キューバは自国の医療技術に基づきCOVID-19のワクチンを5つ(Soberana 01/02/Plus、 Abdala、Mambisa)開発している。この度そのうちの1つアブダラ(Abdala)の後期臨床試験の結果が発表された。それによるとワクチン3回投与後の有効性は92.28%だったという。
キューバは国内でワクチン開発をしている。そこでのバイオ産業と医薬品の開発は競争ではなく協業に基づき行われている。利益を度外視し、数十にも及ぶ研究開発機関がリソースや専門知識を共有、その結果革新的技術とそれに基づく成果がもたらされてきた。海外からの輸入が制限されていることも相まって、そうせざるを得ないと言う現実もある。事実キューバは米国製部品が10%以上含まれる医療機器や医療品を入手することができないのだ。皮肉ではあるが、だからこそキューバは強くなれた。
米国は自国におけるキューバとの取引を制限しているのみならず、他国に対してもキューバと取引を行った場合の制裁を与えている。米国のこのような非人道的な対応は国際社会からも非難されている。そして6月23日にも国連で米国によるこの経済封鎖に反対184カ国がNOと意思を示した。反対や棄権する顔ぶれは変わらないが、2019年はブラジルが反対にいた。
キューバのワクチン開発について少し触れておこう。キューバにおいては革命後男女平等が提唱されており、その結果ワクチンのソベルナ01(Soberana 01)とソベルナ02(Soberana 02)の研究、開発、生産チームの60から70%が女性とされている。
キューバ医療については定評がある。ワクチン接種の土台も既に整っているわけだが、それは今回の新型ウィルスきっかけで構築されたものではない。ワクチン接種運動は毎年国民の98%がワクチン接種済とするなど効果を出している。これは、子供に限定されるものではなく、13の病原器官への12種類のワクチンを適用させると言うもので、このうちの8つがキューバ国内で生産されている。これを可能にしているのは、高水準のバイオ産業と公衆衛生制度、さらには厳格な国家医薬品・医療機器管理機関(CECMED)の存在があってこそだとされている。なおキューバにおいてはB型肝炎など先進国でもまだ根絶できていない病気への予防ワクチンも開発されていて、ハバナにある遺伝子工学バイオテクノロジーセンター(CIGB)によると2007年時点で15歳以下の子供のB型肝炎感染者の報告がない。このワクチンは出産後数時間で摂取されると言う。Heberbiovac HB®と言う名のワクチンは医師の説明によると
培養したウイルスを用いるのではなく、自身の遺伝子を変換させた酵母に遺伝子情報を導入して得た組換えタンパク質を使用している。その酵母は酵素などを生産するのと同じレベルで、ワクチンの原料となるB型肝炎ウイルスの表面抗原と呼ばれる組み換えタンパク質を生成する機能を持つ
という。日本語でも全く何を言っているのかわからないから、この辺りはDeep Learningに基づき自動翻訳も活用させていただいている。
また、予防ワクチン以外にもキューバにはB型肝炎罹患者に対するものも用意されている。例えば鼻からの投与も可能な治療用ワクチン HeberNasvac® が開発されており、少ない副作用ながらもB型肝炎ウイルスであるヌクレオカプシド抗原が扁桃腺で相互作用をおこし、全身と粘膜の両方の免疫を刺激し、効果を出していると言う。このほかにもB型肝炎については短期間での治療を可能にするような薬品もあり、海外への輸出も可能となっている。なおHeberNasvac®は日本においても第1層臨床試験を終了している。
COVID-19の話に戻ろう。キューバにおいては、当初から政府と学術会、産業界が密に連携をし対処してきた。ディアス・カネル(Miguel Mario Díaz-Canel Bermúdez)大統領は週1度対策チームとミーティングを持ち情報共有してきた。その結果人工呼吸器の開発も迅速に行えた。
キューバにおいてはCOVID-19対策として17個の標準治療薬(プロトコル)については下記参照。
