(Photo:@iglesiaymineria/ Twitter)
8月20日、エクアドルでは大統領、副大統領、下院議員137名の早期選挙が行われる。
また、5月22日に全国選挙人評議会(CNE)によって承認されたヤスニ国立公園における石油採掘の禁止に関する市民協議もまた同日程で開催される。ヤスニに関する協議は全国で、「採掘のないキト(Quito sin minería)」集団が市民に呼びかけ署名を集め開催が決定されたチョコアンディーノ(Chocó Andino)に関する協議は首都のキトのみで実施される。
チョコ・アンディーノはキト(Quito)に残された最後の森のひとつで、キトの北西に位置する。この森は、エクアドルで7番目の生物圏保護区としてユネスコに宣言されており、また、エクアドルの北海岸に流れる川を潤す水の源となっている。土壌は、キト、ペドロ・ビセンテ・マルドナード(Pedro Vicente Maldonado)、ロス・バンコス(Los Bancos)、ミンド(Mindo)などに天然の食料を提供しており、少なくとも年間26万6千トンの炭素を大気から除去し、地球温暖化の抑制に役立っている。しかし今ここの生態系が破壊の危機に直面している。その生態系を維持し、未来へと繋げていくために市民社会は市民協議の必要性を訴えた。憲法によれば、少なくとも選挙人名簿の10%(約19万8000人)の署名が必要であったが、「採掘のないキト」は45万5,000人以上の署名(CNEはうち20万6,000人を承認)を収集し8月20日の協議へとつながった。協議では以下4つの質問が問いかけられる。
https://twitter.com/QuitoSinMineria/status/1626028315877249024
問いは採掘の規模(職人、小規模、中規模、大規模)を問うもので概ね同じだ:
質問1:
アンデス・チョコを構成するノノ(Nono)、カラカリ(Calacalí)、ナネガル(Nanegal)、ナネガリト(Nanegalito)、グアレア(Gualea)、パクト(Pacto)の教区で形成される、生態学的、文化的、持続可能な生産開発上重要な地域内における、職人的規模の金属採掘の禁止に同意するか
質問2:
アンデス・チョコのける生態学的、文化的、持続可能な生産開発上重要な地域内における小規模金属採掘の禁止に同意するか
質問3:
アンデス・チョコにおける生態学的、文化的、持続可能な生産開発上重要な地域内での中規模金属採掘の禁止に同意するか
質問4:
アンデス・チョコにおける生態学的、文化的、持続可能な生産開発上重要な地域内での大規模金属採掘の禁止に同意するか
https://twitter.com/QuitoSinMineria/status/1673685445677383683
本国民投票は、すでに操業している鉱山会社を止めることはできない。現在、12件の鉱業権が許可され、さらに6件が計画中である。しかしこれらの鉱区のうち、環境協議に関する憲法第398条の要件を遵守しているものはひとつもない。そのため、エクアドルの司法制度は近い将来、これらの鉱区を停止させる可能性はある。また、もしキトでの採掘禁止に賛成票を投じれば、国はこれ以上採掘プロジェクトを許可できなくなる可能性も高い。そのため、市民社会は高らかに本訴えを国民に問いかける。
チョコ・アンディーノのような繊細な地域での鉱山開発は、生物多様性とその地域に永久的な影響を及ぼし、修復不可能な影響を与える可能性がある。サモラ・チンチペ(Zamora Chinchipe)のコンドル・ミラドール(Cóndor Mirador)プロジェクトの影響は、その明確な例である。同地域における鉱山の操業期間終了時には、合計4億9,100万立方メートルの汚染汚泥(サン・パブロ湖の3倍)と4億3,800万トンの固形廃棄物(パネシージョの5倍)が蓄積される。水の消費量は1日あたり2100万リットル、1秒あたり250リットルになる。これはイバラの全水使用量に匹敵する。「持続可能な」採掘や「責任ある」採掘などといったものは最先端の技術を駆使したところで、実現できない。そして鉱業における最大の問題のひとつは汚染である。鉱業は人々を貧困から救ってくれるわけではない。公式の数字によれば、すべての鉱業プロジェクトからの総収入は、県に入ってくるお金の0.8%にも満たない。その一方で、国際価格に左右されるため、鉱業が生み出すお金は非常に変動が大きく、さらに、鉱業は富を一部の手に集中させることに寄与する。2019年、エネルギー相はメガ鉱業セクターは32,000人の雇用を生み出すと述べているが、観光業はその12倍の雇用を生み出す。また鉱山の建設段階では労働者は最低賃金のもと、質の低い臨時雇用、長時間労働を強いられる。この土地はアグロ・エコロジカル・ツーリズム(72の観光スポットのうち25カ所が文化的観光スポット、47カ所が自然遺産)の場としても有名だ。しかし、環境が破壊されればその経営にも支障をきたす可能性もある。そのため、国民が未来に向かって鉱業と真剣に向き合うことは極めて重要なことと言える。
教皇フランシスコもまた生命と自然を守る人々と連帯している。
«Debido a una explotación inconsiderada de la naturaleza, [el ser humano] corre el riesgo de destruirla y de ser a su vez víctima de esta degradación ».
