国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)とエクアドル

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の参加のため各国要人が英国に集結しているが、ヨーロッパを訪問中のギジェルモ・ラッソ大統領もまたエクアドル時間10月31日にグラスゴーに到着した。

今回のハイレベル会合においてエクアドルは海や海洋動物、生物多様性の保全に貢献するという点で、世界の環境保全にとって「重要な発表」を行なった。それはガラパゴス諸島の海洋保護区を6万平方キロメートル拡張するというもの。この決定は環境債権スワップと関係している。

 

COP26でガラパゴスに関する何らかの発表があることについてはセバスティアン・コラル駐英エクアドル大使からのコメントとして10月31日付官報295にも「COP26で提示している基本的な概念を汲み取り、かつこの会議で提案される目標を達成するためにエクアドルが必要とする協力と資金調達の重要性を示すものだ」と記載されていた。

新しい保護区は、ココス山脈に位置する3万キロの禁漁区と、北西部の海洋保護区の隣に位置する3万キロの延縄禁止区域であるが、この領域を加えることで保護地区は133,000平方キロメートルから193,000平方キロメートルとなる。ラッソは本決定は「経済的、生産的、持続的な発展を可能にするエコロジーへの移行に向けてに確固たる決意」の表れとするとともに、保護区やガラパゴス国立公園の管理にあてられたこれらの資源は、結果的に、群島の3つの主要な島々における飲料水や下水などの基本的なインフラ問題の解決にもつながることを強調し、さらに「この新しい海洋保護区が、科学研究の発展のための生きた実験室としての役割も果たすだろう」と更なる言及を深めた。

ラッソ着任以来5ヶ月に渡る漁業団体との対話の結果、保護区の設置が確定した。自然保護と持続可能な漁業生産の目標を結びつける決定の代替としての債務スワップは海洋保護区をより効果的に管理するための技術や設備、漁業のための設備に投資される予定だ。なお、今回のエクアドル政府の行動は、ラテンアメリカでは初、世界では4番目に、エコロジカル・トランジションを公共政策として採用した国となり、ガラパゴス諸島の生物多様性を守るためのコミットメントとなる。ちなみに保護区は今後海軍部隊も参加した保護メカニズムの下に置かれる予定だ。それは、年に何度も中国をはじめとした漁船が領域に侵入してきていることにもよる。

 

新ガラパゴス海洋保護区設置のメリットをまとめると以下の通り。
 1. 生物圏保存地域、世界初の自然遺産としてのイメージを固める
 2. 排他的経済水域の海洋生物多様性に関する知識を深めることができる
 3. 絶滅危惧種である渡り鳥の保護を強化できる
 4. 水産資源の保全・再生による総バイオマス量の増加、オーバーフロー効果による漁業への恩恵
 5. より多くのCO2を取り込むことができ、気候変動の影響を軽減することができる
 6. 海洋保護に貢献するための国際的な民間金融資源の投資を促進することができる
 7. ダイビング観光の促進ができる
 8. 既存のガラパゴス海洋保護区の防衛レベルを向上できる
 9. 環境意識の強化と海の財産の普及が可能

 

海洋保護地域の拡大については俳優の レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio※)が祝辞を述べるなど話題を呼んでいるが、彼自身は4千万ドル(約44億円)を投じて環境・水資源省によって行われるこの地域の環境保全運動を支援するとし出資も行なっている。ちなみに2010年のコレア元政権時にもヤスニ国立公園内での石油採掘を放棄を提案するプロジェクト「ヤスニITT イニシアティブ(Yasuni-ITT initiative)」を支援する旅行に参加しており地球温暖化防止支援に意欲を示していた。

また、別のTwitterでもディカプリオは、アントニオ・グテーレス(Antonio Guterres)国連事務総長や各国のリーダーたちに「重要な気候変動対策を行い、我々の未来を守り、人類を救おう」と呼びかけている。

 

同日12:00(グラスゴー時間、エクアドル時間では6:00)から開催される「世界リーダーズサミット」の開会式にもラッソは出席に次ぎ、ベゾス地球基金のリーダーでAmazon.com の共同創設者のジェフ・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos)との会談も行なった。そこで大統領は「エクアドルが魅力的な投資先として見られていることは非常に喜ばしいことであり、それはエクアドル人の再活性化と雇用の増加につながる」と述べている。

 

海洋保全に関する重要な発表はなされたものの、アマゾンの搾取主義に関する言及は現時点においてなされていない。これを受けアマゾン先住民族連合(Confederation of Indigenous Nationalities of the Ecuadorian Amazon:CONFENIAE)は、ラッソはアマゾン地域の鉱業と石油採掘は法令95と151を通じて拡大し、原油の採掘は2倍にしたい意向である、ということについて本会議で明らかにしていないと抗議している。

 

COP26の枠組みの中でペルー熱帯雨林開発のための民族間協会(Aidesep Pueblos Indígenas)はパネルを持つ。そこでは先住民やその領土の持つ役割が各国が打ち出す気候変動に関する公約の達成の上でどれ程までに重要なのかを考える。また、先住民が先祖伝来の知識や慣習を通じて領土を保全しながら、環境の回復に配慮していくために国を指導し、連携するための提言を紹介する予定だ。(Plan Bioregional 2030が離されると想定)
興味のある方は是非参加をしてみてほしい。グラスゴーに行かず、オンラインで視聴可能である。

<<SOLUCIÓN DESDE EL TERRITORIO>>
 日付:2021年11月03日(水)
 時間:12時(英国)、21時(日本)
 開催方式:オンライン(YouTube)、グラスゴー

 

ローマで開催された主要20カ国地域首脳会議(G20サミット)は同日、最終日を迎え、気候変動を食い止めるため「意味のある効果的な行動」を約束したものの、具体的な方策は明示しなかった。

気候変動は色々なところに影響を及ぼす。そう、化石燃料などへの継続投資は人間や地球生物の絶滅を招く投資とも言える、そう恐竜は説く。我々日本人も緊急な対策を自らのこととして打てるのだろうか。

 

※レオナルド・ディカプリオは2016年、ナショナルジオグラフィックと共同で世界中の気候変動の影響を探るドキュメンタリー「Before it’s Too Late」を発表している。(こちらから視聴可能)

 

参考資料:

1. El presidente Lasso anunciará buenas noticias en materia de conservación marítima, en Glasgow
2. 気候変動対策を協議するCOP26、英グラスゴーで開幕
3. Leonardo DiCaprio felicita a Lasso por creación de nueva área marina
4. Ecuador crea nueva reserva marina en Galápagos; canjeará deuda
5. BOLETÍN INFORMATIVO: PUEBLOS INDÍGENAS EXHORTAN A LOS GOBIERNOS EN LA COP 26 ACCIÓN URGENTE PARA PROTEGER LA AMAZONÍA COMO MEDIDA DE EMERGENCIA ANTE LA CRISIS CLIMÁTICA
6. Ecuador abre la COP26 con el anuncio de creación de una nueva Reserva Marina en Galápagos
7. El Gobierno modifica el Ministerio del Ambiente y anuncia plan para la transición ecológica en Ecuador

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