エクアドル最大の先住民組織(※)であるエクアドル先住民連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)は6月25〜27日トゥングラワ(Tungurahua)で第7回の全国会議を開催する。3年間に一度行われるこの会議では2017年9月16日から2021年5月12日まで連合のトップをつとめたハイメ・バルガス(Jaime Froilan Vargas Vargas)に代わるリーダーを選ぶ。また、その他にも経済状況や多言語教育、土地問題など多様なテーマを扱う。その会議では多民族国家・多民族主義の設立を模索している。
https://twitter.com/CONAIE_Ecuador/status/1406313405632364548
本来であれば、もっと早い時期に開催されるべきだったが、COVID-19のパンデミックにより延期されていた。トゥングラワ州は首都であるキトの南に位置し、その名は世界遺産のサンガイ国立公園(Parque nacional Sangay)内にある5,023mの活火山から取った。なお、全国会議は通常5,000人程度の代表者が集まるが、今年はパンデミックの影響もあり、各組織の代表団だけとなっている。また会議は換気の良い場所で行われるとともに、参加に際してはマスク着用、アルコールやジェルの使用が義務付けられいる。
そもそもハイメ・バルガスに代わる代表を選ばざるを得なくなったのは、今年4月3日行われた政治集会でCONAIEの意思を無視し、左翼候補アンドレス・アラウス(Andrés Arauz Galarza)に代表が支持表明をしたことによる。CONAIEでは連合の承認なしに勝手な行動を取ることは認められておらず、背反行為となる。ちなみにCONAIEは大統領選決選投票において無効票を投じると決めていた。
また、ハイメ・バルガスは自身が発生させた内部紛争を話し合うために設けられた5月11日の統治評議会にも欠席したことから内部規則第61条違反となり、「組織を放棄したもの」として扱われている。5月13日からは元副会長のマヌエル・カスティージョ(Manuel Castillo)が代わりに連合を率いている。
ハイメ・バルガスは1979年7月21日生まれ、パスタサ(Pastaza)群カパワリ(Kapahuari)のアチュアル(Achuar)・コミュニティで生まれた。父親にアチュアラ民族(Nacionalidad Achuar :NAE)とアマゾン先住民連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Amazonía Confeniae)の創設者の一人イラリオ・バルガス(Ilario Vargas)を持つ。
次の会長候補は5月24日時点で5名いる。マリア・アンドラデ(María Vicenta Andrade Chalán)、レオニダス・イサ(Leonidas Iza Salazar)、マルコ・グアテマル(Marco Guatemal)、ハビエル・アグアヴィル(Javier Aguavil)、マチルデ・テネサカ(Matilde Tenesaca)だ。マリア・アンドラデやマチルデ・テネサカが選ばれれば、CONAIE初の女性代表となる。
各々の候補者を簡単に見ていこう。
María Andrade
アンドラデは南部ロハ県に定住する先住民キチュア・サラグロ(Pueblo Kichwa Saraguro:Corpukis)の代表である。少し横に逸れた話をすると、この民族の衣装はとても素敵である。皆、草間彌生もビックリの水玉模様、実は牛柄、がついた羊の毛の帽子をかぶり、黒っぽい衣装や装飾品を身につけている。伝説ではスペインからの植民を受ける(ていた)際の闘争で多くの人が命を落としたがそれらの人々を弔う意味がある。話を戻そう。シエラの民によって構成されるECUARUNARI(※)の支持を得ている彼女は、CONAIEの歴史35年において二人目の女性の候補者である。54歳の彼女はサレジオ工業大学で持続可能な地域開発について学び(修士号)またスペインのバレンシア大学でも学位を取得している。経験も豊富で国連女性機関(ONU Mujeres)においては先住民女性に対する地域プログラムをコーディネイトしたり、ドイツ国際協力公社(GIZ)では顧問をしていた。CONAIEでも1998年から2000年まで幹部を務めた。
CorpukisのFaceookページはhttps://www.facebook.com/Corpukis/
※ECUARUNARIはキチュア語でEcuador Runakunapak Rikcharimuy、スペイン語でMovimiento de los Indígenas del Ecuadorのこと。
Leonidas Iza
2016年からコトパクシ州先住民農民運動(Movimiento Indígena y Campesino de Cotopaxi :MICC)の代表を務める。2019年10月に燃料補助金の廃止を含む政府の経済措置に反対するために実施したゼネストのリーダーのうちの1人。コトパクシ工科大学の環境エンジニアである37歳の青年はコトパクシ史に名を刻むほどのリーダーだったホセ・マリア・イサ(José María Iza)の息子。アマゾンの先住民族連合であるConfeniaeの代表11名からの支持も得ている。天然資源搾取による環境の破壊や政府による土地の奪取を阻止を強く訴えている。またコミュニティー内の組織化についても提案中。
Marco Guatemal
北部山岳地帯にあるコミュニティーからの出馬で、自身のミッションを先住民の声を統一することにあるとしている。多民族国家の樹立に向け土地や領土問題を解決し行政構造の整備をするとしている。また、他の組織と関係強化とともに、国際機関(国連や国際労働機関など)のメンバーとして先住民の権利を尊重していくと述べた。
Javier Aguavil
CONAICE(Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Costa※)の代表兼ツァチラ(Tsa’chilla)知事。14歳からこの土地における伝統医療について学び始める。2020年トレーニングを終了しヒーラーとなった。現在は先祖から継承されてきた医療センターを祖父Moisés Aguavilから引き継ぎ指揮している。彼は各コミュニティーからの提案やプロジェクトの遂行に向け努め、また、先住民の権利が侵害されないように配慮すると述べている。彼もまた2019年のゼネストを率いた1人でもある。
CONAICEはエペラ(Épera)、チャチ(Chachi)、アワ(Awá)、ウアンカビラ(Huancavilca)、マンタ(Manta)、ツァチラ(Tsáchila)の民によって構成されている。
Matilde Tenesaca
チンボラソ先住民運動連盟(Confederación del Movimiento Indígena de Chimborazo:COMICH)の支援を受け出馬。彼女自身はカントン・アラウシにあるCOMICHの加盟組織 インガ・ニャン(INGA ÑAN)で代表を務めている。代表になったら、まず各民族をまとめあげたいという。また各民族、各個人の考え方を尊重するとしている。
参考資料:
1. Conaie suspende su Congreso para elegir autoridades; ¿quiénes son los candidatos para la presidencia?
2. Conaie opera en la acefalía; tres candidatos pujan por presidir la organización
3. Patricia Gualinga: ‘Una mujer debe estar en la presidencia de la Conaie’
4. María Andrade, candidata del pueblo Saraguro a la Conaie
5. Conaie hará su congreso nacional en junio y en Tungurahua
6. アチュアルの森映像制作プロジェクト
7. Manuel Castillo asume la presidencia de la Conaie en reemplazo de Jaime Vargas
8. En junio la Conaie definiría al reemplazo de Jaime Vargas
9. Conaie suspende su Congreso para elegir autoridades; ¿quiénes son los candidatos para la presidencia?
10.María Vicenta Andrade es candidata a la presidencia de la Conaie
11.Leonidas Iza será candidato a la presidencia de la Conaie
12.ところ変われば、こんなに違う。エクアドル国内に住む民族を紹介!
13. Javier Aguavil es candidato a la presidencia de la Conaie
14. Reunificar la CONAIE, reto de candidato Marco Guatemal
15. La Conaie suspendió su VII Congreso
16. Jaime Vargas anuncia el respaldo de los pueblos y nacionalidades indígenas a Andrés Arauz
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