Laudato Si #QuitoSinMineria #YasuniSi pic.twitter.com/6QFUCTHNZo— Acción Ecológica (@AcEcologica) June 11, 2023
CNEは2023年8月の総選挙において、大統領候補者名簿の男女平等と複数人名簿を率いる女性の割合50%に関する選挙裁判所(Tribunal Contencioso Electoral:TCE)の決議を遵守すると表明した。民主主義法では刺し違え(Muerte Cruzada)後の2回目の選挙は想定されていないこともあり、選挙カレンダーについてそれは言及はさていない。もし決選投票があれば、新大統領誕生前に議会が宣誓することとなる。しかしこれもまた定義されてはいない。新しい選挙日程では、いくつかの活動も縮小された。例えば、住所変更キャンペーンは行われず、エクアドル国民は昨年2月の統一地方選挙と同じ選挙区で投票することになる。現在予定されている選挙スケジュールは以下の通りだ。
第1ラウンド
5月18日 選挙期間の宣言と協議会招集の承認
5月24日 大統領選挙および立法院選挙の公示(官報、ラジオ・テレビ放送)
5月24日~6月1日: 州選挙管理委員会および在外特別委員会委員の選出
5月25日~6月10日:内部民主化プロセス(OP予備選挙)
5月28日~6月13日: 候補者リストの登録と通知
7月4日~8月3日: 投票委員会メンバー(MJRV)への通知
7月5日~8月20日:投票委員会メンバー向け研修
7 月 30 日: 第 1 回全国シミュレーション訓練
8月6日:登録候補者の公式リスト(不服申し立てはすべて解決済みであること)
8月8日~17日 選挙キャンペーン
8月13日:全国討論会および第 2 回全国模擬選挙
8月17日:強制力のある有罪判決を受けていない自由権剥奪者(PPL)の選挙権
8月18日:在宅投票
8月18日~20日:選挙沈黙
8月20日: 選挙日、投票締め切り
第2ラウンド
9月24日~10月12日:選挙キャンペーン
10月: 議員の信任状
10月1日:全国討論会および全国模擬選挙
10月13日~15日:選挙沈黙
10月12日:強制力のある有罪判決を受けていない自由権剥奪者(PPL)の選挙
10月13日:在宅投票
10月15日:第2回投票日
11月30日: 大統領と副大統領に信任状交付
CNEの全国登録簿には合計279の政治団体が登録されている。この中には6つの政党、11の国民運動、69の地方運動が含まれる。これら86の組織は、国政選挙に候補者を擁立する権利を有する。
国の最高行政・立法当局の選挙プロセスを保証するための資金は79,009,420ドルにのぼる。この金額は、投票が2回行われる場合に必要な金額であるが、2回投票を行う必要がない場合は、48,317,814ドルに減少する。この費用は投票用紙やその他の書類の印刷、技術強化、人員の雇用、選挙運動、候補者間の討論会などのために用いられる。
ラッソ大統領による「刺し違え」決定は、自身の弾劾を免れるためのものであったため、不正なものであったと考えられている。しかし政治危機、治安の悪化、経済問題の渦中にある同国にとって、希望となるものでもあるとPrensa Latinaは報道した。
選挙での投票は義務であり、有権者数13,450,047人、そのうち6,626,215人が男性、6,823,832人が女性で8月20日投票所に向かう。当選者の任期は2025年までとなる。
今回のMuerte cruzadaに関する別記事はこちらから。
参考資料:
1. Calendario electoral: las fechas claves de las elecciones presidenciales 2023 en Ecuador
2. Elecciones: las candidaturas podrán inscribirse hasta el 13 de junio
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