2022年6月12日(日)の夜、ソーシャルネットワークを通じて呼びかけられたエクアドルでの抗議活動は長期化を見せている。市民社会の要求に対して政府は回答しているというものの、要求への一部回答でしかないとのことから継続されているのだ。
エクアドル先住民族連合(CONAIE)のほか、福音主義先住民連盟(Federación de Indígenas Evangélicos:Feine)、全国農民・先住民・黒人組織連合(Confederación Nacional de Organizaciones Campesinas, Indígenas y Negras:Fenocin)、全国農民連盟(Federación Nacional de Campesinos:Fenoc)、エクアドル先住民連盟(Federación de Indígenas del Ecuador:FEI)の会合と合意を受け6月13日(月)00:00からの動員が開始された。CONAIE代表レオニダス・イサ(Leonidas Iza)は「1年間対話を続けても政府に耳を傾けてもらえなかったことから、明日からは組織だけでなく、一般の市民にも動員を呼びかける」と語っていた。運動には先住民族、農民のみならず、学生、医師、女性、フェミニスト、反体制派の組織も加わっている。市民社会は運動を通じて10の要求をしている。
なおCONAIEたちの要求に対し政府は2022年6月18日に回答文書を発表したが、燃料と鉱業・石油政令に関する中心的な要求には触れていない。
市民社会による要求:
- 燃料価格の引き下げとこれ以上の値上げを行わないこと。ディーゼルを1.50米ドル、ガソリンとエコパインを2.10米ドルで凍結すること。政令1158、1183、1054を廃止し、救済を必要とするセクター(農民、農民、運送業者、漁師など)へ助成などのプロセスを開始すること。現在のエクストラとエコパイの価格は1ガロン2.55ドル、ディーゼルは1.90ドルである。
- 少なくとも1年間のモラトリアムを通じ400万世帯以上の経済的安定を確保すること。金融機関(公的、民間、協同組合銀行)と金利引き下げを伴う債務の再交渉を行うこと。不払いによる家、土地、車などの資産の差し押さえに反対する。この要請は、COVID-19の大流行後、借金を返せなくなってしまった家庭に対応するものだ。
- 牛乳、米、バナナ、玉ねぎ、肥料、ジャガイモ、トウモロコシ、トマトなど農産物の適正価格を維持する。花のロイヤリティ徴収にも反対する。農作物の値崩れが発生する一方で、店頭では値段が上がっている。これにより何百万人もの農民や中小の生産者が生活を保証され、生産を続けられるようにする。
- 雇用と労働の権利を要求する。労働の非正規化を止め、大衆経済の持続可能性を確保することを目的とした公共政策と投資の実施を求める。また、エクアドル社会保障協会 (Instituto Ecuatoriano de Seguridad Social :IESS)に対する債務の支払を要求する。
- 鉱業・石油採掘フロンティアの拡張のモラトリアムと、社会・環境影響に対する監査と包括的賠償を求める。 領土、水源、脆弱な生態系保護を目的とし政令第95号および第151号の廃止を求める。
- 21の集団的権利の尊重を求める。それは異文化間バイリンガル教育、先住民族の正義、先住民族の自由、事前、情報に基づく協議、組織化、自己決定などである。
- 戦略的分野の民営化中止を求める。それはエクアドル人の財産でもある例えばBanco del Pacífico、水力発電ダム、IESS、ナショナルテレコム(Corporación Nacional de Telecomunicación:CNT)、道路、健康に関するもののことを言う。
- 生活必需品市場における価格や商品市場の投機に対する統制政策の実行を求める。生活必需品に対する投機やスーパーマーケットチェーンにおける工業製品の価格乱用が発生していることを受けて。
- 病院の医薬品や人材不足への対応として緊急予算の割り当てを求める。また、高等教育へのアクセスを保証し、学校、大学、カレッジのインフラの改善を求める。
- エクアドルを恐怖に陥れている暴力、殺し合い、非行、麻薬取引、誘拐、組織犯罪の波を止めるために、安全、保護、効果的な公共政策の策定を求める。
ラッソ大統領は18日(金)、「首都と国の防衛」の保証を目的とし30日間の非常事態を布告した。ラッソは自身のソーシャルネットワークを通じ「私たちは手を差し伸べ、対話を呼びかけているが、彼らは平和を望んでいないのだ。彼らは混乱を求め、私(大統領)を追い出そうとしているのだ」と投稿した。なお非常事態令により、国家は自由な通過を制限し、当局は「暴力行為を無力化する」ために「漸進的な武力行使」を実施することを許可している。CONAIE側は、非常事態の撤廃と人道支援地帯の非武装化、そして先住民族組織が首都へ行進する際の伝統的な集合場所であるキトのカサ・デ・ラ・クルトゥーラ(Casa de la Cultura)での交渉を要請している。
¡El Ecuador elige la democracia, nunca el caos!
Como Presidente busco siempre el diálogo, pero no voy a permitir que afecte a quienes desean trabajar. Estoy aquí para cumplir con los compromisos que tengo con el país y defender la capital. pic.twitter.com/dMHa1od8zx
— Guillermo Lasso (@LassoGuillermo) June 20, 2022
本全国ストライキについてはこちらも参照のこと。
参考資料:
1. DEMANDAS DE LA MOVILIZACIÓN NACIONAL, POPULAR Y PLURINACIONAL
2. Protestas en Ecuador: 3 claves para entender las manifestaciones de grupos indígenas y el estado de excepción decretado por el gobierno
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