(Photo by Brasil de Fato)
コロンビア代表団は左翼ゲリラ 民族解放軍(Ejército de Liberación Nacional:ELN)との和平交渉再開の可能性をさぐる会合参加のため8月11日、キューバを訪れた。コロンビアのアルバロ・レイバ(Alvaro Leyva)外相はキューバのブルーノ・ロドリゲス(Bruno Rodríguez)外相と会談し、カリブ海の島で交渉を継続する可能性について話している。
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ゲリラ組織M-19の元メンバーであるグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)が大統領に就任したのは8月7日のこと。早速選挙公約にも掲げていたコロンビア和平の実現、つまり旧コロンビア革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia:FARC)ゲリラ集団との間で締結した2016年の和平協定の完全なる履行と、現在も活動をしているELN反政府勢力との協議に向けた一歩を踏み出したこととなる。ペトロは大統領就任式においても同国の「完全平和」確立を宣言している。
ペトロが政治的暴力を克服するための変革を推進し、雇用と起業、農地改革、和平プロセスの継続などの計画を策定すれば、民衆の支持を得られるとELNは述べている。同団体は、コロンビアの社会的に疎外されたコミュニティに対する経済的包摂を拡大するよう呼びかけている。
ELNは1964年に急進的なローマカトリック司祭によって設立された。FARCよりも中央集権的でないと広く考えられているこの組織は約2,400人の戦闘員を抱える。誘拐、恐喝、麻薬密売、違法採掘で資金を調達しているとされるELNとイバン・ドゥケ(Iván Duque)前政府との和平交渉は、同グループの過激な姿勢、例えばボゴタでの自動車爆破事件で警察官候補生22人を殺害したという事件、指揮系統の乱れ、仲間内の反対意見のために進まなかった。
ELNの代表はフアン・マヌエル・サントス(Juan Manuel Santos)政権下で始まった前回の会談が2019年に中止されて以来、ELNの交渉担当者はキューバに滞在している。ゲリラ指揮官のコロンビア帰還を保証しないことによる。これらの指導者の多くは高齢で、彼らがコロンビアの田舎で活動する部隊にどれだけの影響力を持っているかはわかっていない。ただゲリラの交渉担当者の1人であるアントニオ・ガルシア(Antonio Garcia)は今週初め、ELNが数十年にわたるグループの反乱を終わらせる交渉の意志を常に維持していることを強調した。その一方「社会的紛争を間違った方法で扱うと、武力蜂起につながり続ける」反政府勢力指導者は述べている。
コロンビアのアルバロ・レイバは「大統領が提案した完全な平和を達成する道を歩み始めるために、この平和の地で民族解放軍ELNとの協議を再開したい」とテレビを通じ声明を発表している。会合に向けキューバに向かったのは外務大臣をはじめ、新和平担当高等弁務官(Alto Comisionado para la Paz)ダニロ・ルエダ(Danilo Rueda)、ペトロ連立政権のメンバーで同議会の平和委員会(Comisión de Paz)の委員長を務めるイバン・セペダ(Iván Cepeda)上院議員、国際連合事務局からコロンビア担当特別代表カルロス・ルイズ・マシエウ(Carlos Ruiz Massieu)と、ノルウェー政府の代表だ。会合では和平交渉の可能性を探るだけでなく、停戦の可能性をも検討する予定だ。
和平協定はFARCの役割を終了させたが、コロンビアの多くの地域で、協定を拒否するELNと元FARCの戦闘員、犯罪組織、軍との間で戦闘が続いている。60年近く続いているコロンビアの紛争では、1985年から2018年の間に45万人が死亡している。
コロンビア和平に向けてペトロは、協定に合意していない元FARC反政府勢力に対しても、麻薬取引に関する情報、犯罪組織の武装解除と引き換えに2016年の和平協定の完全実施と減刑を検討するよう述べている。
Sostuve encuentro con representantes del gobierno de #Colombia y del ELN, partes del proceso de paz en ese país, junto a los garantes de Noruega y #Cuba, y representantes del Secretario General de la ONU y de la Conferencia Episcopal colombiana. pic.twitter.com/5GeGGxsWT8
— Miguel Díaz-Canel Bermúdez (@DiazCanelB) August 12, 2022
キューバは2012年から2016年にかけコロンビアにおけるFARCとの和平交渉を成功させており、2018年からフアン・マヌエル・サントス前大統領の政府とELNの和平交渉を主催するようになっていた。これらに対しレイバはキューバ政府の絶え間ない支援を賞賛している。
キューバ共和国国家評議会議長のディアス=カネル(Díaz-Canel)もまた、前日、キューバをテロ支援国家リストに残すという米国の決定を拒否したコロンビアのアルバロ・レイバ外相に感謝の意を表した。
参考資料:
1. Recibe Díaz-Canel a participantes en diálogos de paz de Colombia
2. Colombia advances towards restarting peace talks with ELN
3. Colombia’s government talks peace with ELN in Cuba
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