司法評議会は2022年の女性の暴力的な死405件のうちフェミシディオとして起訴または司法的に類別されたのは78件のみと報告した。その他292件は暗殺(asesinato)、25件は殺人(homicidio)、5件はシカリアート、3件は強盗致死、2件はレイプ致死としている。2022年には警察学校内でもフェミシディオが起きている(詳細はこちら)。
ALDEAによると2014年から2022年で1,378件の女性殺害が登録され、1,526人の子どもが孤児となった。違いが理由で差別されたり、平等でない対応を取られる社会からの脱却を市民社会は訴えている。
#Paridad2023 Nuestra apuesta por la democracia paritaria permite una evolución hacia relaciones equitativas de género, así como de etnicidad, condición socioeconómica y otras relaciones para el logro de un goce igualitario de derechos #NoSinMujeres #Elecciones2023 #LaLeySeCumple pic.twitter.com/VrInH5Ywhh
— Violeta Sí, Violencia No (@VioletaSiEC) May 30, 2023
参考資料:
1. Estas son las cifras de femicidios en Ecuador en 2023
2. Ecuador cerró el 2022 con 332 femicidios, la cifra más alta desde 2014
3. Asociación Latinoamericana para el Desarrollo Alternativo
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