チャパラ(Chapara)はメキシコ中央部、ハリスコ州にある町だ。メキシコ最大の淡水湖チャパラ湖に面している。メキシコの大地において最も早く人が住み着いたこの土地もまた気候変動や環境汚染に伴う危機に面している。
ここにある多すぎるほどのビニールハウスは、土地から彩を奪うだけでなく、食物生産におけるメリット、二酸化炭素と酸素の交換などを阻害する。”見た目が美しい” 作物の生産や企業の利益を優先に行われるモノプランテーションは農薬や化学肥料を必要とし、生物多様性の排除とともに自然のサイクルや自然環境を破壊した。もちろん、そのサイクルにいる人間にもダメージを与え、血や尿からは17種類もの薬品が検出された子どもまでいるほどだ。
この土地で農業を行うためには、水は外部から持って来なければならない。大きな湖が目の前にあるにもかかわらずだ。なぜならチャパラ湖は、主にレルマ川から来る都市、産業、農業廃棄物によって汚染され、毒されているからだ。
重要な水源となっただろう湖の水質悪化は続き一部の固有種は絶滅の危機に瀕している。魚自体の数も減り、さらに汚染された魚を食べる人々もまた健康被害にさらされる。
環境にインパクトを与えながら作られた作物も実際にはその24%しかヒトの口には届かない。食物にアクセスができず、飢餓に苦しむ人がいてもだ。その他の用途としては、家畜の飼料として、さらには燃料となる。
農業だけのせいでも、特定農産品(※)のせいではない。でもこの土地では農業もまた気候温暖化の要因、環境悪化を促す悪者になってしまっているのも事実だ。
でも今一度立ち戻ってみよう。未来志向やサステイナビリティの概念を持った農業には可能性もある。環境保全型農業や有機農業のようなものは自然を浄化・回復させる能力があるかもしれないし、テクノロジーの利用は農業の生産性や経済性を高める手伝いをしてくれるかもしれない。
我々を形成する食物。なくてはならないもの。
いつしか季節感を失い同じ野菜を一年中口にすることができるようになった。
当たり前のように思えること、それが当たり前になった理由を今一度考える必要もありそうだ。
生産性の高い持続可能な農業の事実を述べたドキュメンタリー映画 “Dirt! The Movie” については今度またブログで。
※ハリスコ州の農家は州当局からアボカド、ベリー、サトウキビ、アガベを作るよう言われている。
参考資料:
1. LOS ELEMENTOS INDUSTRIALES QUE FAVORECEN LA CONTAMINACIÓN DEL LAGO DE CHAPALA.
2. Guadalajara’s water crisis and the fate of Lake Chapala: a reflection of poor water management in Mexico
3. 単一栽培の偏重による弊害
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