さて本題、国民的英雄ホセマルティーの詩にちなんで名付けられたワクチン「アブダラ(Abdala、テクニカルネームはCIGB-66)」について見ていこう。アブダラは筋肉内投与型のワクチンで、遺伝子工学バイオ技術研究所(Centro de Ingeniería Genética y Biotecnología :CIGB)によって開発された。RBD(受容体結合ドメイン)を有効成分とし、これに水酸化アルミニウムなどを加えてアジュバント化した製剤である。第1層臨床試験は2020年12月7日に始まり19歳から54歳までの132名を対象とし安全性と免疫原性の状態を確認。第2層は660人を対象とし、年齢も80歳まで引き上げ、そして第3層の臨床実験は2021年4月の時点で進行中で、グランマ県、サンチアゴデクーバ県、グアンタナモ県に住む19歳から80歳までのボランティア48,290人を対象に行われた。これは安全性と免疫原性に加え、その有効性が確認された。高リスクに分類されるボランティア124,000人に対する介入試験も行われる予定とされていた。(2021年4月)なおアブダラに対する有効性分析結果には、SARS-CoV-2の初期株(DG614G)に対する反応だけでなく、α、β、γ変異体に対する反応も含まれている。
今回の発表はWHOがワクチン承認の指標とする有効性50%をゆうに超えた結果だ。このことから近日中にCECMEDは緊急使用許可の申請を行うとされている。承認されればアブダラはラテンアメリカ、カリブ地域で開発された2番目のワクチンとなる。
キューバによるワクチン開発は世界の救世主となり得る。なぜなら国力のある国はファイザーなど高価な予防薬の確保が優先的にできる一方、資金が潤沢にない国の人々の手元にそれがやってくるのは、まだまだ先のことのように思えるからだ。キューバのバイオ技術部門は何十年も前からワクチンを輸出してきた。COVID-19向けワクチンに際しても、アルゼンチンやジャマイカからメキシコ、ベトナム、ベネズエラなどから引き合いがあるとされる。キューバ同様米国から封鎖されているイランは今年初め、ソベラナ2の生産を後期臨床試験の一環として着手している。
ベネズエラのニコラス・マドゥーロ(Nicolás Maduro Moros)大統領は6月16日にアブダラの接種を7月から開始すると発表、今週にも臨床試験の最終段階に向けソベルナ2やアブダラ計6万人分のワクチンが届くとしている。ベネズエラがいくらでワクチンを入手したかについては報道されていない。
ディアスカネル大統領は研究チームや試験に参加してくれたボランティアに対し繰り返しお礼を述べた。
国産ワクチンの臨床試験はすでに1,000,000人に対して実施されていて、首都ハバナにおいてはアブダラのボランティア接種を1ヵ月前に始めてた。それ以来、日々の新規感染者の数が激減したと発表している。
子どもたちによるAbdalaの劇があったので合わせて共有しておこう。
#MejorSinBloqueo
参考資料:
1. El alcance de la vacuna cubana contra la hepatitis B
2. Candidato vacunal Abdala muestra 92,28% de eficacia en su esquema único de tres dosis
3. Vacuna cubana Abdala: efectividad, precios, composición y posibles efectos secundarios
4. Las cinco vacunas de Cuba contra el COVID-19: la historia completa sobre Soberana 01/02/Plus, Abdala y Mambisa
5. Prometedores resultados de candidatos vacunales cubanos: Comienza en mayo intervención con Abdala y Soberana 02 en grupos y territorios de riesgo
6. Abdala: el gran poema dramático del joven José Martí.
人口は世界81番目で1000万人ほどの国が、コロナワクチンを開発。しかも、米国の経済封鎖を受けながら。キューバは凄い国だと改めて認識した。このキューバの快挙は、コロナに特化した日本のTVワイドショーでは、紹介されていない(と思う)。日本はだんだん、落ちぶれた国になっていくなあ。ABDALAのネーミングに愛国心も感じられる。
ABDALAは確かに国、ホセ・マルティへの愛情を相当に感じられる名前ですね。それほどまでに自信があるのでしょうね。名前に恥じないようなワクチンだと。