一時ポールスミスの洋服が大好きで、よく店に運んだものだった。華やかな色合いのシャツ、カラフルなストライプ生地を裏地として使ったジャケットは、着ているだけで気持ちが自然と高揚した。
他人からどうみられているかではなく、自分だけが知るこのようなちょっとしたおしゃれは、あまりにも自己満足ではあるが、それがまたまた良かった。特別感が半端ない。
ふらっと行ったソウルでどうやら彼の展示会”HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH”が開催されていることを知り、彼の世界観を知ろうと訪れることとした。
彼には確固としたイデオロギーがあるように思う。そして、彼の洋服にまつわるすべてのものは、彼の芸術感に基づき構成される。世界の路面店は、彼自身によってプロデュースされ、各々が個性を持っている。そしてこの展示会自体も例外ではなかった。
彼のキャリアは1970年、イギリスのノッティンガムにオープンした3メートル四方の「Paul Smith Vetements Pour l’Homme」とよばれるお店から始まった。これがお店か?!と声に出してしまいそうなほどの大きさだった。金曜日と土曜日にお店を開き、残りの日は資金作りのためになんでもしたという。夢を叶えるためには軍資金が必要だと行ったところだろうか。パリで開催した初めてのコレクションは、ホテルの一室から始まった。6枚のシャツ、2つのジャンパー、そして2着のスーツを携え開催したものの、最終日になってやっと一人方に、注文をしてもらえたという。初めから順風満帆というわけでもなかったようだ。
ちなみに、ポール自身はファッションやデザインに関する教鞭をとったわけではなく、独学かつ、洋裁を学んでいた妻パウリーン(Pauline)からの教えによるものとのこと。これまた驚きである。
彼の頭の中に広がるアイディア、彼の目を通じて表現される自然には限りがなく、そしてそれらは常に変化する。洋服やお店として具現化され、目の前に置かれた表象は未だ成長過程であるのだ、ということを否応無く感じさせられるものだった。
追記:
このシャツ、どこに売ってるんだろ。可愛くてたまらない・・・
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