環境問題が叫ばれ相当な時が過ぎたように思うが、我々は効果的な策を打ち出しているだろうか。そして自分自身は利便性を追求し、使い捨て製品を乱用したり、自分主義の消費を行いすぎていないだろうかと自問自答をすることも少なくない。国として、何か新しいことを推進しようとすれば、その取り組みに対しネガティブ発言をしたり、支援策を求めるのには私個人としては賛成できない。まずは徹底的にやってみると言うことも時に必要なのではないか。
フランス政府は大きな決断をしようとしている。
「鉄道を使い2時間半でいける場所を目的地とする飛行機の国内近距離運行を停止する」と言うのがそれである。
COVID-19による航空会社の業績悪化は周知のことと思う。
そんな中での大決断。 その背景には同国による炭素排出量を2030年までに40%削減(1990年比)するという目標を掲げていること、さらには、その達成への強い意志が見えた。
2020年「フリュグスカム(flygskam)」「フライング・シェイム(flying shame)」「飛び恥」と言う言葉とともに進められた環境運動では、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向け、飛行機を利用しないよう呼びかけている。とある調査機関のによると飛行機利用の場合、同じルートを電車で移動した場合に比べると、乗客ひとり当たり77倍のCO2を排出しているとしていて、さすがに目を瞑るわけにはいかない結果となっている。
今回審議されているフランスにおいては当初4時間以内のフライトの撤廃が検討されていたと言う。
パンデミックによる渡航制限で深刻なダメージを受けた国内航空会社などから強い反対を受け、現在審議されている2時間半に収まったと言うことだが、環境への意識の高さをまじまじと見せつけられた。
なお、この手の取り組みはヨーロッパ他国でも始まっており列車網が発達したオランダでは2013年から短距離フライトの中止、オーストリアは2020年6月から3時間以内で列車移動可能な国内路線の撤廃と短距離飛行(350キロ以下)の航空券には追加的に30ユーロの税金を課しだしている。
是非二酸化炭素の排出量が他と比べると多いから航空業者が悪いと言うコンテキストではなく、社会課題を皆でどう解決していくのかを地球規模で考えていく、それが我々には必要なことだろう。
なお、フランスにおける本法案は国民議会(下院)を通過したため、以降元老院(上院)で審議されることとなる。
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