レシピ:帰国とともに恋しくなる魔法のソース「サルサ・マチャ」(メキシコ)

メキシコから帰国すると、いつもサルサ・マチャ(Salsa Macha)が恋しくなる。私自身、辛いものが大好きという性質もあろうが、何よりこのソースの魅力は、ほんの少し加えるだけで、すべての料理を自分好みにカスタマイズできる点にある。それが何とも楽しいのである。

この“魔法のソース”のありがたさは、それだけではない。一振りして「ビビデバビデブー」とでも唱えれば、そっけないパンですら、たちまち贅沢な一品へと変貌する。特に私が愛用しているのは、「Salsa Macha con Cacahuate y Arándanos」──その名の通り、ピーナッツとブルーベリーなどが入ったサルサ・マチャである。

サルサ・マチャは、メキシコの伝統的な調味料の一つであり、その刺激的な風味と高い汎用性で知られている。主な原材料は、乾燥トウガラシ(チレ)、ニンニク、油であり、料理に深みを加えるだけでなく、健康面でもさまざまな恩恵をもたらすとされる。風味と健康効果を兼ね備えた多機能調味料であるサルサ・マチャの健康価値は、抗酸化作用、代謝促進、消化改善、心血管系の保護にある。日々の食生活に取り入れる価値の高い調味料サルサ・マチャは、とはいえ、使用される素材の質とバランスに起因する。

私の好きなピーナッツとブルーベリー入りソースは、単なる辛味にとどまらず、ベリーのほのかな甘みをしっかりと感じることができる一品であり、休日のブランチには欠かせない存在となっている。とはいえ、気がつけば家の在庫が切れ、せっかくの素敵な休日気分に水を差すこともしばしばある。

本稿は、在庫切れに伴う “ブルーな気分” から抜け出す一助となることを目的とし、まずはサルサ・マチャの効能を確認し、次にそのレシピを紹介することとする。

なお、「マチャ(macha)」という語は、「マチョ(macho)」の女性形とも聞くが、その真偽については定かではない。

(IStock / alpaksoy)

サルサ・マチャは何がすごいのか

1. 抗酸化物質が豊富

サルサ・マチャの最大の利点の一つは、乾燥トウガラシに含まれる豊富な抗酸化物質にある。これらの成分は、体内のフリーラジカルを中和し、細胞の損傷を防ぐことで、がんや心疾患といった慢性疾患のリスクを軽減するとされている。たとえば、チレ・デ・アルボル(Chile de Árbol)チポトレ(Chipotle)といった乾燥チレには、ビタミンAおよびビタミンCが多く含まれており、抗酸化作用を高めている。加えて、主要材料であるニンニクにも強い抗酸化性があり、心臓血管系への良好な影響が期待されている。

サルサ・マチャを定期的に摂取することは、免疫機能の強化や、老化の予防、生活習慣病のリスク低減にもつながると考えられる。

2. 心血管の健康を促進する

サルサ・マチャに含まれるニンニク植物油の組み合わせは、心血管の健康維持に必要である。ニンニクには、血中コレステロールや血圧を低下させる効果があるとされ、動脈硬化や高血圧の予防に寄与する。また、調理に用いられるオリーブ油ゴマ油といった植物性油脂には、不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、いわゆる「善玉コレステロール(HDL)」を増やし、「悪玉コレステロール(LDL)」を減少させる働きがある。

さらに、これらの植物油は体内の炎症反応を抑制する作用も持ち合わせており、慢性的な炎症が引き起こす心臓病や糖尿病といった疾患の予防にもつながる。

3. 天然のエネルギー源である

サルサ・マチャの特徴的な辛味は、使用されるトウガラシに含まれるカプサイシンによるものである。カプサイシンは、体内の代謝を活性化し、脂肪燃焼を促進するだけでなく、疲労感の軽減や覚醒状態の維持にも寄与することが、複数の研究で示されている。

このため、自然な形でエネルギーを補給したいと考える者にとって、サルサ・マチャは有効な選択肢となり得る。特に、朝食や昼食に取り入れることで、日中の活動を活発に支える効果が期待できる。

4. 消化を助ける

適量のサルサ・マチャの摂取は、消化機能の改善にもつながる。唐辛子に含まれる辛味成分は、胃液の分泌を促進し、食物の消化をより迅速かつ効率的に進める働きがある。また、ニンニクに含まれる成分には抗菌・整腸作用があり、腸内環境のバランス維持にも貢献する。

ただし、過剰摂取は胃腸への負担となる可能性があるため、摂取量の管理が重要である。適切な量を守ることで、腸内フローラを保ちながら、食後の不快感を軽減し、消化器系の健康を促進できる。

5. 料理の風味を引き立てる

サルサ・マチャの最大の魅力は、料理に深みと個性を加えるその風味にある。単なる辛味にとどまらず、ガーリックチップのカリカリとした食感や、オイルの香ばしさが一体となることで、料理全体の満足度を高める。

タコス、ケサディーヤ、スープ、サラダといった伝統的なメキシコ料理だけでなく、トースト、パスタ、あるいは炒め物などの創作料理にも応用可能である。加えて、サルサ・マチャの使用により塩やその他の調味料の量を減らすことができ、塩分過多の防止にもつながる。

サルサ・マチャの作り方

調理時間:20分程度

 材料

乾燥した鷹の爪 20本
乾燥した唐辛子モリータ、もしくはチポトレ 60g
※チレ・ハラペーニョを燻製したもの
オリーブオイル 150g
ローストピーナッツ 1カップ
白ごま 大さじ2杯
ニンニク 2片
シーソルト 大さじ1杯
ブラウンシュガー 大さじ1杯
ホワイトビネガー 大さじ1½杯
ブルーベリー カップ⅓
塩 少々

 下準備

チリから種を取り除く。
ピーナッツを炒める。
ゴマを焦がさないように頻繁にかき混ぜながら炒る。
ニンニクは適当な大きさに切っておく。

 調理方法

1. 鍋にオリーブオイルを入れ、かき混ぜながら加熱し、金色になるまで火を入れる。(焦がし注意) 2. チリとニンニクを加え、チリの色が濃くなり少し膨らむまで炒め、火を止める。
3. 
ブルーベリー、ブラウンシュガー、ホワイトビネガー、唐辛子を揚げたオイルとともにブレンダーで軽く混ぜる。
4. シーソルトで味を整える。

たったこれだけで、あの恋しかったサルサマチャ(ブルーベリーとナッツ入り)が出来上がるのである。もちろんサルサ自体は日持ちするから、ガラス瓶などで保存しておくのがいいだろう。

その他、世界の料理のレシピはこちらから。

参考資料:

1. 5 Beneficios de la Salsa Macha que debes conocer

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