(Photo: Wikipedia)
センセーソョナルな事件が世界を賑わせている。2012年から2018年に渡りエンリケ・ペーニャ・ニエト(Enrique Peña Nieto)政権の国防相として務めていたサルバドール・シエンフエゴス(Salvador Cienfuegos Zepeda)が米国で逮捕された。逮捕理由は麻薬組織のトップとして、コカインやヘロインなどの麻薬を密売していたこと、資金洗浄にも関与していたことによる。
麻薬犯罪対策を指揮しながら、彼自身がエル・パドリーノ(麻薬組織のトップ、いわゆるゴッドファーザー)だったというのは全くもって信じられないし、ジョークにしか聞こえない。しかしこれは現実世界での出来事だ。
10月15日、サルバドール・シエンフエゴスはロサンゼルス空港への到着とともに米麻薬取締局(DEA)に身柄を拘束された。ちなみに家族旅行中だった。
なお彼の役割は賄賂と引き換えに麻薬カルテルの活動を守り、麻薬戦争における仲間の被害を極小化することだったという。エル・チャポ(正式名ホアキン・アルチバルド・グスマン・ロエラ/Joaquín Archivaldo Guzmán Loera)とともにサルバドル・シエンフエゴスのこの話もまたドラマチックだが、メキシコにおいてはこの手のスキャンダルははじめてではない。フェリペ・カルデロン(Felipe de Jesús Calderón Hinojosa)政権で公安相を勤めたガルシア・ルナ(García Luna)もまたシナロア・カルテルからの賄賂授受で2019年に逮捕されている。
メキシコの歴代政権と麻薬カルテルとの関係は闇が深すぎる。なお、今回の逮捕が過去のそれと違うのは国防相が逮捕されたのが今回はじめての出来事であり、この国を荒廃させてきたインプニダ(無処罰)を越えたという点であろう。
これが過去の暗い歴史との決別のきっかけとなり、今後の「正常化」につながることを願わずにはいられない。
※カルデロン政権こそが麻薬カルテルに対する強烈な清掃作戦(麻薬戦争)をはじめた。
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