(Photo by Delegación ELN/Twitter)
コロンビア政府と民族解放軍(Ejército de Liberación Nacional:ELN)の代表団はメキシコシティで第2回交渉を開始する。今回の中心的な課題は、平和協定構築への社会参加と二国間停戦だ。2月12日から会合が始まる。停戦に関していえば、12月31日、グスタボ・ペトロ(Gustavo Francisco Petro Urrego)大統領の二国間停戦合意発表が、反政府勢力によって否定されている。これは平和に向けた取り組みには勢いが失われたかに見えるも、行き詰まりを乗り越え、双方に前向きな雰囲気が漂っているという。お互い新たな交渉ポイントについて前進させる準備ができていると述べていると言う。今年1月初旬の時点で停戦はまだ紙一重な状態だった二国間停戦合意の形成が大きな課題となるとともに、期待も持てる。
グスタボ・ペトロ大統領は、国内の殺人件数を減らすために、一刻も早く休戦に合意したいと考えている。大統領は、敵対行為の停止を確定することで、地方での殺人件数が減り、国内のすべての武装勢力が武器を手放すことを目指すプロジェクトである「全面和平」の基盤ができると信じて、急いでいるのである。
ELNの最高司令官アントニオ・ガルシア(Antonio García)が公言しているように、いかなる状況でも他の組織的武装集団と同列に扱われることは望んでいない。ゲリラは60年前、キューバ革命に熱狂した一握りの学生たちによって作られたが、その過程で、組織として消滅の危機など様々な状況を経験した。この10年間は、当局によって麻薬取引との関連をしつこく指摘してされてきた。しかし、その指導者は政治的性格、市民社会の代弁者であることを強調し、それが彼らの望む処遇であるとしている。
一方のペトロはツイッターを通じて、ゲリラたちに、革命的な司祭であるカミロ・トーレス・レストレポ(Camilo Torres Restrepo)の道を歩むか、1980年代にコロンビア国家に反抗した麻薬密売人のパブロ・エスコバル(Pablo Escobar)の道を歩むか、と問うた。エスコバルはメデジンのビルの屋上で撃している。
約1ヶ月間を使って行われた第1回の会談では訂正や武装解除に向けた方法論や会談の機能について話し合われた。しかしこれはまだ修正される可能性もある。第2回協議では、平和構築への社会参加、平和のための民主主義、平和の変革、犠牲者、武力紛争の終結、実施という原則を掲げている。「コロンビアの平和構築への社会参加のメカニズム」のような曖昧で一般的なものについても交渉することになるが、政治参加とは具体的に何を意味するのか、どのような方法論が使えるのかを読み解くことが課題となる。ELNはFARCと違って政党を作るという野心はないが、この議論の中から社会の具体的な変化が生まれるに違いないと確信している。交渉担当者は、政府が進めている改革に国民の意見を取り入れることだと理解している。当たり前のようだが、実現はまったく簡単ではありません。ペトロは就任当初、アルバロ・ウリベ(Álvaro Uribe Vélez)が行ったような民衆との対話を行おうとしたが、これはあまり成功しなかった。今回は課題も多いため1ヶ月以上実施されることが予想されている。
Con la delegación del gobierno y la sociedad en la negociación con el ELN. pic.twitter.com/KOvFceqbfg
— Gustavo Petro (@petrogustavo) February 7, 2023
今回話し合われるだろう3つの課題の詳細を以下で見ていく。
第一は、二国間停戦と敵対行為の停止である。この点については、敵対行為とは何を意味するのかを特定するのに時間がかかるかもしれない。ELNやその他の武装勢力が活動している地域では、敵対行為を特定し裁定するのは難しく、中にはFARC(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia)反体制派とアラウカ県でのケースのように、死を免れない敵と宣言しているものもあるのだ。これまで、双方はデタント(緊張緩和)の雰囲気の中で、銃撃を伴わない交渉に応じる意向を示してきた。
第二にゲリラが和平のための参加型プロセスを開始しようとすることにある。これは、国家開発計画について意見を述べることを可能にするもので、すでに議会に提出されてはいるが、同組織が影響力を持つコミュニティにとって関心のある問題が議論されることを記録に残しておきたいのである。
そして第三に、人道的な問題に関して合意されたことへの見直しである。最近でいえば、2週間前にカリマ(Calima)とサン・フアン(San Juan)で行われた人道的キャラバンのようなもので、この演習は国内の他の地域でも再現されるよう提案している。
第2回会談には国家警察が軍隊のオブザーバーに加わり、軍隊による完全参加を実現させる。これは新しい取り組みである。「我々は、これから始まる平和対話のサイクルの中で、合意された問題について進展があり、最後には対話表のリーダーシップ、国際社会の支援、プロセスに対するコロンビア社会の信頼が強化されると確信している」と平和高等弁務官事務所は述べている。
ELNとの交渉の場と並行して、政府は政治的性格を認める他の2つのグループ、EMC FARCとSegunda Marquetaliaとの協議を開始している。ペトロの狙いは、これを全国に広げることだ。そして、それはまず何よりも軍隊との停戦によって、殺人事件を減少させ、和平合意が成立するまで話し合いを続けることができると言うことを今回ELNに納得してもらうことが必要だ。
コロンビアにおけるELNに関する記事はこちらから。
参考資料:
1. Inicia el segundo ciclo de negociaciones entre el Gobierno y el ELN
2. El Gobierno de Colombia y el ELN llegan a México con la urgencia de concretar el alto al fuego que persigue Petro
3. Gobierno y Eln llegan a México con la presión de lograr avances concretos
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