イゲラはボリビアにあるとても小さな村である。サンタ・クルス県バジェグランデ(こちらもまたチェ所縁の地)から60キロの距離になる。ここまで到達するのは一苦労だった。細くボコボコした山道は永遠に続くように思えたし、タクシーは3時間ずっとガタガタと音を立てて進んで行った。
苦労してこの牧歌的な場所に来たには理由がある。この平和な風景からは全く想像できないが、こここそがチェ・ゲバラ終焉の地なのである。その日はいつもの静かでのどかな村とは全く違っていた。数発の銃声が山の渓谷の静けさをつんざいた。高い志を持った情熱的な革命家たち一人ずつ命を落として行った。そしてボリビア兵はチェの心臓を撃ち抜いたのだった。
1967年10月9日、彼は革命家としての39年の人生に幕を閉じた。道半ばにして途絶えた彼の旅路を思うと、どれだけ彼は落胆したことだろうと思う。それと同時に、彼の人生は満足のいくものではなかったかとも思うのである。なぜなら彼の意思はそこで息絶えることなく、次世代へと脈々と受け継がれているからである。
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