ドバイでの長時間レイオーバー、しかも深夜便。
こんなときこそ、Dubai Connect(ドバイ・コネクト)の特典を使わない手はない――はずだった。ところが、今回はまさかの申請し忘れ。普段ならまず忘れないのに、久しぶりのドバイ国際空港ということもあって、少し気が緩んでいたのかもしれない。
一縷の望みをかけて、グランドホステスに「何とかなりませんかね…?」と聞いてみた。案の定、無料では無理。ただし、追加料金を払えば宿の手配はしてくれるとのこと。
うーん、無料じゃないのか……。それならば、と自分で空港ホテルや近隣のもう少し快適なホテルを探してみることに。ところが、どこも今ひとつピンと来ない。
「じゃあ、ちょっと足を延ばして市内で泊まろうか」と思い立つも、移動にかかる費用と時間を考えると、むしろ宿代より高くつきそうで、これも断念。
じゃあいっそのこと外に出てバーでも行って夜を楽しもう!――と言いたいところだったが、帰国の数時間後には職場でミーティングが控えている。体力温存は必須。
とはいえ、「だったら早く寝ろよ」と言われてしまいそうなところだが、今回は少し違う選択をしてみた。
「空港ラウンジをハシゴしながら、静かに楽しむ深夜の時間。」
行ったことのないラウンジを巡りつつ、コーヒーでも飲みながら夜をやり過ごす。豪華なホテルもバーもないけれど、それでもドバイの空港にはラウンジという名の小さな楽しみがいくつもあるのだ。
Priority Passで入れるラウンジは、ドバイ国際空港のターミナル3にも各コンコース内にそれぞれ1つずつはあるらしい(2019年時点)。「いつものメルハバ(Marhaba)ラウンジはもう十分かな」と思い、今回は未踏のラウンジを目指して探索を開始することにした。
そしてすぐに、思いがけない場所を発見する。ラウンジというよりも、”サービス施設”といった方が正確かもしれない。その名も――Sleep’n Fly(スリープン・フライ)。
どうやらここは、ソファや椅子でだらだらするのではなく、きちんと仮眠が取れることを目的としたスペースらしい。ラウンジとは言いながらも、横になって眠ることを前提とした設備。空港で仮眠というと、ベンチやカーペットの隅でうずくまる姿を想像しがちだが、ここでは半個室のような空間でしっかり休めるようだ。
意外にもPriority Passでアクセスできる(利用可能な時間帯や条件は要確認だが)、というのだから驚きだ。
「ラウンジ=飲み物とスナック、Wi-Fi」と思い込んでいたけれど、こういうタイプの施設もあるとは盲点だった。さて、せっかくならここで少し横になって、次のフライトに備えるのも悪くないかもしれない。
ドバイ国際空港(DXB)は、古くから中東のハブ空港として発展してきた。そのため、空港内で夜を明かすのは旅人にとって珍しいことではない。そうした利用者のストレスを少しでも軽減しようと、空港側もさまざまな工夫を凝らしてきた。たとえば、横になれるリクライニングチェアの設置や、格安で短時間利用が可能なカプセルスペースなどはその一例だ。これらは、私の記憶では10年以上前から存在している。
とはいえ、そうした椅子にはたいてい先客がいる。運良く空いていることは稀で、たどり着けたことはほとんどない。そのため、多くの利用者は硬く寝心地の悪い椅子や、ひどい時には冷たい床の上で仮眠をとらざるを得ないのが現実だ。
そんな中、新たに登場したのが仮眠専用の有料施設だ。空港内にある一般的な睡眠カプセルとは異なり、ここは“寝るための空間”としてしっかりとデザインされている。
もちろん有料である以上、すべての人がその価値を感じるわけではないだろう。しかし、私が訪れた時にはほぼ満室に近く、次々と人が利用している様子が見て取れた。確かな需要があることは間違いない。
久しぶりのDXB。こんな施設があるなんて、今回初めて知った。もしかすると、何年も前から存在していたのかもしれない。でも、少なくとも私にとっては新鮮な発見だった。
この「Sleep’n Fly」は、Priority Passを持っていれば仮眠ポッドを一度無料で利用できる。深夜帯は最長2時間、日中〜夜間であれば3時間までの利用が可能だという。
正直なところ、ブラジルからの長距離フライト中、ほぼずっと眠っていたため、特に強い眠気があったわけではない。でも、横になれるだけで身体の緊張がほぐれていくのがわかる。ああ、やっぱり横になれるって大事なんだな、と実感する。
施設内には個室やシャワーもあるようだが、Priority Passで利用できるのは仮眠ポッドのみ。トイレも併設されていないため、その点はやや不便に感じた。ただ、「寝るための場所」と割り切れば、過剰な期待は不要だろう。
一点、利用の際にブランケットを持参することをおすすめしたい。DXBは相変わらず冷房が強く効いており、身体を冷やさないためにも何か羽織るものがあると安心だ。枕などは有料で借りることができるし、耳栓は備え付けられている。
とはいえ、人の出入りが頻繁だったり、睡眠ポッドの開閉音が響いたりと、眠りにくい環境になることもある。そのあたりは空港ならではの「ご愛嬌」と受け止めるべきかもしれない。飛行機の着陸時のように、ポッド自体がわずかに揺れるのもまた一興である。
Sleep’n Fly
場所: ドバイ国際空港 Terminal3 A1ゲートとなり
時間: 24時間営業
HP: http://sleep-n-fly.com
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